実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.14
大和証券が月52時間短縮、コンタクトセンターのメール対応を定型文ナレッジで標準化
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 同じ内容の返信を毎回書き直している
- ベテランの回答文が個人の手元にしかない
- 新人が一人前になるまで時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
メール返信の定型文をチーム全員が引き出せる形で共有し、1カ月あたりの応対時間を合計52時間短縮したAI取り組み
業種
証券(金融・保険)
取り組み領域
コンタクトセンター/メール対応
使ったAI
KARAKURI assist(ナレッジ検索・定型文活用ツール)
主な成果
1カ月で応対時間を合計52時間削減
大和証券のコンタクトセンターは、電話に加えてメールでも問い合わせを受けていますが、返信に使う定型文は個人の手元で管理され、共有する仕組みがありませんでした。そこで定型文とナレッジを蓄積・検索できる基盤としてKARAKURI assistを選定し、2024年11月にメール対応チームの13名が同時に無償トライアルを開始しています。使い方は検索を中心としたシンプルな形から入り、目的の文面にたどり着きやすいようタグの付け方を現場で見直しながら定着を進め、2025年2月に本格運用へ移行しました。運用面では定型文の登録を上席者に限定せず、登録件数を競うコンペや、よく使われた定型文の登録者を表彰する仕組みを設けています。
出典:属人化を解消し応対時間52時間削減!大和証券のナレッジ活用術 発行元:KARAKURI Inc.
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
証券会社のコンタクトセンターには、口座やオンラインサービスの使い方から制度に関する相談まで幅広い問い合わせが集まります。大和証券でもNISA(少額投資非課税制度)に関する問い合わせがネット証券を中心に急増し、ログインや注文手続きといった基本操作の質問も多く、相場の変動で入電件数が日々動く不安定さも抱えていました。メール対応では、返信に使う定型文がマニュアル化されず個人の管理に委ねられ、新人は活用のノウハウを持てないまま、一人立ちまでにおよそ半年を要していました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は問い合わせの量ではなく、回答をつくる過程が個人の中だけで完結していた点にあります。証券のメール回答は、コンプライアンスチェックや関係部署への確認を経て初めて送信される、手間をかけた成果物です。それが送信と同時に個人のフォルダへ沈み、次の担当者は同じ確認をやり直す。繁忙期に教える側の手が空かなかったのも、時間が足りないというより、渡すべき中身が形になっていなかったからではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
定型文の登録を上席者に限定せず、オペレーター一人ひとりが自由に登録できるようにした運用設計が、この取り組みを支えていると考えられます。本格運用に移ってからは、チーム内で登録件数を競うコンペを行い、期間中に最も多く使われた定型文を登録したメンバーを表彰する仕組みも用意されました。ナレッジ整備を管理側の仕事として切り出してしまうと、現場は使う側に固定され、書かれた内容が実務とずれても直す動機が生まれません。登録の権限と称賛の対象を現場側へ置いた設計は、その固定を外し、日々の応対で磨かれた言い回しがそのまま組織の資産になる流れをつくったのではないでしょうか。
検索されるときの言葉に合わせてタグを付け直した工夫も見逃せません。初期に登録した定型文はタグの設定が不十分で目的の文面にたどり着きにくく、後から見直す対応が入りましたが、その際にお客さまから寄せられる質問に対応する回答を想定した文言で登録する方針へ切り替えています。蓄積された文書は、探して出てこなければ無いのと同じです。書き手の整理軸ではなく探し手の言葉を基準に置いた判断が、現場で本当に使われるかどうかを分けたと見ています。
定型文として流通しているのが、コンプライアンスチェックや関係部署への確認を通過した回答文に限られる点も、金融という業種を踏まえると重要な設計です。回答の正確さが厳しく問われる現場でナレッジ共有が進みにくい理由は、共有の手段よりも、共有された文言をそのまま使ってよいのかという判断の負荷にあります。確認済みの文面だけが棚に並ぶ状態にしておけば、使う側は内容の妥当性を毎回ゼロから検討せずに済みます。品質管理の工程と再利用の仕組みを重ねた形であり、規制の厳しい業務ほど効いてくる考え方。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
本格運用へ移る直前、2025年1月の1カ月間に対応したメール全件を調べたところ、約3割の問い合わせで定型文を活用できていました。定型文を使ったケースでは1件あたりの対応時間が平均で約6分50秒短くなり、1カ月の合計では52時間の削減が確認されています。裏を返せば残る7割は個別に書き起こす対応であり、効率化が効く範囲とそうでない範囲が同じ数字から読み取れます。今後は新人研修にかかる時間の短縮や、チャットなど電話以外のチャネルへの拡張が目標に挙げられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、同じ趣旨の回答を繰り返し書いている業務です。問い合わせの一部でも文面がパターン化していて、回答をテキストで返す仕事であれば、業種を問わず同じ構図が当てはまります。とりわけ、送信前に上長や関係部署の確認が必要な業務ほど、確認を通った文面をそのまま再利用できる効果は大きくなるはずです。
反対に、一件ごとに顧客の状況や交渉の経緯を踏まえて書き分ける必要があり、過去の回答をほぼそのまま流用できない業務では、文面を貯めても引き出す場面が訪れません。この事例でも定型文が使えたのは全体の一部で、残りは個別対応でした。同じ文面で返せる問い合わせがどのくらいあるのか、導入前に感触を持っておくと期待値がずれずに済みます。
最初の一歩は小さくて構いません。先週自分が送った返信のうち、他の人がそのまま使えそうな一通を選び、検索するときに打ちそうな言葉をタグとして付けて共有してみる。この一往復だけで、自社のナレッジ共有がどこで詰まるのかが見えてきます。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
大和証券株式会社
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
