実施 2025.12 ・ 更新 2026.08.13
通信のない太陽光発電所にAIカメラ、三井住友海上のケーブル盗難対策
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 遠隔地の設備に通信がなく監視できない
- 現地の見回りに時間とコストがかかる
- 少人数で新規事業を回している
どのようなAIの取り組み?
通信環境のない遠隔地の太陽光発電設備へ、モバイル回線をセットにしたAIスマートカメラによる遠隔監視を届け、ケーブル盗難対策に取り組んだAI活用事例
業種
損害保険(金融・保険)
取り組み領域
新規事業/太陽光発電設備の遠隔監視
使ったAI
AIスマートカメラ(画像認識AI)
主な成果
通信環境のない遠隔地でもAIカメラによる監視の提供が可能に
三井住友海上火災保険は、2022年12月に社内ベンチャーとして立ち上げたIoT事業「MS LifeConnect」で、AIスマートカメラを使った見守りサービスを提供しています。当初は個人の住宅向けでしたが事業者向けにも広がり、銅価格の上昇を背景に頻発する太陽光発電設備のケーブル盗難という課題に直面しました。ところが発電設備の多くは人里離れた場所にあり、通信環境がないためカメラを置けません。そこで同社はNTTドコモビジネスの「ドコモIoTマネージドサービス」を採用し、ゲートウェイ、モバイル回線(SIM)、運用保守をひとまとめにして提供できる体制を整えます。映像のアップロードが中心という使い方に合わせた低価格のSIMプランなど、事業の特性に沿った構成が組まれました。
出典:導入事例 三井住友海上火災保険株式会社 | NTTドコモビジネス 法人のお客さま 発行元:NTTドコモビジネス
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
銅の価格上昇とともに太陽光発電設備のケーブル盗難が相次ぎ、保険金の支払いが急増した結果、損害保険業界として盗難補償そのものを提供しにくい状況が生まれていました。補償という手段が使えなくなった領域で、それでも顧客のリスクに応える代替の手立てを用意する必要があったわけです。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの中心は「盗難をどう検知するか」ではなく、検知の仕組みを届けられる場所が限られていたことにありました。AIスマートカメラという手札はすでに持っている。しかし発電設備は地方部や山間部に点在し、そこには通信環境がない。欠けていたのは技術ではなく、技術が動くための前提条件のほうでした。さらにこのプロジェクトは保険会社の社内ベンチャーであり、通信の保守を担う専門的な知見も社内には十分ではありません。自社の守備範囲の外側にある条件が、事業を広げる関門になっていた構図だと読み取れます。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、SIMだけを単体で買わず、ゲートウェイとモバイル回線、運用保守までを一つの窓口にまとめて調達するという設計です。回線だけを手に入れる形にすると、周辺機材の調整や管理、通信トラブルの一次対応が自分たちの仕事として残ります。通信の専門知見を持たない体制でそれを抱え込めば、問い合わせが来るたびに事業側の手が止まりかねません。守備範囲の外にある領域をまとめて外部の窓口へ寄せた判断が、少人数のまま事業を前に進める条件になったと考えられます。
もう一つは、汎用の通信プランをそのまま当てはめず、使い方の偏りに合わせて回線を設計した点です。カメラの映像を送るという用途では、通信量が上り方向に大きく偏ります。その偏りを前提にした低価格のプランを組めば、遠隔地に1台ずつ設置していく事業の採算に無理が生じにくくなる。AI活用の議論は検知の精度に集中しがちですが、実際に現場へ広げられるかどうかは、こうした足回りの条件設計に左右される場面が少なくありません。
選定の軸を、機器単体の性能ではなく企画から運用保守までを含めたトータルの提案に置いたことも見逃せません。事業の内容を理解した上での提案かどうか、通信品質やエリアカバー率といった動作の前提が満たされるかどうかを、同じ土俵で比べています。リスクを扱うことを本業とする組織らしく、自社の事業運営そのもののリスクを選定基準に組み込んだ進め方でした。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
通信の問題が解けたことで、限られた人数の社内ベンチャーでもIoTネットワークの一元的な提供と、保守を含む安定運用ができる状態になりました。最初の導入先である発電事業者の太陽光発電設備では、AIが人・動物・車両などを見分けて人の侵入だけを通知し、サイレン音と3000ルーメンのフラッシュライトによる威嚇で盗難を抑止する運用が動いています。現地に足を運ばずに設備の状況を確認できる点も評価され、設置工事は秋口から順次進行中。展示会を起点とした商談のほか、熊などの野生動物検知や介護施設の見守りといった新たな用途も広がりつつあります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、検知の仕組みそのものより、それを置きたい場所に通信が届いていないことがボトルネックになっているケースです。資材置き場、農地、無人の設備など、人のいない場所を見ておきたいというニーズは業種を問わず出てきます。カメラやセンサーは既製品で揃うため、回線と保守をどう束ねて調達するかが、導入できるかどうかの分かれ目になりやすいところです。
一方で、この事例の形がそのまま当てはまらない場面もあります。検知したい対象が「人が入ってきた」ほどはっきりしておらず、わずかな状態の変化を人の目で判断しているような現場では、通知の基準づくりに手間がかかります。通知が届いた後に誰がどう動くかが決まっていなければ、検知できても被害は止まりません。まずは見たい場所に電波が届いているかを1か所だけ実地で確かめてみる。届いていないなら、回線と保守まで込みで面倒を見てもらえる調達の形があるかを取引先に聞いてみる。判断はその後で十分です。
この事例は2025年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
三井住友海上火災保険株式会社
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