実施 2025.01 ・ 更新 2026.08.17
AI仮想顧客を議論させDM購買率3.0%向上、カード会員データ活用の実証実験
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 顧客の隠れたニーズがつかめない
- 販促のターゲット決めが勘頼み
- 持っている顧客データを活かせない
どのようなAIの取り組み?
顧客データから作った仮想の顧客像同士に議論させ、ダイレクトメールの購買率3.0%向上を確認した実証実験
業種
クレジットカード事業(金融)
取り組み領域
マーケティング/販促(DM施策)
使ったAI
LITRON® Multi Agent Simulation(生成AIによる複数AIの議論)
主な成果
実証実験でDMの購買率が3.0%向上
クレジットカード事業を手がける株式会社ジャルカードが、株式会社NTTデータと共同で、生成AIをマーケティングに使う実証実験を行いました。用いたのはNTTデータの生成AI「LITRON® Multi Agent Simulation(LITRON MAS)」です。まず自社の顧客データからカードの利用傾向が似た会員をグループに分け、各グループの特徴をもとに人物像(ペルソナ)となる「AIバーチャル顧客」を生成しました。そのうえで複数のAIバーチャル顧客同士に、販促対象商品に関心を示す顧客の特徴や効果的なダイレクトメール(DM)のタイトルを会話とグループディスカッションで話し合わせ、そこから得た示唆を実際の施策へ反映する仕組みを組み立てています。特約店の特定商品でDMを送ったところ、従来のターゲット設定と比べて購買率が3.0%向上しました。
出典:「AIバーチャル顧客」同士の会話からJALカード会員への効果的なマーケティング施策を導出 | NTTデータグループ - NTT DATA GROUP 発行元:株式会社NTTデータ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
顧客との接点が増え続けるなかで、一人ひとりの潜在的なニーズに合うコミュニケーションをどう組み立てるかが出発点になっています。ジャルカードは航空と金融という二つの顔を持ち、そこから生まれる多様なデータを抱えていましたが、その強みを会員の期待に応える形へどう変換するかを模索していました。あわせて、施策づくりが人の経験や知見だけに寄りかかる状態からの脱却も課題として置かれています。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質はデータの不足ではなく、データを「誰に、何を、どう伝えるか」という問いへ翻訳する経路が、担当者の頭の中にしか存在しなかった点にあるのではないでしょうか。手元の資産が豊かであるほど、切り口の選び方は担当者の見立て次第になり、選ばれなかった仮説は検証の場にすら上がりません。数字を眺めるだけでは埋まらない、この解釈の空白こそが取り組みの狙いどころだったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
カードの利用傾向で会員を束ね、その特徴を人物像へ翻訳した設計が、この取り組みの起点になっています。統計的に切り出したグループは、そのままでは属性の集まりでしかなく、何を欲しいと感じるかまでは語ってくれません。特徴をペルソナという形に置き換えたことで、AIが当人の立場から語れる素材へと姿を変えました。分析結果を直接施策にぶつけず、いったん「人」の形を通した判断が効いています。
単一のAIに答えを尋ねるのではなく、複数のAIバーチャル顧客同士に会話とグループディスカッションをさせた形式も見逃せません。一つの視点に問うだけでは、投げかけた問いの枠内から出にくいのに対し、複数の人物像を突き合わせると、担当者が想定していなかった論点が浮かび上がりやすくなります。人の思い込みを外すという目的に照らせば、議論という形式の選択には必然性があったと考えられます。しかも話し合わせた題材が、関心を示す顧客の特徴とDMのタイトルという、そのまま施策の設計図になる具体的な粒度に絞られていました。
議論から示唆を取り出して終わりにせず、その示唆に即して実際のマーケティング施策を実施する仕組みまで組み立てた点も、この事例の骨格を支えています。AIが出した仮説は、現実の反応にさらされて初めて当たり外れが判定できるためです。加えて、生成AIの構築を自社に閉じず、先端技術の実績とサービスデザインの専門家チームを持つNTTデータと共同で進める体制がとられ、ジャルカード側は航空と金融にまたがるデータと会員理解を持ち寄る分担になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
ジャルカード特約店の特定商品について、AIバーチャル顧客同士の会話から導き出されたターゲットへDMを送付した結果、従来のターゲット設定による施策と比べて購買率が3.0%向上するという明確な効果が確認されました。実証実験の枠組みで得られた結果であり、今後はさらに実証を重ねてマーケティング領域での生成AI活用の可能性を検証していく計画です。異業種事業者との提携における商品・サービスの利用促進を本格展開するためのビジネス検討も視野に入っています。
うちでも使える?
応用の可否は、手元のデータと検証環境の条件でおおよそ見分けがつきます。購買や利用の履歴が一定量たまっていて、そこから「似た傾向のかたまり」を切り出せること。そして、DMやクーポン、レコメンドのように、施策の反応を数字で測って比べられること。この二つが揃う業務であれば、人物像を作って議論させるという流れはそのまま持ち込みやすいでしょう。
逆に、顧客の行動が記録として残っていない場合や、購買が担当者との個別のやり取りで決まる商材では、議論の土台になる人物像が痩せてしまい、出てきた示唆の確からしさも測れません。契約から成果までの期間が長く、施策の効き目を短いサイクルで確認できない商材も、当たり外れの判定が遅れて改善が回りにくくなります。
まず試すなら、次に打つ販促メールのタイトル案を二つ用意し、自社データから起こした顧客像に読ませて反応の違いを比べるところから。小さくても、勘とは別の経路で選択肢を並べる練習になります。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社NTTデータ
生成AI「LITRON® Multi Agent Simulation」を提供する企業。生成AI等の先端技術の実績を積み重ねたサービスデザインの専門家チームを有し、2023年からJALカードとマーケティング施策高度化に向けたアイディエーションを重ねてきた。
株式会社ジャルカード
出典・参考情報
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