更新 2026.08.14
セブン銀行、電話以外の対応比率を48%から70%超へ引き上げたチャット刷新
企業規模:1,000人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- チャットを用意したのに使われない
- 電話が鳴り続けて手が足りない
- オペレーターごとに回答の質がばらつく
どのようなAIの取り組み?
チャットボットと有人チャットのシステムを入れ替え、電話以外での問い合わせ対応の比率を70%超まで高めたAI取り組み
業種
銀行業(金融・保険)
取り組み領域
コンタクトセンター/問い合わせ対応
使ったAI
AIチャットボット・有人チャットツールとオペレーター支援ツール(KARAKURI chatbot・talk/assist)
主な成果
電話以外の対応比率が48%から70%超に上昇
セブン銀行の口座利用者向けコンタクトセンターは、2021年3月のシステム更改でSalesforceを軸にチャネルを一元化し、電話以外の対応比率を将来的に75%まで高める計画を掲げていました。ところが、あわせて使い始めたチャットボットへの問い合わせは月10,000〜12,000件から4,000件へ落ち込み、改善を重ねても6,000〜7,000件どまり。そこで2023年下期、5社の比較検討を経てカラクリ社のチャットボット・有人チャット(KARAKURI chatbot・talk)へ入れ替え、オペレーターが回答テンプレートを呼び出す支援ツールKARAKURI assistも導入しました。単なるツール差し替えにとどまらず、チャットボットを有人チャットの入口に据え、FAQや解決ページを整えたうえで問い合わせの動線そのものを組み直しています。
出典:ノンボイス比率70%超達成!セブン銀行が挑んだ顧客体験と業務効率の両立 発行元:カラクリ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
以前のチャットシステムでは、月10,000〜12,000件あった問い合わせが4,000件まで落ち込み、継続的な改善を重ねても6,000〜7,000件までしか戻りませんでした。基本的な使い勝手の面から、途中で自己解決をあきらめる利用者が少なくなかったためです。有人チャットの応対品質をどう上げるかも、並行した課題として残っていました。
編集部の見立てでは、ここでの本質は「電話以外のチャネルが足りない」ことではなく、「用意したチャネルが最後まで使い切られない」ことにあったのではないでしょうか。電話以外の比率を75%まで高める計画を掲げても、途中で離脱した顧客は結局電話に戻ります。件数の落ち込みは利用者が減ったという以上に、顧客がチャットを選ばなくなったという評価そのものであり、機能を足すことよりも、入口から解決までの流れを一本に作り直す必要があったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
選定の物差しを機能の多さではなく、既存のCRMとつながるかどうかと、現場が必要とする40項目の要件に置いた点が土台になっています。Salesforceとの連携が難しい候補はその時点で外し、残った候補には40の要件をどのレベルで実現できるかを一つずつ示してもらいました。誤送信したチャットを取り消せるか、画像を送受信できるかといった項目は地味ですが、以前は個別カスタマイズの開発コストや他機能への波及、元に戻せないリスクから見送られてきた部分であり、管理画面から自社で設定できる範囲の広さを重く見た判断がここに効いています。さらに、情報システム部門ではなく業務部門が主導する体制の弱いところは、カラクリ社が社内の関係部署や既存システムのベンダー、Salesforce社との折衝を支え、実装時の疑問に答える役割を担うことで補われました。
チャットボットを自己解決の終着点ではなく、有人チャットの入口として位置づけ直した動線設計も大きいでしょう。利用者の端末のブラウザ言語設定を自動で判別し、その言語に対応できるオペレーターへつなぐ仕組みを組み、FAQや解決ページで解けない場合にだけ有人チャット、さらに電話へ進む順序を作っています。メールやDMに載せる問い合わせ先をチャットボット専用のQRコードへ統一したのは、入口そのものを一本化する動きで、顧客が迷った末に電話を選ぶ余地を減らす狙いがあったとみられます。
オペレーター側の生産性を、気合いではなく道具と運用の設計で引き上げたことも見過ごせません。日本語と英語が混ざって使いづらかった回答テンプレートを言語別に整理し直し、KARAKURI assistから呼び出せるようにしたことで、一人が複数の会話を並行して扱える下地ができました。定着のさせ方も、まだ使っていない人に活用しているオペレーターの操作を見てもらう、新しく入る人には最初からこのツールを前提に業務を覚えてもらう、有効なテンプレートを多く作った人を表彰する、といった具体的な仕掛けに落とし込まれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
リプレイス前の2023年上期に48%だった電話以外の対応比率は、2024年上期には70%を超え、電話対応の比率は50%から28%へ下がりました。2024年3月に口座数が300万を突破し前年比10.2%増と伸びるなかでも電話が増えていない点は見逃せません。オペレーター一人あたり2〜3名の同時対応が定着し、1時間あたりの対応件数は電話対応の約1.5倍に伸びています。口座開設やローン関連の問い合わせでは顧客満足度の向上も見られ、応答率などの主要KPIも手作業のデータ加工なしに取り出せるようになりました。
うちでも使える?
応用しやすいのは、問い合わせの内容がある程度型にはまり、FAQや手続き案内で解決までたどり着ける領域です。この事例で効いた点の一つは、チャットを単体のツールとして足したのではなく、案内メールやDM、サイトの導線まで含めて入口を一本化したところにあります。すでにCRMなど顧客情報の基盤を持ち、そことつなげられるかどうかを選定条件に据えられる企業であれば、同じ考え方は追いやすいはずです。
一方で、本人確認や書面のやり取りが伴う手続き、状況を細かく聞き取らなければ判断できない相談は、テキストのやり取りだけでは完結しにくく、有人チャットや電話を残す前提になります。対応を外部に委託していて、オペレーターが現行ツールに習熟しているほど、乗り換えに伴う教育と習熟の負担が重くなる点も、この事例で検討材料に挙がっていました。
まず試すなら、自社の案内メールやサイトを顧客の目線で一度たどってみてはどうでしょうか。最初に目に入る問い合わせ先が電話番号のままになっている経路がいくつ残っているか。そこが出発点になります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
カラクリ
チャットボット・有人チャットツール「KARAKURI chatbot」「KARAKURI talk」およびオペレーター支援ツール「KARAKURI assist」を提供する企業。Salesforceとのシステム連携実績を持ち、導入時は社内関係部署や既存システムベンダー、Salesforce社との折衝支援や実装面のサポートも行う。CEOは小田氏。
株式会社セブン銀行
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