実施 2026.06 ・ 更新 2026.08.15
開発基盤の準備時間が約1/10に、広島銀行のインフラ自動化とAIエージェント
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 手作業の環境構築でミスが出る
- ベテラン不在で作業が止まる
- AIが書くコードの精度が低い
どのようなAIの取り組み?
クラウド開発基盤の構成をコードで記述し、AIエージェントと組み合わせて基盤の準備時間を約1/10に短縮したAI取り組み
業種
地方銀行(金融・保険)
取り組み領域
IT基盤/クラウド開発環境の構築
使ったAI
GitHub Copilot コーディング エージェント(AIエージェント)
主な成果
新たな開発環境の準備時間を約1/10に短縮
広島銀行は、IT統括部内に置いたインフラの内製化組織「C-BIZラボ」を軸に、開発の内製シフトを進めています。従来はクラウド上に開発基盤を用意するたび、サーバやネットワークの仕様を管理画面で一つずつ設定する手作業が必要でした。メインで使うAWSにMicrosoft Azureを加えるタイミングで、構成情報をコードとして記述するIaC(Infrastructure as Code、インフラの構成をコードで管理する技術)を採用。TIS株式会社をパートナーに、ひとつの開発環境あたり約10,000行規模のテンプレートを開発しました。ネットワーク構成とテンプレート開発をTISが、金融機関に求められるセキュリティ要件の設計を広島銀行が担う分担で進み、プロジェクト終盤にはGitHub上で使えるAIエージェント機能を試験的に取り入れ、このテンプレートを参照させています。
出典:株式会社 広島銀行様 | お客様事例 | TISI株式会社 発行元:TIS株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
新しい基盤が必要になるたび、担当者が管理画面でサーバやネットワークの仕様を設定していく。この手作業には、設定ミスが起きやすいという分かりやすい問題に加えて、インフラの知見を持つベテランが不在だと作業そのものが止まってしまうという詰まりもありました。
編集部の見立てでは、ここでの本質は作業量の多さではなく、「正しい構成の姿」が個人の頭の中にしか存在していなかった点にあります。手順が人に紐づいている限り、どれだけ習熟しても供給できる速度は担当者の稼働時間に縛られ、出来上がる基盤の品質も担当者ごとに揺れます。内製で開発スピードを上げようとしたときに真っ先に効いてくるのは、実はこの再現性の欠如ではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
約10,000行に及ぶコードのうち、約8割を繰り返し利用できる共通部分として固定し、残りを仮想サーバの仕様や連携するネットワークを指定する可変パラメータとして切り出した構造設計が、この取り組みの土台です。基盤を一つ増やすたびに全体を書き起こすのではなく、変わる部分だけを差し替えれば済む形にしたことで、高度なスキルがなくても正確性と一貫性の保たれた構成を用意できる状態が生まれました。この構造が論理的に体系化されていたことは、後から試されたAIエージェントの出力精度も左右しており、生成されるコードの質がAI側の性能だけでなく、参照先の整い方に強く依存することを物語ります。叩き台どまりだった出力が、テンプレートを参照させた途端に実用的な水準へ変わった経緯は、その関係を素直に示すものではないでしょうか。
コードの随所に詳細な日本語の注釈を差し込んだ点も、効いた工夫です。どの行が何の設定を意味するのかを担当者が直感的に読み取れるようにする配慮は地味に見えますが、テンプレートを担当者自身が触れる状態に保つための設計判断だと考えられます。読めないコードは書き換えられず、書き換えられないテンプレートは結局ベテラン頼みへ逆戻りしてしまう。
役割分担と承認の設計も見逃せません。ネットワーク構成とテンプレート開発をTISが、金融機関に求められるセキュリティ要件の設計を広島銀行側が受け持ち、チャットやWeb会議で意見を交わしながら設計内容を固めていきました。書き換えたコードがすぐには本番環境に反映されず、権限を持つ上長の承認を経てから反映される関門を仕組みの内側に埋め込んだことで、展開の速さと統制の両立が成り立っています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
新たな開発環境の準備にかかる時間は約1/10に短縮され、限られた人員でも開発チームの要望にすぐ応えられるようになりました。AIエージェントの併用によって、環境構築のコーディング作業時間は実質10分の1程度まで減らせるようになり、担当者は設計やレビューに時間を向けられます。IaC導入から最初の4カ月では6件の開発基盤が構築され、C-BIZラボでは生成AIを使った融資稟議書の作成支援アプリなどを内製でアジャイル開発し、業務に投入しています。クラウドやIaC、セキュリティ設計の知見が社内に蓄積された点も、効率化と並ぶ成果として挙げられています。
うちでも使える?
この進め方が効きやすいのは、似た構成のものを何度も用意する仕事です。開発環境に限らず、店舗ごとの設定や案件ごとの初期セットアップのように、大部分が共通で一部だけが変わる作業であれば、共通部分を型として固定し、変わる部分をパラメータとして切り出す考え方はそのまま応用できます。AIに手伝わせる場合も、この事例が示すとおり、参照させる型の品質がそのまま出力の質に跳ね返ります。
一方で、一件ごとに要件が大きく異なる一点物の構築や、既存の環境が手作業で積み上げられていて「今どうなっているか」の仕様すら残っていない状態では、型を作る前段の整理に相当な労力がかかります。承認の流れを仕組みの中に組み込めるかどうかも、組織によって難易度が変わるところ。まずは直近で作った環境や設定の手順書を一つ選び、毎回同じ箇所と案件ごとに変わる箇所に線を引いてみてください。その線引きができた時点で、AIに渡せる型が手元にあるかどうかも見えてきます。
この事例は2026年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
TIS株式会社
TISインテックグループのIT企業。IT基盤技術事業本部やデジタルイノベーション事業本部を擁し、クラウドとIaCの知見を活かして顧客のDX推進を支援する。「Microsoft Top Partner Engineer Award」受賞エンジニアが複数在籍する。
株式会社広島銀行
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