実施 2025.10 ・ 更新 2026.08.13
損保ジャパン、災害対応で事務の約21%を効率化した知見を社内業務ツールへ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 必要な情報が複数のシステムに散らばっている
- 書類の印刷と仕分けに時間を取られている
- 案件の進捗管理が手作業のまま
どのようなAIの取り組み?
複数システムに分散したデータをPalantir Foundryで統合し、書類の印刷や仕分け、進捗管理といった社内事務を効率化する業務支援ツールの構築に取り組んだ事例
業種
損害保険(金融・保険)
取り組み領域
損害調査・保険金支払いなどの社内事務
使ったAI
Palantir Foundryによるデータ統合基盤と業務効率化アプリケーション
主な成果
先行する2022年の災害対応プロジェクトでは約2ヶ月間で全体の約21%の事務を効率化、今回の社内ツールは事務ミス削減と精度向上を見込む
損害保険ジャパンは、AI導入支援を手がけるABEJAと組んで社内の事務作業を効率化する業務支援ツールを構築し、2025年10月に実装を公表しました。基盤には、損保ジャパンが使用しているPalantir Technologies Japanのソフトウェア・プラットフォームFoundryを採用しています。社内の複数システムに散らばっていた関連データをFoundryで一か所に集めて統合し、実際の業務プロセスに合わせて組み替えたうえで、必要書類の印刷や仕分け、対象事案の進捗管理といった煩雑な事務を扱うアプリケーションとして開発されました。下敷きになっているのは、2022年に損保ジャパンが組成した「災害対応プロジェクト」でABEJAが得た対応ノウハウです。今後はアンダーライティング(保険の引受審査)や保険金支払いといったプロセスに実装し、運用を進める段階に入ります。
出典:ABEJA、損保ジャパンに業務支援ツールを実装 | 株式会社ABEJAのプレスリリース 発行元:株式会社ABEJA
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
必要な情報が一つの画面に揃わない。損保ジャパンが抱えていた事務の負担は、この一点に集約されます。2022年の災害対応プロジェクトでは、損害調査に必要な情報が複数のシステムに分かれていたため、書類を印刷し、仕分け、どの案件を誰に割り振るかを管理する差配業務に多くの労力と時間が費やされていました。社内の通常業務でも構図は変わらず、必要書類の印刷や仕分け、対象事案の進捗管理に相応のリソースが割かれていました。
編集部の見立てでは、ここでの本当の困りごとは作業の量ではなく、システムをまたいで情報を集め、突き合わせる工程が人の手に残り続けていたことにあります。印刷という一見アナログな作業も、分散したデータを人が扱える一枚の形へ変換するための代替手段だったのではないでしょうか。だとすれば、個々の作業を速くするより先に、情報の置き場所そのものを変える必要があったことになります。
どうやって、うまくいったのか
データを一か所に集め、業務プロセスに合わせて組み替えてからアプリケーションを作る。この順序が、取り組み全体の骨格になっています。既存の業務に新しいツールを足すのではなく、まず複数システムに分かれていたデータをFoundry上で統合し、実際の仕事の流れに沿った形へ再構築しました。手をつける順番が逆であれば、画面は増えても、人が情報を集めて回る工程はそのまま残っていたはずです。
損害保険事業に特有のデータの特徴や意味を加味しながらデータパイプラインを組んだ点も、効いていると考えられます。同じ項目でも、引受と支払いのどちらの業務から見るかで、必要な粒度も参照の仕方も変わります。汎用的な統合処理をそのまま当てはめず、データの意味を業務側の解釈に合わせて設計したからこそ、統合した先のデータが現場でそのまま使える状態になったのでしょう。基盤開発で積み上げてきた設計のノウハウを、損害保険という業種の文脈に翻訳して持ち込んだ格好です。
業務プロセスの調査から画面設計までを一続きで進めた組み立て方にも注目したいところです。現況だけでなく今後の可能性まで踏まえてユーザーインターフェイスを開発したことで、統合されたデータが担当者の手元で扱える形になりました。加えて、非常時の災害対応で作った型を平常時の社内業務へ移植している点も、この事例に固有の設計判断といえます。一度きりの成功で終わらせず、他の業務にも効く共通の型として扱う発想が、二度目の構築を支えた面はあるでしょう。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
先行する2022年の災害対応プロジェクトでは、開発したアプリケーションの活用により、約2ヶ月間のうちに全体の約21%の事務が効率化され、お客様の保険金の受け取りを早めることにつながりました。今回の社内向け業務支援ツールについては、煩雑な事務作業を大幅に効率化でき、人による作業ミスや事務処理の誤りを減らして業務全体の精度とスピードを高めることが見込まれています。数値としての実績はこれからで、アンダーライティングや保険金支払いのプロセスで運用を進める段階です。
うちでも使える?
同じ情報を複数のシステムから拾い集め、突き合わせるために印刷や転記が発生している業務であれば、この事例の考え方は応用が利きます。要点は、統合の範囲を最初から全社に広げないことです。一つの業務プロセスを取り上げ、そこで本当に必要な情報だけを集めて、仕事の流れどおりに並べ直す。この絞り込みができるかどうかで、効果の出方は大きく変わります。
一方で、データがすでに一つの基幹システムに集約されていて、負担の中身が判断や交渉にあるような業務では、統合で得られるものは限られます。担当者ごとに手順が異なり、標準となる業務プロセスを描けない状態も難しさがあります。どの順序でデータを並べ直すかを決められないためで、その場合はまず業務の流れを言葉にするところからになります。今日できる一歩としては、日常的に印刷している書類を一枚選び、その内容がどのシステムから来ているかを辿ってみること。分散の実態が見えれば、統合の当たりどころも見えてきます。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ABEJA
「ゆたかな世界を、実装する」を経営理念に掲げ、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援のため、基盤システムであるABEJA Platformの開発・導入・運用を行うデジタルプラットフォーム事業を展開。2012年の創業時よりABEJA Platformの研究開発を進め、ディープラーニング、LLM、量子コンピューティングなどの研究開発成果を順次搭載している。東証グロース上場。
損害保険ジャパン株式会社
出典・参考情報
ABEJA、損保ジャパンに業務支援ツールを実装 | 株式会社ABEJAのプレスリリース
発行元:株式会社ABEJA
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