実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.17
七十七銀行、生成AIがコードを書きデータ分析と報告書作成を自動化する実証実験
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 分析やレポート作りに時間を取られている
- 毎回同じ集計作業を手で繰り返している
- 社員をもっと考える仕事に回したい
どのようなAIの取り組み?
生成AIにプログラムのコードを書かせ、データ分析から報告書の下書きまでを自動化できるか検証している、実証実験段階のAI取り組み
業種
銀行業(金融)
取り組み領域
データ分析・レポート作成
使ったAI
生成AI(コード自動生成・文書生成)/大規模言語モデル
主な成果
所定フォーマットでの出力生成という技術的実現性を確認(実証実験段階)
七十七銀行は、独自の大規模言語モデルを開発するAI inside株式会社と組み、生成AIとデータ分析を掛け合わせた業務高度化をテーマに実証実験を進めています。対象は、商品の販売状況やチャネル別の分析といった、繰り返し発生する分析業務です。生成AIにプログラミング言語のコードを書かせて分析データを表やグラフへ可視化し、さらにその可視化結果をもとにした分析レビュー文書までAIが起草する、という一連の流れが組み立てられました。2023年7月から続く技術検証では、入力情報から銀行所定のフォーマットに沿った出力を安定して生成する技術が確立されています。運用面では、入出力情報が外部に流出しない閉域環境を用意し、顧客情報や機密情報を含まないデータに限って扱う体制が敷かれています。
出典:23111001_ai.pdf 発行元:株式会社七十七銀行
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
七十七銀行は「Vision 2030」に生産性倍増戦略と企業文化改革を掲げ、AIモデル構築の自動化ツールを使った営業推進リストの作成や、入出金データから取引先の業況変化を検知する仕組みづくりなど、データ活用の取り組みをすでに重ねてきました。それでもなお、データ分析やレポート作成といった定型業務に時間が取られる状況が残っていた、というのが今回の出発点です。
ここから見えてくるのは、困りごとの本質が分析力の不足ではなかったのではないか、という点です。分析の勘所を持っている組織であっても、集計用のコードを書き、グラフに整え、決まった様式の文書へ落とし込む手順は人の手に残ります。考える工程と手を動かす工程が一本の作業としてつながっている限り、後者の重さが前者の回数を縛る。職員を創造的な業務へ移したいという狙いは、この結び目をほどけるかどうかにかかっていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
生成AIに分析の答えそのものを語らせるのではなく、分析処理のコードを書かせるという役割の置き方が、この実証実験の芯にあります。コードは実行すれば表やグラフという目に見える形になり、出力が妥当かどうかを人が確かめられます。文章だけを出させる使い方に比べ、途中に検証できる中間生成物が挟まる分、誤りがそのまま最終成果物へ通り抜けにくい構造です。可視化の後段に置かれたレビュー文書の自動生成も、根拠となる図表が先に出ている状態で書かれるため、AIが参照すべき材料がはっきりしています。
評価の物差しを「賢い回答が出るか」ではなく「銀行所定のフォーマットに沿った出力を安定して生成できるか」に定めた点も効いています。定例業務で使う以上、たまたま良い結果が出ることに意味はなく、同じ入力から同じ水準の出力が繰り返し得られることが実用の条件になるからです。2023年7月から共同で技術検証を重ねる進め方は、この再現性を積み上げるための時間の使い方だったのでしょう。独自の大規模言語モデルを構築するAI inside株式会社がモデルと技術検証を担い、銀行側が分析業務の型と求める出力様式を持ち込むという分担も、その目標設定と噛み合っています。
セキュリティ要件を、検証を止める制約ではなく設計条件として先に織り込んだ点も見逃せません。入出力情報が外部に流出しない閉域環境を用意したうえで、扱うデータを顧客情報や機密情報を含まないものに絞る。この二段構えは、金融機関に求められる厳格な基準を満たしながら、それでも手を動かせる領域を確保するための線引きだと読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
本プロジェクトは実証実験の段階にあり、業務時間の削減といった定量的な成果は今後の検証に委ねられています。現時点で確認されているのは、インプット情報をもとに所定のフォーマットでアウトプットを生成できるという技術的な実現性です。今後は、生成AIとこれまで培ってきたデータ分析のノウハウを融合させ、定例業務やデータに基づく仮説検証のプロセスを迅速化していく方針が示されています。職員がより付加価値の高い業務へ注力できる環境づくり、そして挑戦的な企業文化や従業員エンゲージメント(仕事への意欲や組織への愛着)の向上につなげることが期待される段階です。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、出力の様式が決まっている定例レポートが、毎月・毎週といった周期で作られている業務です。集計の元になるデータが表形式で整い、どの数字をどう並べるかの型が定まっているほど、コードを書かせる相手としてAIは働きやすくなります。マーケティングや経営企画で作られる販売実績やチャネル別の集計資料は、その条件に近いはずです。
逆に、毎回切り口が変わる調査や、様式が担当者ごとにばらついている資料では、そもそも「正しい出力」の基準を決められず、安定して出せているかを評価する足場が作れません。分析対象が顧客情報と切り離せない業務も、閉域環境の用意まで含めた検討が先に立ちます。
最初の一歩は、直近の定例レポートを1本選び、そこに載っているグラフを生成AIにコードで再現させてみるところから。図表が意図どおりに出るかどうかは、その場で目視で判定できます。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:営業
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
AI inside株式会社
人工知能および関連する情報サービスの開発・提供を行う企業。代表取締役社長CEOは渡久地択氏、資本金12億34百万円、東京証券取引所グロース市場上場(証券コード4488)。生成AI分野で独自の大規模言語モデルを構築している。
株式会社七十七銀行
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