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  5. 畜産排水処理をAI画像認識とIoTで自動化、実証で管理時間約70%減の研究|農研機構の導入事例

やさしく事例解説実施 2025.04 ・ 更新 2026.10.01

畜産排水処理をAI画像認識とIoTで自動化、実証で管理時間約70%減の研究

導入企業農業・林業・漁業
×
支援企業農研機構
取り組み領域
畜産排水処理施設の運転管理
使ったAI
AI画像認識による凝集センサ、IoT遠隔モニタリング
主な成果
実証試験で運転管理の労働時間を約70%削減
畜産排水処理をAI画像認識とIoTで自動化、実証で管理時間約70%減の研究 のヘッダー画像※イメージ画像です

こんな方へおすすめのAI解説です

  • 設備の設定を毎日手で調整している
  • 現場の見回りに人手を取られている
  • 勘に頼った薬剤の投入量が不安
概要困りごと工夫成果うちでも?企業

01 — Overview

どのようなAIの取り組み?

全体像

畜産排水処理をAI画像認識とIoTで自動化、実証で管理時間約70%減の研究 の全体像の図解

取り組みの概要

農研機構が、山形東亜DKK、三桜電気工業、システムフォレストの民間3社と、千葉・熊本・宮崎・沖縄の各県の畜産研究機関とともに進めた研究です。畜産排水の浄化では、曝気(空気を送り込む操作)の時間、曝気槽の汚泥量、脱水時の凝集剤の量という3つの設定値が重要ですが、排水の濃さが日々変わるため、これまでは人が手作業で合わせていました。研究グループは、BODを測るバイオセンサの改良、汚泥量を測るMLSSセンサによる引き抜き制御、AIの画像認識で凝集の具合を数値化する新センサを開発し、それぞれを自動制御に結び付けました。あわせて、カメラと測定データをブラウザで確認できるIoT遠隔モニタリングも開発し、実証試験では運転管理の労働時間が約70%減っています。今後はメーカーなどへの技術移転による実装が予定されています。

出典:(研究成果) AIとIoT、新規センサを活用したスマート畜産排水処理技術 | プレスリリース・広報(発行元:農研機構)

02 — Problem

何に困って、AIを入れたのか

畜産排水は、飼養頭数や畜舎の洗浄頻度、季節によって濃さや性状が日々変わります。そのたびに曝気時間、汚泥の引き抜き、凝集剤の投入量を見直す必要があり、専門知識を持つ担当者が多大な労力をかけてきました。汚泥量の管理に苦慮する農家は多く、凝集剤については、凝集の度合いを測る既存のセンサ自体がありませんでした。

編集部の見立てでは、困りごとの根っこは「人手が足りない」こと以上に、「判断の材料が数値として手元にない」ことにあったと考えられます。BODは従来法だと測定に5日かかり、凝集の具合は目で見て判断するしかない。材料がそろわないまま調整を迫られる状況では、経験に頼った手動運転から抜け出すのは難しかったはずです。

03 — Key points

どうやって、うまくいったのか

自動化の前に「測れなかったものを測れるようにする」ことへ力を注いだ点が、この取り組みの土台です。凝集の度合いは、これまで数値にする手段がありませんでした。そこでAIの画像認識で凝集槽の様子を撮影して定量化し、その値に応じて凝集剤の投入量を決める仕組みにしています。BODについても、発電細菌を使って6時間で測れるバイオセンサをさらに改良して感度を高めており、制御の精度は入力となる測定値の質で決まる、という発想が一貫して見えます。

2つ目は、現場の条件に合わせた「実用性」への割り切りです。汚泥量の測定では、高性能な機器を追うのではなく、畜産現場でも導入できる安価なMLSSセンサをあえて選び、畜産排水特有の着色が測定を妨げないかも確かめています。技術的に最良のものより、農家が実際に設置できるものを優先したこの選択は、研究成果を現場へ届けるうえで効いてくるはずです。

3つ目は、個別の自動制御と遠隔モニタリングを組み合わせた体系的な設計です。3つの設定値をそれぞれ自動で制御するだけでなく、曝気槽や固液分離機、配電盤の様子をカメラで映し、MLSSやpHの測定値をスマホやPCのブラウザで見られるようにしました。自動化しきれない「状況の確認」まで遠隔に移したことで、見回りそのものを減らせる構造になっています。

04 — Results

具体的に、どんな成果が出たのか

実証試験では、IoT遠隔モニタリングにより排水処理施設の運転管理にかかる労働時間が約70%削減されました。汚泥量(MLSS)と凝集度は、いずれも誤差10%程度での制御に成功しています。改良型BOD監視システムでは検出限界が40 mg/Lから20 mg/Lへと感度が上がり、遠隔操作で曝気時間の制御も改善しました。なお、改良前のBOD監視システムは過去の実証試験で曝気の電力消費を最大20%減らしています。いずれも研究段階の成果であり、今後はセンサメーカーや排水処理施設の施工企業への技術移転を通じた実装が図られる予定です。

改善・向上したこと
業務の自動化人手不足の解消生産性向上品質・安全性向上コスト削減
取り組み内容
プロトタイプ開発(PoC)

05 — For your company

うちでも使える?

応用が見込めるのは、原料や排水の状態が日々ぶれ、そのたびに人が設備の設定を合わせ直している現場です。食品加工の洗浄排水や、薬剤の投入量を経験で決めている工程などでは、「状態を画像やセンサで数値化し、その値で設定を決める」という考え方をそのまま当てはめやすいでしょう。見回り中心の管理であれば、カメラと測定値の遠隔表示から始めるだけでも手応えが得られる可能性があります。

一方で、この取り組みは自前で新しいセンサを開発し、複数の研究機関で実証を重ねたうえに成り立っています。測りたい状態に合う市販センサがなく、自社で開発する体力もない場合は、同じ形での再現は難しいと考えられます。また、本技術は技術移転の予定段階にあり、すぐに製品として手に入るとは限りません。まずは、自社の設備で「毎回人が見て決めている設定値」が何なのか、その判断のとき担当者が何を見ているのかを一度観察してみてはいかがでしょうか。

06 — Company

この事例の支援企業

農

農研機構

畜産研究部門を置き、畜産排水処理のスマート制御技術などを研究開発する機関

この取り組みに関心があれば、
農研機構の公式情報をご覧ください

記事の情報

出典
(研究成果) AIとIoT、新規センサを活用したスマート畜産排水処理技術 | プレスリリース・広報発行元:農研機構
作成
公開情報をもとに、WarpBiz編集部が調べてまとめた記事です。
実施時期
この取り組みの実施時期は2025年4月です(更新 2026.10.01)。
この記事に載っている企業の方へ
本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除をご希望の場合はこちらからご連絡ください。

07 — Category

カテゴリー詳細

どこで使ったか

部門
全社共通・汎用業務
業務テーマ
全社共通・汎用業務›AIによる定型業務の自動化排水処理施設の運転管理

どんなAIで

AIの種類
画像AI›凝集度の画像認識
活用データ
画像・動画・3D›監視カメラ・防犯映像凝集槽の撮影画像
機械・設備・位置›設備稼働ログ・機械センサー
数値・Excel・ログ›品質検査・測定データ

何を使ったか

つないだシステム
エッジデバイス・IoT機器専用Webアプリ・業務システム
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