実施 2026.09 ・ 更新 2026.10.09
耳のセンサーで牛の体調変化を先回り、約400頭を見守る畜産の飼養管理
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 頭数が多く体調の変化を見逃しがち
- 見回りに毎日かなりの時間を取られる
- 勘に頼った飼養管理を数字で裏づけたい
どのようなAIの取り組み?
耳に付けるセンサーとアラートで、約400頭の牛の体調変化に早く気づけるようにした取り組み
業種
肉用牛の繁殖・肥育(農業・畜産)
取り組み領域
飼養管理/牛の体調モニタリング
使ったAI
U-motion(イヤタグ・ネックタグセンサーとアラート通知)
主な成果
牛の体調変化に早く気づき、確認や治療の判断につなげやすくなった
仙台牛を中心に出荷する有限会社髙橋畜産は、繁殖牛・子牛・肥育牛を合わせて約400頭を一貫して飼養しています。同社はデザミス株式会社が提供する「U-motion」を活用しており、以前は首に付けるネックタグセンサーを使っていましたが、耳に付けるイヤタグセンサーの登場を機に全頭へ導入しました。現在は肥育牛にイヤタグ、子牛にネックタグと使い分けています。起立困難や採食量の低下、急性疾患の兆候がアラートで届き、スマートフォンの散布図からその日に優先して見る牛を絞り込んだうえで、牛舎で実際の状態を確かめる運用です。血統や治療歴、牛群移動などの個体記録もあわせて管理しています。
出典:イヤタグセンサーが決め手で全頭導入!経験をデータでさらに磨き仙台牛の生産に取り組む | 導入事例 | デザミス株式会社 発行元:デザミス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
約400頭を繁殖から肥育まで抱える牛舎では、一頭ずつの小さな異変を人の目だけで拾い続けるのは容易ではありません。食べる量がわずかに落ちた、立ち上がりが鈍いといった兆しは、気づいたときには症状が進んでいることもあります。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの核心は「見回りの手間」そのものよりも、限られた時間の中で「どの牛から見るか」を決める根拠が経験頼みだった点にあります。勘がどれほど確かでも、頭数が増えるほど目が届く範囲には限界が出てきます。その優先順位づけを、センサーという別の目で補う必要があったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
アラートを答えではなく「見に行く順番」を決める材料として使っている点が、運用を無理なく回している最大の要因と考えられます。散布図で基準範囲を外れた牛を拾い、その日に優先する牛を絞ってから牛舎へ向かい、最後は自分の目で状態を確かめる流れです。判断の最終責任を人に残しつつ、探す範囲だけを機械に狭めてもらう分担になっており、気になっていた牛がアラートに挙がれば経験の裏づけにもなります。人の勘とデータがぶつからず、互いを補う関係にあることが定着の土台になっているのではないでしょうか。
センサーの形を牛の成長段階に合わせて使い分けたことも見逃せません。装着後の調整が少ないイヤタグを肥育牛に、ネックタグを子牛にと割り振っており、全頭で計測を続けるうえで負担になりやすい日々の手入れを抑えています。データは途切れずに取れてこそ意味を持つため、この地味な選択が仕組み全体を支えていると編集部は見ています。
加えて、使い手が迷わないための支えが用意されていた点も効いています。導入時にはオンラインで散布図の見方を学べる定着化支援サポートがあり、その後もヘルプ機能での見返しやLINEでの相談ができます。散布図のような見慣れない画面は読み方が分からないと放置されがちで、読み解き方を身につける機会があったことが日常の道具として根づく条件になったと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
導入後の大きな変化は、牛の体調変化に早く気づき、確認や治療の判断につなげやすくなったことです。人の目で気づく前にアラートが届く場面もあり、肥育牛では採食量の変化をビタミン補給などを行うタイミングの目安にしています。個体ごとの記録によって在庫や飼養状況も把握しやすくなりました。今後は血統や導入時の日齢・体重、成長、枝肉成績などを結び付け、自分たちの飼養管理に合う牛を数値から見極めることを目指しています。成果は数値ではなく、日々の判断のしやすさという定性的な変化として示されています。
うちでも使える?
多数の個体や設備を少人数で見回っていて、「異変に早く気づきたいが、全部を毎日じっくりは見られない」という現場なら、この考え方は応用しやすいはずです。ポイントは、データで対象を絞り、最終確認は人が行うという分担にあります。畜産に限らず、見回り・巡回が業務の中心になる現場で通じる設計です。
一方で、センサーを対象に取り付け続けられない、あるいは装着の調整に手間がかかる環境では、データが途切れて仕組みそのものが回りにくくなります。また、「基準範囲から外れた」という通知を受けても、現場で確かめて対処できる人手や知見がなければ、アラートは見過ごされるだけになりかねません。蓄積データを牛の選定などに生かす段階も、記録を長期間きちんと続けてこそ成り立つものです。
まずは、自分たちの見回りの中で「気づくのが遅れて困った異変」を一つ思い出し、それが食べる量や動き方など、どんな数値の変化として事前に表れていそうかを考えてみてはどうでしょうか。
この事例は2026年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
有限会社髙橋畜産
出典・参考情報
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