株式会社エイブルコンピュータ
石川県金沢市のシステム開発会社。2003年から画像処理技術を用いた森林の材積量推定アプリを開発し、森林・林業の現場でのIT活用に取り組む。画像AIを用いた林業支援アプリ「WoodRepo」を開発・提供。
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※イメージ画像です01 — Overview
石川県金沢市のシステム開発会社エイブルコンピュータが開発した林業支援アプリ「WoodRepo」を、金沢市と能登森林組合が使い始めた事例です。アプリは、林内で撮影した360°カメラ画像から周囲の材積量や原木等級の割合を画像AIで推定するほか、ドローン空撮画像から樹種を自動判定して色分けし、所有者ごとの境界を作図する機能も備えています。金沢市は市営造林地を売り払う前の立木評価に、能登森林組合は石川県森林組合連合会とともに、どの材積推定方法が自分たちに合うかを比べる評価の対象として活用しています。今回の版は、石川県の森林だけで学習していた前年版を、秋田・福島・愛知・京都・山口の林業事業体の協力を得て全国向けに強化したものです。
出典:林業支援アプリ「WoodRepo」が金沢市と能登森林組合で利用開始 | 株式会社 エイブルコンピュータのプレスリリース(発行元:株式会社エイブルコンピュータ)
02 — Problem
金沢市では、市営造林地のうち経済的な施業が可能と判断された森林を事業者へ売り払う計画が進んでいます。値段を決めるには材積量と原木等級の見積もりが欠かせませんが、材積量は令和5年度に実施した航空LiDAR計測のデータから推定できる一方、原木等級は実際に木を見て評価するしかなく、約2,000ヘクタールという市営造林の広さを考えると大きな負担が見込まれていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの核心は「木がどれだけあるか」ではなく、「その木がいくらで売れる品質か」という、上空からの計測では埋まらない情報の空白にありました。A材・B材・C材で価格差が大きい以上、量だけ分かっても値付けはできず、最後まで人の目に頼るしかなかった工程こそがボトルネックだったと考えられます。
03 — Key points
林内で撮った360°カメラ画像を入力にした設計が、上空からの計測では拾えない「品質」の情報に手を届かせている点が最大の要因と考えられます。航空LiDARは森林全体の量を面でとらえるのが得意ですが、幹の状態から判断する原木等級は、地上の目線でなければ見えにくい情報です。金沢市の使い方は、量はLiDAR、品質はWoodRepoという役割分担になっており、既存の計測を置き換えるのではなく、欠けていた部分だけをAIで補う組み合わせ方が実務に乗せやすさを生んでいます。材積や等級に加え樹高・直径など6項目を推定し、所有者ごとの積算値や平均値まで集計する仕組みも、取引の判断材料へそのままつなげる意図が読み取れます。
全国展開の前に、他地域の森林で学習し直した進め方も見逃せません。石川県の森林だけで学習したAIは県内の利用にとどめ、秋田・福島・愛知・京都・山口の林業事業体の協力を得てから対象を広げています。樹種構成や林相が地域で異なる以上、学習データの範囲がそのまま使える範囲になるという前提を守った判断であり、協力先に実務で使ってもらい評価を得る工程を挟んだことも、現場で通用するかを確かめる手順として筋が通っています。
境界の確認では、AIに答えを出させるのではなく、人が判断するための材料をそろえる役に徹しています。ドローン画像から作る樹種の分布図はあくまで境界のヒントで、公図やGISファイル、植栽当時の航空写真、森林計画図などを重ね合わせたうえで、担当者が境界線を引き直す流れです。公図自体が不正確なことも多い森林の境界は、AIだけで確定できる性質のものではないため、判断の主体を人に残した設計が理にかなっていると考えられます。
04 — Results
現時点で、削減時間などの定量的な成果は公表されていません。全国向けの強化にあたっては、協力を得た5地域でもAIが良い成績を示し、実務で利用した林業事業体から実用的との評価を得ています。金沢市では本年度から市営造林の立木評価に使われ始めており、特に立木状態での材質評価が必要な取引で有効ではないかと期待されている段階です。能登森林組合では複数の材積推定方法を比べる評価が進行中で、開発元はその結果を技術の改良に生かす方針を示しています。
05 — For your company
応用しやすいのは、広い範囲を対象に、量だけでなく「質」の見極めが価格や判断を左右する業務です。既存の計測手段で量は把握できているのに、品質の評価だけが人の目視に頼っている――そうした構図があれば、現場で撮った画像からAIに品質を推定させ、既存データと役割分担させる考え方が参考になります。境界確認のように、AIの出力をそのまま結論にせず、複数の資料と重ねて人が決める使い方も、正解を一つに定めにくい業務に向いています。
一方で、この仕組みは地域の森林で学習したAIが前提です。学習に含まれていない樹種構成や環境では精度が保証されず、石川県版を県内限定にしていたのもそのためでした。自社の対象がモデルの学習範囲に入っているかを確かめないまま導入すると、期待した推定が得られない可能性があります。また能登森林組合の評価が示すとおり、材積の推定手段にはLiDARやドローン空撮などの選択肢もあり、規模や施業の形によって向き不向きが分かれます。
まずは、自分たちの評価業務のうち「量」と「質」のどちらを人の目で測っているかを一度切り分けてみてはどうでしょうか。AIを当てるべき工程が見えてきます。
06 — Company
石川県金沢市のシステム開発会社。2003年から画像処理技術を用いた森林の材積量推定アプリを開発し、森林・林業の現場でのIT活用に取り組む。画像AIを用いた林業支援アプリ「WoodRepo」を開発・提供。
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07 — Category
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