実施 2026.05 ・ 更新 2026.10.09
経営者の判断基準を生成AIで再現、農業法人で「バーチャル代表」を3カ月実証
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社長に聞かないと何も決まらない
- 多忙な社長に相談しづらい
- 社長の判断基準を社員に伝えたい
どのようなAIの取り組み?
経営者の判断基準を学習させた生成AI「デジマキさん」を構築し、現場が自ら考えて動ける状態づくりを試した実証プロジェクト
業種
農業法人(農業・林業・漁業)
取り組み領域
経営判断の共有/現場の意思決定支援
使ったAI
経営者の判断を再現する対話型AI(生成AI)
主な成果
AIとの相談から生まれた箱売りを2日後に実施し、翌日に増産を決定
山梨県北杜市の農業法人アグリマインドで、ITサービス会社のエクサが生成AIの実証プロジェクトを実施し、完了を発表しています。代表の藤巻公史氏が長年の経験で培ってきた経営哲学や判断基準を生成AIに学ばせ、現場の質問に「代表ならどう考えるか」を返すAI、通称「デジマキさん」を構築しました。専用アプリには次の質問を促す機能や、回答を代表にそのまま確認できる機能を備えています。あわせて社員向けのAIスキル共有会を毎週開き、個別相談へとつなげる伴走支援も行いました。エクサの社員は約3カ月にわたり現場に入り込んでおり、その結果、直売所での新しい販売方法の実施など、具体的な行動の変化が生まれています。
出典:【AIが経営者の判断を再現】エクサ、農業法人アグリマインドで生成AI活用の実証プロジェクトを完了。経営者の「暗黙知」を資産化したAI『デジマキさん』を構築。|株式会社エクサ 発行元:株式会社エクサ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
アグリマインドでは、代表の頭の中にある判断基準や経営哲学が言語化されないまま、現場の判断を支えていました。代表は多忙でやり取りの機会が限られ、離れた拠点の責任者も確認を待つ構図になりやすい状況です。
編集部の見立てでは、困りごとの核心は「知識が足りない」ことではなく、「代表に聞くという行為そのものの敷居の高さ」にあったと考えられます。判断の拠り所が一人に集まっていると、ささいな疑問ほど後回しにされ、現場は動けないまま待つことになります。暗黙知を共有するとは、情報を配ることより、気軽に問いかけられる窓口を用意することだったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
「代表に相談する」という普段の行動の延長にAIを置いた体験設計が、最も大きな要因と考えられます。新しい道具を覚えさせるのではなく、次の質問を促すサジェストや、回答を代表本人にワンタッチで確かめられるエスカレーション機能によって、相談の流れを途切れさせない作りにしています。AIの答えに不安が残れば本人に回せるという逃げ道があることで、現場はAIの判断を鵜呑みにせずに済み、安心して使い始められたのではないでしょうか。
もう一つは、開発者自身が約3カ月にわたって現場に入り込んだ点です。エンファクトリーの越境型研修プログラム「複業留学」を使ってエクサの社員が現場で実務に携わり、空気感や代表の考え方を肌で感じながらUX(使い手が感じる使い心地)を設計しています。要件を聞き取って作る進め方では拾いにくい、「誰が、どんな場面で、どう聞きたいか」という細部が設計に反映されやすかったと考えられます。
AIを作って終わりにせず、毎週のスキル共有会から個別相談へと段階的に切り替えた支援の組み立ても効いています。最初は農業やバックオフィスの活用例を見せてイメージを持たせ、そのうえで一人ひとりの業務課題に寄り添う順序にしたことで、担当者が自分の仕事に引き寄せて使い方を考える土台ができたと読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
直売所の担当者が規格外イチゴの売り方をデジマキさんに相談し、やり取りから生まれた「箱売り」を2日後に実施、翌日には好評を受けて増産を決めています。担当者が業務に必要なAIツールを自ら発案するといった行動の変化も見られました。離れた拠点の責任者がAIを相手に一次判断の精度を高められる環境も整い、代表の確認を待たずに動ける意思決定のスピード向上が期待されています。代表は、AIを自分の代行者ではなく判断の精度を上げる壁打ち相手と位置づけ、誰がやっても同じ結果が出る仕組みづくりへの一歩と評価しています。
うちでも使える?
経営者やベテランの判断に現場が頼りきりで、しかもその人が忙しくて捕まらない組織には、応用の余地があります。とくに今回のように、回答をワンタッチで本人に確認できる仕組みとセットにすれば、AIの答えが外れても本人が補える形で始められるため、導入時の不安を抑えやすいはずです。
一方で、判断基準を語ってくれる本人の協力が得られない場合は難しくなります。今回の中核は代表自身の哲学を学習させた点にあり、本人がAIを壁打ち相手として受け入れていたことも大きいと考えられます。また、開発者が数カ月現場に張り付く進め方は、規模の小さな組織ほど受け入れ側の負担が見合うかを見極める必要があるでしょう。
まずは、この1週間で社長に聞こうとして結局聞けなかった質問を、社員に一つずつ挙げてもらうところから。その質問の中身こそ、AIに最初に答えさせるべき範囲を示してくれます。
この事例は2026年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社エクサ
JFEスチールを母体とし、キンドリルジャパンを親会社に持つITサービス会社。「共創型サービスインテグレーター」として、上流のコンサルティングから開発・構築、運用・保守までを総合的に提供している。
株式会社アグリマインド
出典・参考情報
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