更新 2026.10.08
メーカー実験で頭数カウント74%時短、豚の体重分布を見るAIカメラ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 豚の頭数を目で数えるのが大変
- 1頭ずつの体重測定に手間がかかる
- 平均体重だけで出荷を決めている
どのようなAIの取り組み?
天井カメラと画像AIで豚の頭数と体重分布を推計し、移動・出荷の判断材料を現場で可視化したAI取り組み
業種
養豚業(農業・林業・漁業)
取り組み領域
豚の頭数カウント/体重管理
使ったAI
AI搭載カメラシステム「PigDataStation」(画像AI)
主な成果
頭数カウント作業が約74%短縮(メーカー実験値)
宮崎県都城市の有限会社永峰養豚場は、2025年に株式会社Eco-Porkが自社開発したAI搭載カメラシステム「PigDataStation(PDS)」を導入しました。PDSの第1号ユーザーです。豚舎通路の天井に付けたカメラの下を豚が歩くと、AIが頭数を数え、体重分布を推計してモニター上にグラフで示します。同養豚場は母豚800頭規模で、離乳時の受け入れと離乳舎から肥育舎への移動の際にカウント機能を使い、履歴画面の体重・頭数分布のグラフも業務で活用しています。操作は外国人技能実習生が担い、グラフは従業員がLINE WORKSで共有しています。なお、Eco-Porkの実験では頭数カウントの作業時間が約74%短縮し、同社の試算では体重計測1頭あたりの時間が約97%短くなるとされています。
出典:PigDataStation ピッグデータステーション | 株式会社Eco-Pork 発行元:株式会社Eco-Pork
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
永峰養豚場では、離乳や豚舎間の移動のたびに頭数を数える作業が業務の流れに組み込まれていました。現状は人手で正確に把握できていても、規模が広がればカウントそのものが負担になり、誤差も出やすくなる。代表はそうした先行きを見越し、「人手だけに頼らない仕組み」が必要だと考えていました。
編集部が注目するのは、困りごとが今の忙しさではなく、規模拡大に耐えられるかという「将来の限界」にあった点です。数える作業は目立たない一方、豚の移動や出荷のたびに必ず発生し、頭数が増えるほど確認の精度が揺らぎやすい。拡大を前提とした経営にとって、ここは早めに人から切り離しておきたい工程だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
豚を「通路で歩かせるだけ」で数と重さの両方を取る設計が、作業を増やさずにデータを得ることを可能にしたと考えられます。もともと発生している豚の移動に計測を重ねているため、豚衡機まで1頭ずつ連れていく手間も、準備や清掃も生まれません。逆走した豚を差し引くカウントダウン機能のように、通路での運用で起こりがちなズレを最初から織り込んでいる点も、現場で使い続けられる理由の一つでしょう。
豚舎という過酷な環境と、誰が触っても迷わない操作性を前提にした作り込みも大きな要因です。インターネット不要のスタンドアローン型で、カメラは天井、モニターは壁に付けるだけ。手袋をしたままでも、粉塵や水が付いていても操作できるタッチパネルに、IP65相当の防水防塵を備えています。実際に操作を担うのは外国人技能実習生で、画面の分かりやすさがそのまま運用のしやすさにつながっています。
さらに、平均値ではなく「分布」を見せる出力の仕方が、データを判断材料へと変えています。体重分布がグラフで表示されるため、子豚担当と肥育担当はその画面を撮影してLINE WORKSで共有し、状況を確かめ合うようになりました。この共有は従業員が自主的に始めた運用で、担当をまたいだ会話のきっかけとして機能している点が見逃せません。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
永峰養豚場では、離乳時の受け入れと肥育舎への移動でカウント機能が定着し、実習生が問題なく操作できる状態になっています。体重分布のグラフは担当者間の情報共有に使われ、今後は蓄積データを飼養環境の改善に活かす構想も語られています。ユーザーとしての要望が開発に反映され、「一緒に製品をつくっている」実感も生まれています。なお時短効果は、Eco-Porkの実験(57頭移動時)で頭数カウントが68秒から18秒へ約74%短縮、同社試算で体重計測が1頭60秒から2秒へ約97%短縮というもので、同養豚場で測定された数値ではありません。
うちでも使える?
応用しやすいのは、対象物が決まった通路や動線を必ず通り、その場で「数」や「大きさのばらつき」を把握したい現場です。家畜に限らず、搬送や移動のタイミングで個体差を確認している業務なら、同じ発想が当てはまる余地があります。オフラインで完結する構成は、通信環境が整わない現場でも検討しやすい要素でしょう。
一方で、このシステムは対応品種がLW×D・WL×Dの肉豚に限られるなど、推計の前提となる対象がはっきり決まっています。対象の形や種類が頻繁に変わる現場、あるいは通路のように一方向へ流れる動線をつくれない現場では、同じ精度を期待するのは難しいかもしれません。また、分布を見ても出荷日の調整や振り分けといった打ち手が取れない運用では、可視化の価値が生きにくくなります。
まずは次の移動や出荷の場面で、平均値だけで決めている判断を一つ選び、ばらつきが分かれば何を変えられるかを担当者同士で話してみてはどうでしょうか。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社Eco-Pork
養豚向けに自社開発のAI搭載カメラシステム「PigDataStation」を提供するソリューション提供企業
有限会社永峰養豚場
出典・参考情報
PigDataStation ピッグデータステーション | 株式会社Eco-Pork
発行元:株式会社Eco-Pork
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