実施 2026.04 ・ 更新 2026.08.15
住宅ローンの返済リスクをAIで予測、地域金融グループの審査業務へ実務適用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 昔からの判定ルールが今の情勢に合わない
- 審査の回答に時間がかかっている
- 既存システムを作り替えずAIを足したい
どのようなAIの取り組み?
住宅ローン申込者の返済リスクをAIで予測するモデルを構築し、既存の審査システムとAPIでつないで実務適用したAI取り組み
業種
銀行持株会社(金融・保険)
取り組み領域
住宅ローン審査/信用リスク評価
使ったAI
AIスコアリングモデル(機械学習による予測)
主な成果
従来型モデルより予測精度を高め、審査回答の迅速化と工数削減を見込む
三菱総合研究所が、めぶきフィナンシャルグループ向けに住宅ローン審査で用いるAIスコアリングモデルを構築し、2026年4月1日から実務への提供を開始しました。申込情報や信用情報などをもとに、返済ができなくなる可能性(デフォルト確率)を予測するモデルで、同グループの融資実績データや住宅ローン審査の実態を踏まえて構築・調整されています。判定結果は、同グループが個人ローンの受付・審査に使っている個人ローン業務支援システム(アイティフォーの「SCOPE」)とAPIでつなぐ形で受け渡され、支援システム側の大規模な改修は伴っていません。すでに実務適用されている審査AIサービスのラインナップを広げる位置づけで、1回のAPI通信で信用リスクの計量結果と諾否判定結果の両方を受け取れる構成です。めぶきフィナンシャルグループが、このモデルの初の導入先となります。
出典:めぶきフィナンシャルグループに「AIスコアリングモデル」の実務提供開始 審査AIサービスとの連携により、信用リスク評価と審査判断の高度化を支援 | ニュースリリース | MRI 三菱総合研究所 発行元:株式会社三菱総合研究所
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
住宅ローンの審査では、申込情報や信用情報から申込者の信用リスクを把握し、可否の判断だけでなく金利や保証料の設定にも使うスコアリングモデルが要になっています。従来型のモデルは5〜10項目程度をもとに判断する作りで、金利上昇や物価上昇といった急速な経済情勢の変化に、そのまま追随しづらい面がありました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「予測が当たらない」という精度単体の問題ではなく、環境が動くたびにモデルを検証し直し、作り替え続けられるかという運用の持続性にあったのではないでしょうか。少数の項目で組まれたモデルは分かりやすい半面、前提となる環境が変われば土台ごと揺らぎます。データの蓄積とAI技術の発展という条件がそろったことで、高精度で、かつ柔軟に運用できるモデルという要求が、ようやく現実的な選択肢として浮上した。そういう順序だと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
めぶきフィナンシャルグループの融資実績データを使い、同グループ固有の審査の実態やポートフォリオ(保有する融資全体の構成)特性に合わせて構築・調整した設計が、この取り組みの土台です。住宅ローンの申込者層も、審査で重く見る観点も、金融機関ごとに異なります。汎用のモデルをそのまま当てはめるのではなく、自社の実績データで測り直す進め方をとったことで、モデルが出す数字が現場の判断感覚と接続しやすくなったと考えられます。
予測精度だけを追わず、判断根拠の確認のしやすさと、継続的な運用への配慮を同時に設計条件へ置いた点も見逃せません。融資の可否は申込者の生活に直結し、金融機関には説明する責任が伴います。中身の見えないモデルが高い数字を示したとしても、審査を担う側がその結果を引き受けられなければ、実務には乗らないはずです。地域金融機関のリテールローン分野でモデル構築と導入後のモニタリングを重ねてきた知見が、この条件設定に効いたのではないでしょうか。
導入の重さを実装方式で下げた点も、要因として挙げられます。評価結果を個人ローン業務支援システムとAPIで連携する方式にしたことで、受付・審査を担う既存システム側の大規模な改修を避けています。さらに、先行して実務適用していた審査AIサービスの接続基盤を再利用し、1回のAPI通信でスコアリング結果と諾否判定をあわせて受け取る構成としました。触る範囲をモデルの外側に広げない設計は、外部環境やポートフォリオの変化に応じてモデルだけを定期的に検証・更新できる余地も残します。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
5〜10項目程度で判断していた従来型モデルに対し、より多様な項目から複雑な関係性を捉える構成となり、デフォルト確率の予測精度を高める形が実現しています。信用リスクを精緻に把握できることで、これまでの基準では融資判断が難しかったケースでも、客観的な評価に基づいて判断できる余地が生まれます。一方、審査回答のスピード向上や審査判断にかかる工数削減、プライシングの高度化は、一体で支援する狙いとして示されている段階で、実務での定量的な効果は公表されていません。今後は運用状況と精度の継続的な検証が予定されています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、判断の材料が社内データとして蓄積されていて、同種の判断が繰り返し発生する業務です。今回のように、過去の申込内容とその後の結果がセットで残っている領域は、AIが学ぶための条件を満たしやすいといえます。逆に難しいのは、判断の正解が数年単位でしか確定しない業務です。返済が滞るかどうかは長い時間をかけて表面化するため、学習に足るデータが貯まるまで待つ必要があり、取引件数の少ない事業者がすぐ同じ形を取れるわけではありません。顧客に理由を説明する場面がある業務なら、精度と同じ重さで、根拠を確認できるかどうかを要件に入れておきたいところです。
手をつけるなら、いま使っている業務システムに、外から判定結果を受け取れる口(APIなど)が用意されているかを確かめるところから。連携の口さえあれば、システム本体を作り替えずに判定部分だけを差し替える形が視野に入ります。
この事例は2026年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社三菱総合研究所
地域金融機関のリテールローン分野において、スコアリングモデルの構築と導入後のモニタリングを行い、AIを活用した審査業務の自動化・効率化に取り組む企業。AIコンサルティング本部を有する。代表取締役 社長執行役員は籔田健二。
株式会社めぶきフィナンシャルグループ
出典・参考情報
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