株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト
日立グループのIT企業。金融、社会インフラ・公共、産業・流通など幅広い業種でソリューションを提供し、2017年からAI技術に取り組み、画像認識AIや生成AIを中心に顧客の課題解決を支援している。
この取り組みに関心があれば、
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※イメージ画像です01 — Overview
ITサービス企業の日立ソリューションズ・クリエイトが、国立研究開発法人の農研機構、九州工業大学と共同で、ふ化する前の鶏卵のオス・メスを見分ける技術を開発した取り組みです。背景には、食用卵を産まないオスのひよこが、ふ化直後に大量に淘汰されているというアニマルウェルフェア(動物福祉)上の課題があります。2019年に日立ソリューションズ・クリエイトと農研機構が共同実験を始め、2023年から九州工業大学が加わりました。胚とその周辺の画像を学習させた画像認識AIに、卵殻越しでも内部を捉える撮影方法と、不要な情報を抑える画像処理を組み合わせることで、温め始めて3日目の卵を傷つけずに最高97%の精度で判別できることを確認しています。現時点は技術開発の段階で、今後は精度向上と実用化をめざす段階にあります。
出典:日立ソリューションズ・クリエイト、農研機構、九州工業大学がふ卵3日目に鶏卵を傷つけずに卵内雌雄判別する技術を共同開発 | 株式会社日立ソリューションズ・クリエイトのプレスリリース(発行元:株式会社日立ソリューションズ・クリエイト)
02 — Problem
食用卵を産めるのはメスだけのため、世界ではふ化直後のオスのひよこが年間約66億羽(日立ソリューションズ・クリエイトの試算)淘汰されています。ふ化前に雌雄を見分ける技術はEUを中心に実用化が進んでいますが、実用化されている判別は、ふ卵8〜12日目に行うものが中心です。ドイツでは痛覚が生じるとされるふ卵13日目以降の卵の廃棄が法律で禁じられており、判別の「時期」そのものが問われる状況にあります。
編集部の見立てでは、この課題の本質は「見分けられるかどうか」よりも「どれだけ早く、卵に手を加えずに見分けられるか」にあります。判別が遅いほど胚の発育は進み、卵を開けて調べれば売り物にならなくなる。早さと非破壊という、両立しにくい二つの条件を同時に満たすことが求められていたと考えられます。
03 — Key points
出発点に据えられたのは、ふ卵の2〜6日目から胚とその周辺に雌雄で異なる特徴が現れるという、農研機構が蓄積してきた生物学的な知見です。どこを見れば違いが出るのかという仮説が先にあったことで、AIに学習させる画像の対象を胚の周辺に絞り込めました。実際に共同実験では、人の目では区別できない特徴をAIモデルが捉えていることが確認されており、専門知見で狙いを定め、見分ける作業をAIに任せるという役割分担が機能したと考えられます。
もう一つの柱は、AIの性能だけに頼らず、入力となる画像そのものを作り込んだ点です。最初は卵殻の一部を切除して撮影した画像で判別できることを確かめ、そのうえで卵の置き方、カメラと光源の配置、撮影方法を試行錯誤して、殻越しでも胚が「AIで見える」状態を探っています。さらに九州工業大学の光学的な空間周波数調節の技術を応用し、卵殻やクチクラと呼ばれる表面の膜など判別に不要な情報を抑え、必要な部分を強調する画像処理を加えました。モデルの改良より先に、判別に効く情報だけが写る条件を整えたことが、非破壊での判別に道を開いたのではないでしょうか。
処理後の画像をもとに、さまざまな条件下でも判別できるよう多様な学習データを作り込んだことも見逃せません。撮影条件のばらつきを学習段階で織り込んでおく設計は、将来ふ卵場ごとの環境の違いに合わせたカスタマイズモデルへ展開する構想ともつながっています。
04 — Results
共同実験の結果、ふ卵3日目の鶏卵を傷つけずに、最高97%の精度で雌雄を判別できることが確認されています。痛覚が生じるとされる13日目よりも大幅に早い段階での判別を、非破壊で示した点に意味があると編集部は見ています。関連技術は日本とアメリカで特許を取得済みで、画像処理に関する部分は日本で出願中です。一方で、現時点は技術開発の段階にとどまります。今後は判別精度のさらなる向上とともに、この技術を標準モデルとして、ふ卵場ごとの環境に合わせたカスタマイズモデルの開発や鶏卵業界の企業との連携を通じた実用化がめざされています。
05 — For your company
この事例の考え方が生きやすいのは、見分けたい違いがどこに現れるかについて、社内や研究機関に一定の知見がそろっている場合です。加えて、撮影の角度や照明、前処理を工夫する余地があり、画像の質を上げる試行錯誤に時間をかけられる体制であれば、「人の目では分からない差をAIに拾わせる」アプローチは検討に値します。製品を壊さずに内部の状態を確かめたい検査工程などは、構造が近いと考えられます。
反対に、違いが現れる部位や時期の見当がついていない対象では、学習させる画像の狙いが定まらず、同じ進め方は取りにくいはずです。今回も2019年から数年がかりで撮影方法や画像処理を詰めており、短期間で成果を求める取り組みには向きません。また97%という数値は実験での確認値であり、現場での実用化はこれからという点も判断材料に入れておく必要があります。まずは、自社で「目では判別できないが、専門家は違いがあると知っている」対象がないか、現場の技術者に一度聞いてみてはどうでしょうか。
06 — Company
日立グループのIT企業。金融、社会インフラ・公共、産業・流通など幅広い業種でソリューションを提供し、2017年からAI技術に取り組み、画像認識AIや生成AIを中心に顧客の課題解決を支援している。
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07 — Category
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