実施 2024.11 ・ 更新 2026.08.14
明治安田が健康診断書の読み取りにAI-OCR、1枚約3秒で91項目をデータ化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 紙の書類の入力に人手が取られる
- 書類の様式がバラバラで自動化できない
- 読み取り作業が特定の担当者頼み
どのようなAIの取り組み?
AI-OCRの読み取り対象を健康診断書へ広げ、1枚あたり約3秒で91項目のデータ化に取り組んだ事例
業種
生命保険(金融・保険)
取り組み領域
医療関連書類のデータ化業務
使ったAI
AI-OCR「Flax Scanner」(画像・文字認識AI)
主な成果
健康診断書91項目を項目単位精度平均89.06%で読み取り(提供元のテストデータ値)
明治安田生命保険相互会社は、医療機関が発行する書類のデータ化に、シナモンAIのAI-OCRエンジン「Flax Scanner」を使ってきました。これまで対象としてきた診療明細書と調剤明細書に加え、2024年11月からは健康診断書の読み取りにも利用範囲が広がっています。健康診断書は発行する医療機関ごとに様式が異なるため、シナモンAIは多様な様式に対応できるチューニングを施したうえで、健康診断書に頻出する91項目を読み取り対象として定義し、そのうち26項目を重点項目に位置づけました。読み取りの入り口はスキャンした画像に限られず、スマートフォン等のカメラで撮影して手振れや影、傾きが混じった画像データも対象に含まれます。
出典:明治安田に高精度AI-OCR「Flax Scanner」の提供を拡大 | 株式会社シナモン(シナモンAI) 発行元:株式会社シナモン(シナモンAI)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
医療機関から届く書類は、診療明細書、調剤明細書、健康診断書と種類が多く、そこに並ぶのは検査名や分類名といった専門的な語です。正確に読み取るには多くの人手がかかり、業務が特定の担当者に偏りやすく、コストがかさむ状態が課題として挙げられていました。
編集部の見立てでは、困りごとの重心は書類の枚数そのものよりも、様式が発行元ごとに違うことと、中身の意味を理解していないと正しく転記できないことが重なっている点にあります。様式が揃っていれば入力は分担できますし、中身が平易なら誰でも担当できます。その両方が同時に崩れているために、慣れた人だけが処理できる作業として残り、人を増やしても速くならない構造になっていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
読み取り位置をあらかじめ決めておく前提を外した点が、この取り組みの起点になっています。従来のAI-OCRで主流だった座標定義型は、どの位置に何が書かれているかを事前に定義できる書類でしか力を発揮しません。これに対して採用されたのは、書類の特徴を学習して意味を捉える特徴量学習型で、発行元ごとに様式が無数に分かれる書類に対して「揃っていること」を要求しない設計になっています。様式を統一させる交渉ではなく、揃っていない状態のまま受け取る側の技術で吸収する、という順序の置き換えが効いていると考えられます。
読み取る対象を91項目として明示的に定義し、そのうち26項目を重点項目として区別した設計も見逃せません。健康診断書には血液検査から眼底検査、肺機能検査まで性質の異なる値が並びますが、これらをひとまとめに「全部読む」と扱えば、精度の議論も改善の議論も曖昧なままになります。項目を数え上げ、重みの違いを明示したことで、どこを優先して精度を上げるのかという判断軸が業務側と共有できる形になりました。
入力データの品質がばらつくことを前提に置いたチューニングも、実務に乗せるうえで重要な判断です。スキャンされたきれいな画像だけを想定せず、手振れや影、傾きを含むカメラ撮影画像まで処理対象に含めることで、現場が撮り直しや取り込み直しの手間を負わずに済みます。加えて、診療明細書と調剤明細書という既に運用されていた書類から健康診断書へと対象を広げる進め方は、書類の種類ごとに読み取り品質を確かめながら範囲を広げる、段階的な拡張として組み立てられています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
シナモンAIによるテストデータ値として、健康診断書91項目の項目単位精度は平均89.06%、重点26項目では平均90.69%が示されています。文字単位では全項目92.82%、重点項目94.39%で、1枚あたりの読み取り速度は約3秒です。手作業による入力の負担を軽くする位置づけで、明治安田におけるコア業務への人員集中や緊急時の対応力強化、DX推進への寄与が見込まれる段階として説明されています。数値は自動化の完了度ではなく、確認工程をどこまで軽くできるかを測る目安として読むのが妥当でしょう。
うちでも使える?
応用しやすいのは、発行元ごとに書式がまちまちな紙やPDFの書類が継続的に届き、かつ「この書類から何を取り出したいか」を業務側で項目として言い切れる場合です。項目を定義できれば、精度をどこまで上げるべきかも項目ごとに判断でき、投資の効果を測る物差しも作れます。逆に、書類の到着が不定期で量がまとまらない場合や、取り出したい情報が読み手の解釈に左右されて項目に落とし込めない場合は、同じ形での応用は難しくなります。
もう一点、項目単位で1割前後の誤りが残る前提を業務が飲み込めるかどうかも分かれ目です。読み取り結果をそのまま次の処理に流す設計では成立しにくく、確認と補正の工程を残せる業務であることが条件になります。まずは自社に届く書類を1種類選び、実際に転記している項目をすべて書き出したうえで、間違えると影響が大きい項目とそうでない項目に分けてみる。この仕分けができれば、AI-OCRを試す価値があるかどうかの見当はかなりつきます。
この事例は2024年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社シナモン(シナモンAI)
オリジナルの高精度AI-OCRエンジン「Flax Scanner」を開発・提供する企業。事前の座標定義が不要な特徴量学習型技術を有し、多様な帳票・書類や業界固有の専門用語・図面・写真画像からの情報抽出に対応する。IDP(自動知識抽出技術)領域で国際的な学会に論文が採択されるなどの評価を受けており、AI-OCRプラットフォーム「Flax Scanner HUB」も提供する。
明治安田生命保険相互会社
出典・参考情報
明治安田に高精度AI-OCR「Flax Scanner」の提供を拡大 | 株式会社シナモン(シナモンAI)
発行元:株式会社シナモン(シナモンAI)
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