実施 2025.12 ・ 更新 2026.08.15
商用車リース会社の契約満了業務を半年でシステム化、年間約1万時間削減の試算
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- エクセル管理でデータが散らばっている
- どのファイルが最新か分からない
- 担当者ごとの管理で業務が属人化
どのようなAIの取り組み?
表計算ソフトによる個別ファイル管理をやめ、リース契約の満了業務を支える新システムを半年で独自開発した取り組み
業種
商用車リース(金融・保険)
取り組み領域
契約満了業務/顧客情報の一元管理
使ったAI
独自開発の業務システム「DAISY」(スクラッチ開発/サーバーレス構成)
主な成果
試算で年間約1万時間の業務時間削減
いすゞグループでトラックやバスのリースを手がけるいすゞリーシングサービスは、契約期間を終えた車両の手続き(満了業務)を、表計算ソフトの個別ファイルで管理していました。取り扱い台数の増加に合わせて期や担当者ごとにファイルを分割した結果、最新版の判別や共有が難しくなり、経営側からもシステム化の指示が出ます。同社が選んだのは、パッケージ製品の導入ではなく、電通総研によるスクラッチ開発(既製品を使わず一から作る開発)の提案でした。サーバーレスなどの構成とアジャイル開発を組み合わせ、週2回の定例会とチャットでの即時のやり取りで仕様を詰めながら、半年で新システム「DAISY」をリリース。2023年夏の稼働以降、試算で年間約1万時間の業務時間削減が示され、蓄積されたデータをBIツール(データを集計して可視化する仕組み)につなぐ取り組みも進んでいます。
出典:システム化で1万時間を創出。リース業務を支える新基盤「DAISY」が、組織の意識変革を導く | 事例 | インサイト | 電通総研 発行元:電通総研
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
満了業務は当初1つのファイルで回っていましたが、取り扱い台数が増えるにつれて期ごと・担当者ごとにファイルを分ける運用へと追い込まれ、データが散在して最新版が分からない状態に陥っていました。共有すれば誰かが開いている間は更新できず、共有をやめればファイルが壊れて前日のバックアップから復旧する。繁忙期には10個以上のウィンドウを開いたまま作業が続きます。既存の基幹システムは重厚なパッケージ製品で、現場の細かな要望に合わせた改修には多大な費用と時間がかかるため、最新の商談状況は各現場の管理ファイルや個人のメモ、記憶の中にしか存在せず、他部署との連携は電話とメールに頼らざるを得ませんでした。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは作業量の多さではありません。満了のタイミングは、既存顧客へ次の提案を差し出すための起点となる情報です。それが組織の共有資産ではなく個人の手元に置かれていたために、コロナ禍で既存顧客の維持が重みを増したとき、攻めの提案に転じる足場そのものが欠けていた。作業負荷はその構造が表面に現れた症状だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
目的を「満了業務の効率化」ではなく、商談を行う期初から、メンテナンスを実施する期中、そして満了までを通して顧客情報を一元的に把握できるプラットフォームの構築と定義したことが、最初の分岐点になっています。満了業務だけを見ればパッケージ製品の導入が最短だという判断は社内でも共有されていました。それでも範囲を広く取ったことで、データの置き場所が業務単位ではなく顧客のライフサイクル単位で決まります。この順序で設計したからこそ、稼働後に商談管理などの期初業務へ領域を広げても、土台を組み直さずに済んだと考えられます。
次に効いたのは、要望をそのまま実装しない進め方です。開発側が「その仕様ではILSの業務フローと矛盾が生じる」「手戻りになりそうだ」と先回りして指摘し、対等な議論として仕様を決めていく役割分担が取られました。半年でフルスクラッチという条件下では、手戻り1回の重みが致命的になります。開発を担った電通総研が受託側の立場にとどまらず業務理解に踏み込んだこと、そして発注側がその指摘を受け止める場を用意したこと、その双方が噛み合って初めて成立する型です。
三つ目は、システム開発が未経験の現場担当者を要件定義の中心に据えたまま、疑問を滞留させない運用を敷いた点にあります。週2回の定例会に加えてチャットで即座に応答が返る体制が用意され、インフラ設計で認識の齟齬が生じた際もその場で軌道修正されました。サーバーレスやアジャイル開発という技術選択も、短期で作り切りながら後から拡張できる状態を保つための前提条件として機能しています。使う人が仕様の決定過程に居続ける構図が、実務と食い違わないシステムを生んだ要因だと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
稼働後は共有ファイルの破損に備える作業がなくなり、他部署とのやり取りもシステム上で完結するようになりました。業務時間の削減幅は試算で年間約1万時間。導入当時2万台だった満了台数は現在3万台を超えていますが、人員をほぼ増やさずに増加分を吸収できています。生まれた時間は営業部門へのサポート強化や再リース率向上の施策に向けられ、メンテナンス契約の加入率も上がり始めました。現場のメンバーが自ら操作マニュアルを作る動きも生まれています。
うちでも使える?
応用が利くのは、ファイルを分割しながら業務を回しているうちに最新版が分からなくなり、しかもそのファイルの中に「次にいつ、誰へ、何を提案するか」の起点となる情報が入っている業務です。作業を速くする話ではなく、情報の置き場所を個人から組織へ移す話として捉えられるなら、業種を問わず筋は通ります。
一方で、同じやり方が常に最適とは限りません。この事例でも、満了業務だけを切り取ればパッケージ製品が最短だと認識されたうえで、あえて広い範囲を一から作る判断が下されています。業務要件が同業他社と大きく変わらない領域なら、既製品のほうが早く安く着地します。加えてスクラッチ開発は、週2回の定例会に現場の担当者を出し続けられる体制が前提です。担当者を実務から離せない組織では、半年という速さのほうが先に壊れます。
まずは、いま使っている管理ファイルを開いて、他部署から電話やメールで同じ内容を聞かれた回数を1週間だけ数えてみてはいかがでしょうか。その回数が、あなたの会社で情報が個人に張り付いている度合いを表しています。
この事例は2025年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:営業
活用したデータ:数値・Excel・ログ
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
いすゞリーシングサービス株式会社
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
