実施 2026.04 ・ 更新 2026.09.28
JALカード、コンタクトセンターに自律型の音声AI、検証で正答率9割超
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話の一次対応に人手を取られている
- 音声ガイダンスが長くお客様を待たせる
- 担当違いの電話で転送が絶えない
どのようなAIの取り組み?
音声のまま対話する自律型AIオペレーターに、コンタクトセンターの一次対応と窓口振り分けを担わせたAI取り組み
業種
クレジットカード(金融・保険)
取り組み領域
コンタクトセンター/電話の一次対応
使ったAI
自律型AIオペレーター「X-Ghost」(音声対話AI)
主な成果
導入前の検証でAI完結の正答率9割超
日本航空グループでクレジットカード事業を担う株式会社ジャルカードは、2026年4月15日から、コンタクトセンターにGen-AX株式会社が開発した自律型AIオペレーター「X-Ghost」を導入しました。背景にあったのは、カード利用に関する問い合わせの多様化・高度化と件数の増加によるオペレーターの業務負荷、そして従来のメニュー操作型IVR(自動音声ガイダンス)では目的の窓口にたどり着くまでに時間がかかり、一度で適切な窓口につながらず不要な転送が生じていたことです。X-Ghostは顧客の音声を音声のまま理解して応答するAIで、用件を聞き取ったうえで適切な窓口へ振り分け、対応できる範囲は自ら回答します。本格導入に先立つ検証ではAIだけで完結した応対の正答率が9割を超え、その評価を受けてまず一部の回線から運用が始まっています。
出典:JALカード、自律型AIオペレーター「X-Ghost」を導入 | Gen-AX株式会社 発行元:Gen-AX株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
JALカードのコンタクトセンターでは、カード利用に関する問い合わせが多様化・高度化し、対応件数の増加とともにオペレーターの負荷が重くなっていました。加えて、番号を選んで進む従来のIVRでは、目的の窓口に届くまでに時間がかかり、一度で適切な窓口につなげられずに転送が発生する状況も生まれていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの中心は入電の量そのものではなく、電話の入口の設計にあったのではないでしょうか。番号を押させる方式は、あらかじめ用意した分類に顧客のほうが自分の用件を当てはめる仕組みであり、問い合わせが複雑になるほど当てはめは難しくなります。窓口を誤った入電は、顧客側には待たされたうえで話し直す時間として、現場側には転送と再ヒアリングの工数として、二重に跳ね返る。件数を減らす手前に、最初の仕分けの精度という解くべき論点があったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
まず効いていると考えられるのは、音声を一度テキストに変換せず、音声のまま理解して応答を生成するSpeech-to-Speechという方式を土台に置いた設計です。文字起こしを挟む構成では、変換の段階で言い淀みや語調といった情報が削られ、処理が増えるぶん応答も遅れます。電話は数秒の間が生じただけで顧客が話し直したり切ってしまったりする経路であり、情報欠損とレイテンシー(応答の遅れ)を同時に抑えるという着眼は、電話という媒体の弱点に正面から合わせた選択だといえます。
次に、AIの担当範囲を「的確なヒアリングと振り分け」に定義し、高度な判断が必要な用件は人のコミュニケーターへ渡す役割分担の置き方です。AIにすべてを完結させようとすると、難しい応対ほど破綻が目立ちますが、入口の聞き取りと交通整理に軸足を置けば、AIが得意な領域と人が価値を出す領域が重ならずに済みます。紛れ込み入電の抑止を最初の目標に据えた点にも、効果が測りやすい位置から手を付ける判断が読み取れます。
三つ目は、安全側の作り込みと段階的な進め方を組み合わせた運び方です。会話内容からリスクを判定するモニタリングAIと、不適切な回答を抑えるガードレール制御を重ね、会話の文脈に応じて社内システムやデータベースへ接続する連携も備えたうえで、本格導入の前にAI完結の正答率・人への接続成功率・コンプライアンスの遵守率という三つの観点で検証を行っています。金融サービスの応対では、正しく答えられるかと同じ重みで、言ってはいけないことを言わないかが問われる。その両面を事前の評価軸に据え、一部回線から開始する形にしたことで、品質を確かめながら範囲を広げられる状態がつくられています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
本格導入に先立つ検証では、AIだけで完結した応対の正答率が9割以上、人のコミュニケーターへの接続成功率が9割以上、コンプライアンスの遵守率は基準をクリアするという結果が出ており、これを受けて2026年4月15日から一部回線での導入が始まりました。現時点で公表されているのは検証段階の評価であり、運用後の削減実績ではありません。導入によって目指されているのは、適切な一次振り分けによる紛れ込み入電の抑止、対話による分かりやすい動線づくり、そして人的リソースを高度な対応へ集中させることです。
うちでも使える?
応用が見込みやすいのは、電話の入口で用件の仕分けに時間がかかっている窓口です。問い合わせの種類が多く、音声ガイダンスの階層が増えるほど選択を誤る顧客が出る、というかたちで困っている現場であれば、AIが用件を聞き取って振り分ける役割はそのまま重なります。逆に、最初の一言から担当者の判断や条件交渉が必要な相談、あるいは個別の契約内容や金額に深く踏み込む応対が大半を占める窓口では、AIが完結できる範囲は狭くなり、振り分け精度そのものも上がりにくくなります。
もう一点、見落としやすい前提が社内システムとの接続です。この事例のように会話の文脈に応じて情報を参照・更新するには、回答の根拠となるデータが整理され、外部から呼び出せる状態になっている必要があります。ここが紙や個人の記憶に残っていると、音声対話の部分だけを整えても回答は返せません。
手を付ける最初の一歩としては、自社の音声ガイダンスを顧客と同じ順路で最初から最後まで聞き通し、どの階層で迷いが生まれるかを自分の耳で確かめてみるのはいかがでしょうか。
この事例は2026年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
Gen-AX株式会社
生成AIを活用したSaaS事業および専門コンサルティングサービスを提供する企業。ソフトバンク株式会社が株式を100%保有し、自律型AIオペレーター「X-Ghost」を開発している。
株式会社ジャルカード
出典・参考情報
JALカード、自律型AIオペレーター「X-Ghost」を導入 | Gen-AX株式会社
発行元:Gen-AX株式会社
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