更新 2026.10.11
AIカメラで魚体サイズを自動測定、サーモン陸上養殖の出荷予測を精緻に
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 魚や作物の育ち具合を勘で見ている
- 測定の準備と集計に手間がかかる
- 出荷時期の見通しが立てにくい
どのようなAIの取り組み?
AI魚体サイズ測定カメラで、サーモンの成長を水槽内のまま数値化し、出荷時期の予測精度を高めたAI取り組み
業種
サーモン陸上養殖(農業・林業・漁業)
取り組み領域
養殖管理/魚体の成長把握
使ったAI
AI魚体サイズ測定カメラ(画像AI)
主な成果
出荷時期の予測精度が大幅に向上
福岡県豊前市で循環式のサーモン陸上養殖を営むフィッシュファームみらい合同会社は、ニチモウ、九州電力、西日本プラント工業、井戸内サーモンファームの4社が共同で設立した事業体で、2023年3月に年間出荷量300トン規模のプラントを完工しています。同社は、アイエンターが提供する「AI魚体サイズ測定カメラ」を展示会で知り、導入しました。水槽にカメラを沈めて魚体を撮影し、サイズの解析と集計をシステム側で行う仕組みです。魚を水から取り上げずに成長度合いを把握できるようになり、測定は月2回ほどのペースで実施されています。得られたデータは出荷時期の予測や養殖計画づくり、出資各社への報告に使われています。
出典:フィッシュファームみらい合同会社|年間を通じて高品質なサーモンの安定供給を目指す|i-ocean 発行元:i-ocean
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
導入前もカメラ自体は使われていました。ただ、機材が大きく、深い水槽の階段を抱えて上り下りしなければならず、配線も込み入っていたため、撮影の準備だけで相当な労力がかかっていました。撮った映像の解析は手作業で、体重の見積もりは給餌量と増肉係数(餌の量に対してどれだけ身が増えるかの目安)からの計算に頼っており、その数値の裏付けは乏しい状態でした。
編集部の見立てでは、問題の核心は作業の重さそのものより、「測るのが大変だから、たまにしか測れず、結果として推計に頼るしかない」という循環にあったと考えられます。2.5キロ以上で毎週安定して出荷するという目標を掲げる以上、成長の実測値が手元にないことは、計画全体の土台が揺らいでいることに等しかったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
測定の手間を「準備」と「解析」の両方でほぼなくしたことが、データ化を日常業務に乗せた最大の要因と考えられます。PCにUSBでつなぐだけで撮影でき、解析も自動で進むため、1名で作業が完結します。測定のたびに人手を集める必要がなくなれば、定期的に実測する運用が初めて現実的になります。精度の高いAIがあっても、現場で回らなければデータは貯まりません。
もう一つは、魚への影響を踏まえて使う頻度をあえて絞り込んだ運用判断です。カメラを入れると魚が一時的に餌を食べなくなり、測定中は給餌も止める必要があるため、毎日ではなく月2回ほどに設定しています。測れば測るほど良いとせず、成長への副作用と情報の鮮度の釣り合いを取った点に、現場を知る側の設計が表れています。
加えて、運用マニュアルを自分たちで作成し、特定の担当者でなくても測定できる体制を整えたことも見逃せません。道具の簡便さに手順の標準化を重ねたことで、担当の交代や増員があっても測定が途切れにくくなり、時系列データを継続して積み上げる前提が整ったと言えます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
肌感覚に頼っていたサイズ確認が実測データに置き換わり、養殖管理の精度が上がっています。魚を取り上げずに測れるため、傷や斃死のリスクを避けられるようになりました。撮影準備の簡略化と手動解析の廃止で作業効率も大きく改善し、出荷時期の予測精度は大幅に向上しています。データは分析画面でグラフ化され、出資各社への報告にも使われています。今後はデータの蓄積をもとに、種苗から出荷までの成長過程を予測できるようになり、養殖計画の精度がさらに高まることが期待されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、生き物や作物のように「育ち具合を定期的に測りたいが、測る行為そのものが対象に負担をかける」業務です。画像から大きさを推定できれば、接触せずに記録を重ねられます。また、これまで投入量からの計算で成長を推し量っていた現場ほど、実測値に切り替えたときの差が出やすいでしょう。一方で、濁りや混み具合で個体がうまく写らない環境や、サイズより色・脂のりといった見た目に表れにくい品質が出荷判断の決め手になる場合は、同じ効果は見込みにくいと考えられます。測定のたびに給餌を止めるといった制約が許容できるかも、事前に確かめておきたい点です。
手始めに、いまの成長把握が実測なのか計算なのかを確認し、直近の出荷で見込みと実際の重さがどれだけずれたかを比べてみてはどうでしょうか。そのずれが大きいほど、測る仕組みに投資する意味がはっきりします。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
フィッシュファームみらい合同会社
出典・参考情報
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