実施 2026.05 ・ 更新 2026.08.14
三井ダイレクト損保、ログイン電話を音声AIへ切り出し24時間化で解決率3割
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 同じ説明の電話に毎回1時間取られる
- 営業時間外の問い合わせに応えられない
- 自動音声だと途中で切られてしまう
どのようなAIの取り組み?
マイページのログイン問い合わせを対話型の音声AIに切り出し、24時間365日の自己解決窓口を立ち上げたAI取り組み
業種
損害保険業(金融・保険)
取り組み領域
お客さまセンター/マイページのログイン案内
使ったAI
KARAKURI voice agent(対話型の音声AI)
主な成果
導入初期時点で解決率は約3割、24時間365日の自己解決窓口を構築
三井ダイレクト損害保険が、マイページへのログインに関する電話問い合わせを、電話口で会話しながら案内する対話型の音声AI「KARAKURI voice agent」に切り出しました。契約件数が100万件を超えて入電が増えるなか、2024年7月のホームページリニューアルでパスワード要件を強化したことをきっかけに、ログイン関連の電話は一時的に2〜3倍へ。案内の中身はほぼ決まっている一方、一度つまずくと通話が1時間ほどに及ぶこともある領域です。開発元のカラクリを含む5社を比較したうえで、会話の滑らかさと、チャットボット運用で積み上げてきた質問と回答のセットをそのまま回答の土台にできる点を評価して採用。営業時間の18時を過ぎても案内できる窓口が用意されました。
出典:「これなら会話になる」三井ダイレクト損保が挑む、音声AIによる自己解決体験の進化 発行元:KARAKURI Inc.
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
電話が増えていた背景には、契約件数の伸びだけでなく、Webやチャットよりもまず声で確かめたいという契約者層の存在がありました。保険という商材の性格上、「これで本当に大丈夫か」を文字だけで済ませたくないという心理も働きます。一方で働き手の確保は年々難しくなり、すべての入電を人が受け続ける体制には限界が見えていました。
編集部の見立てでは、この事例の困りごとの核心は入電の量ではなく、人の時間の配分が崩れていた点にあります。ログインの案内は内容が固定化されているのに、一度つまずいた相手にはインターネット操作全般の付き添いが必要になり、一件で1時間近くを費やすこともある。定型なのに重い、というねじれた性質の用件が、保険の相談や契約手続きといった個別性の高い対応へ振り向けるべき時間を静かに削っていた。減らすべきは電話の本数ではなく、人が張り付く用件の選び方だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
対象をマイページのログイン案内という一点に絞り込んだ設計が、まず効いています。この領域は案内の中身が固定化されている一方、人が受けると通話が長引きやすい。自動化がうまくいく確度を見積もりやすく、外したときの損失が小さく、当たったときに浮く時間は大きいという、条件のそろった用件でした。AIに任せる範囲を最初から広く取らず、性質の見極めがついたところから入る判断が、実運用に耐える出発点になったと考えられます。
回答の土台に、チャットボットの運用で自社が作り込んできた会話カード(質問文と回答文をセットにしたナレッジ)を据えた組み立ても大きい。案内してよい内容があらかじめ確定しているため、AIが事実と異なる回答を作ってしまうリスクへの懸念を抑えやすく、社内の承認を取る場面でも説明が通しやすくなります。現場から見た運用イメージが「会話カードを作ればよい」に単純化された点も見逃せません。既存のナレッジ資産を、新チャネルの安全装置と構築期間の短縮という二方向に同時に効かせた設計です。
選定の軸を機能の多寡ではなく会話の自然さに置いた判断も、この形を支えています。途中で「ちょっと待って」と言われたときに会話が崩れないか、キーワードを伝えるだけで意図をくみ取れるか。5社の比較はこの観点で行われました。文字では不安だから電話をかけてくる相手に機械的な読み上げを返せば離脱に直結する、という読みをそのまま評価基準へ落とし込んだわけです。導入後も、音声のイントネーションや話し方の細かな違和感を開発元のカラクリへ随時渡し、短いサイクルで調整を重ねる分担が敷かれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
導入初期の実績は、解決率が約3割、人への引き継ぎが約2割、離脱が約5割。当初想定していた6割の自己解決には届いておらず、どこで離脱が起きているのかを利用データから追う改善が続いています。一方で、18時までだった受付が24時間365日に広がり、これまで営業時間外アナウンスで終わっていた問い合わせにも自己解決の機会が生まれました。AI対応への苦情は取材時点の2026年5月で0件、60代・70代の契約者に利用されているケースも確認されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、案内の中身がほぼ決まっているのに、つまずいた相手への付き添いで通話が長引く用件です。ログイン、パスワードの再設定、書類の記入方法のように答えが一つに定まる問い合わせは会話の分岐が読みやすく、すでにFAQやチャットボットの回答文を持っている組織なら、それを土台にして立ち上げの助走を短くできる余地があります。
逆に、この形がそのまま効きにくい場面もはっきりしています。三井ダイレクト損保でも、人への引き継ぎの多くは「AIが嫌だ」という理由ではなく、今どの画面にいるのか、次にどこを押すのかという操作の伴走で発生しています。相手の画面が見えないまま手順を導く必要のある用件や、契約内容の判断が絡む相談を音声だけで完結させるのは難しいと見ておくべきでしょう。試すなら、直近の通話記録から「毎回ほぼ同じ説明をしているのに長い」用件を一つ選び、その説明を電話で話している言葉のまま質問と回答の形に起こしてみる。自動化の見込みは、その一枚を書いた時点でかなり見えてきます。
この事例は2026年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
KARAKURI Inc.(カラクリ)
KARAKURI chatbot、KARAKURI voice agent などのAIプラットフォーム/AIサービスを提供する企業。LLMの研究開発も行う。
三井ダイレクト損害保険株式会社
出典・参考情報
「これなら会話になる」三井ダイレクト損保が挑む、音声AIによる自己解決体験の進化
発行元:KARAKURI Inc.
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