実施 2024.01 ・ 更新 2026.08.13
千葉銀行が挑んだ行員のAI・機械学習研修、業務課題で試作開発まで
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- データはあるのに活かせていない
- 社内にAIが分かる人がいない
- AI導入の可否を判断できない
どのようなAIの取り組み?
Google Cloudのコンサルティングチームと連携し、行員がAI・機械学習を基礎理論から試作開発まで実地で学んだAI取り組み
業種
地方銀行(金融・保険)
取り組み領域
デジタル戦略/行員のAI人材育成
使ったAI
生成AI(Gemini Pro)・機械学習
主な成果
行員がAIシステムの試作品を多数作成できる段階まで到達
千葉銀行は2024年1月にGoogle Cloudとジョイントビジネスプラン(JBP、共同での事業計画)に合意し、Google Cloud ConsultingのAdvanced Solutions Lab(ASL)チームと組んで、行員のAI・機械学習スキルを高める取り組みを進めました。ASLチームは機械学習やAIの経験がない参加者を想定した基礎カリキュラムを設計し、テキスト分析やコンピュータビジョン、生成AIを支える理論をGoogleのエンジニアが講義しています。座学だけで終わらせず、銀行の実務と関連の深いユースケースで参加者が手を動かす段階まで進み、行内の事務規定に関する質問に答えるGemini Proベースのチャット機能や、文章と画像を生成して広告クリエイティブをつくるシステムなど、複数の試作品が組み上げられました。
出典:千葉銀行 の導入事例 | Google Cloud 発行元:Google Cloud
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
千葉銀行は、アンケートや問い合わせ窓口を通じて長年にわたり膨大なテキストデータを蓄えてきた一方で、それを活かす専門知識や手法が行内に不足していました。行員の多くはマーケティングやビジネス、システムの専門家であり、データサイエンスやAI・機械学習を扱うスキルセットまでは備えていません。このデータリテラシーの差が、顧客や地域について読み取れるはずの分析情報を実際の経営判断へつなげる妨げになっていた、というのが出発点です。
編集部の見立てでは、困りごとの核心はツールでもデータでもなく、AIで何ができて何ができないかを見極められる人が行内にいなかったこと、その一点に集約されるのではないでしょうか。金融サービスは扱う情報の機密性が高く、選択を誤ったときに信用が損なわれる度合いも大きいため、経営幹部はAIや機械学習の活用に慎重になりやすい。判断材料を自前で持てない組織ほど、検討を重ねるほどに調査段階から先へ進めなくなります。
どうやって、うまくいったのか
機械学習の経験がない参加者を前提に、理論から積み上げるカリキュラムをわざわざ設計し直した点が、この取り組みの起点になっています。テキスト分析、コンピュータビジョン、生成AIといった応用領域を支える考え方を、Googleのエンジニアが直接講義する構成です。ツールの操作手順から入るのではなく仕組みの理解を先に置く順序は、次に別の技術が現れても効き続ける土台をつくります。
学んだ内容を、自行の業務に結びついたユースケースへそのまま接続した設計も効いています。参加者はエンジニアの指導のもとで、行内の事務規定に関する問い合わせに答えるGemini Proベースのチャット機能や、文章と画像の生成を組み合わせた広告クリエイティブ生成システムなど、複数の試作品を自分たちの手で組み上げました。題材が架空の練習問題ではなく実際の銀行業務から選ばれているため、動くものができた時点で、自分の部署のどこに当てはめられるかという発想が自然に立ち上がります。
作り方だけでなく、評価と見極めの手順まで研修の射程に入れた設計は、この事例で最も再現価値が高い部分だと考えられます。参加者は回答の精度を上げる方法、AIモデルの性能を評価する方法、そしてデータソースの扱いで注意すべき点についてアドバイスを受けています。技術解説イベントにGoogleの機械学習エキスパートが招かれ、行員側から関心のある分野の詳しい講義をリクエストできる形も併走しました。学ぶ側が受け取る中身を選べる仕組みは、研修を一度きりのイベントで終わらせないための工夫。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
研修を受けた行員はAI・機械学習を活用するための手がかりを得て、銀行業務でのAI活用への期待を高めています。その経験を自分の部署へ持ち帰る動きも生まれ、チーム内での技術への関心が広がりました。AIプログラミングの実体験と認識の向上により、機械学習をどう使うか、どの業務領域に当てはめるかを以前より自信を持って判断できるようになった参加者が多く、ソリューションを実際のプロジェクトへ取り込む際のタイムラインやワークフローについての理解も得られています。なお、この過程で作られたのは試作品であり、本番稼働や定量的な効果までは示されていません。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、活用できそうなデータはすでに手元にあるのに、それを読み解ける人が社内にいないという状態の組織です。この事例で選ばれたのは、システムを丸ごと外部に発注する道ではなく、自社の人が理解する力を先に育てる道でした。データの中身も業務の勘所も自社の人間が一番よく知っているのですから、判断の土台を内側に置く順序には合理性があります。
一方で、そのまま真似しにくい面もあります。クラウド事業者の専門家チームが講師につき、自行のユースケースに合わせたカリキュラムを組む形は、提携の規模に左右されるため、同じ体制を小さな会社が用意するのは現実的ではありません。加えて、この取り組みで生まれたのは試作品であり、そこから実際の業務で使える水準へ引き上げる工程は別に必要になります。研修を受ければ翌月から成果が出る、という話ではない点は押さえておきたいところ。
手始めとしては、社内の誰か一人が、外部に出しても差し支えない規定やマニュアルを題材に、質問に答えさせる小さな試作を作ってみるのはどうでしょうか。AIとの距離を測るには、動くものを一度自分の手で触ってみるのが近道です。
この事例は2024年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
千葉銀行
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