実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.14
三井住友信託銀行、書式バラバラの帳票をAI-OCRで読取り年1,600時間削減へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 書式がバラバラの書類の入力に追われている
- ベテランしか処理できない事務がある
- 手入力のミスと確認作業をなくしたい
どのようなAIの取り組み?
国内外の運用会社ごとに書式が異なるファンド関連の帳票をAI-OCRで自動読み取りし、年間1,600〜2,000時間のデータ入力削減を目指すAI取り組み
業種
信託銀行(金融・保険)
取り組み領域
プライベートアセット帳票のデータ入力業務
使ったAI
高精度AI-OCR「Flax Scanner」(文字認識・データ抽出AI)
主な成果
年間1,600〜2,000時間のデータ入力削減を見込む
三井住友信託銀行は、非上場株式や不動産、インフラ、クレジットといったプライベートアセットに関する帳票「ファンド連絡票」のデータ入力業務に、シナモンAIの高精度AI-OCR「Flax Scanner」を本格導入しました。対象となる連絡票は年間およそ5,000件にのぼり、国内外の運用会社ごとに書式が異なるうえ英文も混じるため、これまでは熟練した担当者が内容を読み取りながら手作業で入力していました。導入後は、多様な書式の連絡票からAIが必要な項目を自動で抽出し、担当者はその抽出結果のチェックへ回る形に業務が組み替えられています。同行は年間1,600〜2,000時間のデータ入力時間の削減と、空いた人員をコア業務へ振り向けることを目指しています。
出典:三井住友信託銀行に高精度AI-OCR「Flax Scanner」を提供 | 株式会社シナモン(シナモンAI) 発行元:株式会社シナモン(シナモンAI)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
年間約5,000件のファンド連絡票を人手で入力する工程では、国内外の運用会社ごとに書式が異なるため、慣れた担当者が一枚ずつ内容を判断しながら進める必要がありました。英文の混在も重なり、慎重さと速さを同時に求められるこの作業が、業務効率化のボトルネックになっていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は処理件数の多さではなく、書式が定まらないことによって「どこに何が書かれているか」を読み解く判断が人の熟練に張り付いてしまった点にあります。判断が経験と結びついている限り、人を増やしてもすぐには戦力にならず、独り立ちするまでの教育に時間と費用がかかり続けます。年5,000件という数字は負荷の大きさを表しているだけで、詰まりを生んでいた原因は帳票そのものの多様性だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
座標をあらかじめ定義しない読み取り方式を選んだことが、書式が増えるほど準備作業も増えるという構造そのものを外しました。従来のAI-OCRで主流の座標定義型は、帳票のどこに何が記載されるかを事前に決めておく前提に立つため、発行元ごとに書式が無数に分かれるファンド連絡票とは噛み合いません。これに対して採用されたのは、事前の座標定義を必要としない特徴量学習型で、書類の意味を手がかりに必要な項目を拾い上げます。効いているのは読み取り精度の高さそのものよりも、新しい書式の連絡票が届いても運用側の手間が増えない作り方を選んだ判断のほうでしょう。
抽出はAI、確認は人という役割の切り分けも、この業務を実運用に乗せた要素だと考えられます。資産に関する帳票データは誤りが許されにくく、最初から最後まで機械に委ねる形は取りにくい領域です。負荷が重く単調な読み取り・転記の部分だけを機械へ渡し、人の目は最終的な妥当性の確認に残すことで、精度を担保しながら人手を軽くする配分が成立しています。この切り分けは、熟練者に求められる力を「読み取る力」から「確かめる力」へ移し、教育すべき範囲を狭める効果も併せ持ちます。
読み取り対象の難所に合わせて技術を積み上げてきた点も見逃せません。業界固有の専門用語や図面、難易度の高い写真画像からの情報抽出まで射程に入れた作り込みは、IDP(Intelligent Document Processing=自動知識抽出技術)と呼ばれる領域で重ねられ、国際的な学会でも論文が採択されています。汎用の読み取りツールをそのまま当てるのではなく、扱う書類の難しさを起点に手法を選ぶ発想が、英文混じりの非定型帳票という条件を成立させています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
多様な書式のファンド連絡票からAIが必要項目を自動抽出する形に切り替わり、入力にかかる時間は大幅に削減されています。年間では1,600〜2,000時間の削減を見込む段階で、単純な入力ミスの軽減や、この業務の新人教育にかかっていたコストの縮小にもつながりました。人はチェック作業など特定の業務に集中でき、空いた人員をほかのコア業務へ振り向けられることから、社内のDX推進にも波及しています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、受け取る書類の書式が相手先ごとに違っていても、抜き出したい項目自体は共通している業務です。取引先から届く注文書や報告書のように、レイアウトはまちまちでも「日付」「金額」「数量」といった欲しい情報が決まっているなら、位置の事前定義に頼らない読み取りの考え方はそのまま持ち込めます。書類が紙ではなくPDFで届く業務も、この事例と条件が近いといえます。
反対に、書類から取り出した数値をどう解釈するかまで人が判断している業務や、案件ごとに抜き出す項目が入れ替わる業務では、同じようには効きにくいはずです。取り扱いが月に数十枚程度で、読み取り結果の確認に手入力と変わらない手間がかかるなら、費用に見合わない可能性もあります。判断の材料を得るには、直近1か月に届いた書類を送り主ごとに数通り並べ、どの欄が必ず埋まっていて、どの欄だけが相手先によって場所を変えるのかを見比べてみるところから。自社の帳票が「書式は違うが項目は同じ」に当てはまるかどうかが、分かれ目になります。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社シナモン(シナモンAI)
あらゆるビジネスシーンの様々なフォーマットの書類から、AIが人間のように意味を理解してデータを読み取るオリジナルの高精度AI-OCRエンジン「Flax Scanner」を開発・提供する企業。事前の座標定義が不要な特徴量学習型技術に強みを持ち、業界固有の専門用語や図面、難易度の高い写真画像の情報抽出にも対応。IDP(自動知識抽出技術)領域で国際的な学会に論文が採択されるなどの評価を受けており、AI-OCRプラットフォーム「Flax Scanner HUB」も提供している。
三井住友信託銀行株式会社
出典・参考情報
三井住友信託銀行に高精度AI-OCR「Flax Scanner」を提供 | 株式会社シナモン(シナモンAI)
発行元:株式会社シナモン(シナモンAI)
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