実施 2024.07 ・ 更新 2026.08.17
生命保険の営業端末にAIを搭載、対面と非対面をつなぐ提案の仕組み
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 担当者ごとに提案の質がばらつく
- 遠方の顧客に会いに行けない
- 複雑な商品説明が伝わらない
どのようなAIの取り組み?
AIによる保障プランの自動設計とオンライン面談機能を組み合わせ、対面・非対面のどちらでも個別最適な提案を行える営業端末を開発した事例
業種
生命保険(金融・保険)
取り組み領域
営業/顧客コンサルティング
使ったAI
保障プラン自動設計AI・関心予測と自動音声案内
主な成果
対面・非対面を問わない個別最適な提案が可能に
生命保険の加入経路が多様化し、訪問しにくい顧客にも同じ質の提案を届ける必要が生じるなか、ある生命保険会社がNTTコミュニケーションズ株式会社、ネオス株式会社と共同で、AI機能を積んだ次世代営業端末「T-AI-Face」を開発しました。顧客の年齢や家族構成といった属性データをもとにAIが保障プランを自動で設計し、関心が高いと推測される画面を選んで提示したうえで、自動音声による案内も行います。専用アプリを入れずに最大5名まで同席できるオンライン面談、一人ひとりに内容を変えた動画版の提案書配信も備え、端末は富士通製の軽量ノートPC、通信はセキュリティ一体型ネットワーク「docomo business RINK」で支える構成です。
出典:ニュース 2024年7月16日:太陽生命、デジタル技術を活用した営業端末を開発|NTTドコモビジネス 企業情報 発行元:NTTコミュニケーションズ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
この生命保険会社は2018年から専用の営業端末を使ってきましたが、それでも対面が難しい顧客への対応と、一人ひとりのニーズに合わせたきめ細かい提案という二つの宿題が残っていました。端末の世代交代に踏み切ったのは、単に機器が古くなったからではないでしょう。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は「会えないこと」そのものではなく、提案の質が担当者の力量と面談の場に強く縛られていた点にあります。生命保険は家族構成や年齢によって最適な形が変わり、その組み立ても説明も担当者の頭の中で行われます。会える顧客には手厚い提案が届き、会いにくい顧客には届きにくい。この非対称を放置したままでは、加入経路が広がるほど提案力の差が開いていく構造だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
提案の出発点をAIによる自動設計に置いた点が、この取り組みの中心にあります。年齢や家族構成などの属性データからプランを組み立てる部分を仕組み側が担えば、提案の骨格は担当者の経験量に左右されにくくなります。人が受け持つのは、出てきた案を顧客の事情に合わせて調整し、納得を得る対話の部分。役割の線をここで引き直したことが、スキル依存という課題への実質的な答えになっていると読めます。
説明の分かりやすさを、担当者の話術ではなく画面の側に持たせた設計も見逃せません。AI分析で顧客の関心が高いと推測される画面を先に提示し、自動音声で案内を添える組み立ては、何をどの順番で見せるかという商談の設計図をあらかじめ端末に埋め込む発想です。ネオスが手掛けた2画面表示のUI(画面の見た目と操作の作り)と、富士通製の軽量ノートPCという組み合わせは、外に持ち出して顧客と一緒に画面を覗き込む使い方を前提に選ばれたものでしょう。
非対面の作り込みが、対面の代替にとどまっていないところにも工夫が表れています。オンライン面談を専用アプリ不要かつ最大5名まで同席可能とした設計は、顧客側の準備の手間を減らすと同時に、遠方の家族を巻き込むという対面では難しかった場面を新たに開くもの。さらに動画で届けるパーソナライズ提案書は、顧客が自分の時間軸で検討できる余地を作ります。こうした社外からのやり取りを成立させる前提として、NTTコミュニケーションズがセキュリティ一体型ネットワークで通信基盤を受け持つ分担が置かれている点は、構成上の要となる部分です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
次世代営業端末の運用により、対面・非対面を問わず顧客ごとに最適化されたコンサルティングセールスが可能になりました。オンライン面談機能によって、遠方の家族が同席する契約手続きのような柔軟な対応も実現しています。パーソナライズされた動画提案書を通じて、顧客が空き時間に自分のペースでプランを検討できる状態も生まれました。一方、AIによるプラン設計と分かりやすい画面表示の組み合わせが提案業務を高度化し、より説得力のある顧客コミュニケーションにつながる点については、現時点では期待として語られている段階です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、商品説明が長く、意思決定に家族や複数の関係者が関わる高額商材の営業でしょう。不動産や自動車、住宅設備のように、顧客の属性である程度提案の型が決まる領域であれば、プランの叩き台をAIに作らせ、人は調整と対話に回るという分担はそのまま持ち込めます。逆に、案件ごとに条件がばらばらで型が作りにくい商談や、提案の根拠となる属性データが社内に整理されていない場合、自動設計は骨格を出せません。
もう一つの現実的な壁は、この事例が端末・UI・通信基盤をまとめて更新している点です。顧客の個人情報を社外から扱う以上、通信の安全確保は避けて通れず、小さく始めにくい領域が含まれます。それでも切り出せる部分はあります。たとえば、いま担当者が口頭で補っている説明のうち最も頻度の高い一つを選び、顧客ごとに差し替えられる短い動画や画面資料に置き換えてみる。それだけでも、説明の質が人に依存する度合いがどれほど下がるかを測れます。
この事例は2024年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:営業
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
NTTコミュニケーションズ株式会社
社長は小島克重。セキュリティ一体型のネットワークサービス「docomo business RINK」(リモートアクセス機能「Flexible Remote Access」、インターコネクト機能「Flexible InterConnect」)を提供し、太陽生命保険およびネオスとともにAI機能を搭載した次世代営業端末「T-AI-Face」を開発した。
太陽生命保険株式会社
出典・参考情報
ニュース 2024年7月16日:太陽生命、デジタル技術を活用した営業端末を開発|NTTドコモビジネス 企業情報
発行元:NTTコミュニケーションズ株式会社
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