実施 2024.04 ・ 更新 2026.10.07
AI-OCRで受注処理を38人分から4人に集約、手書き申込書を読む農協の仕組み
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 紙の注文書の手入力に人手を取られている
- 拠点ごとに同じ事務を抱えている
- 人が減っても受注業務を回したい
どのようなAIの取り組み?
スキャナーとAI-OCRで手書きの申込書を読み取り、38支店分の受注処理を本店の4人に集約したAI取り組み
業種
農業協同組合(農業・林業・漁業)
取り組み領域
購買品の受注処理/申込書のデータ化
使ったAI
AI-OCRソフトウェア「DynaEye 11」(手書き文字認識)
主な成果
38支店・38人分の受注処理を本店の4人に集約
埼玉県南西部の10市3町を管轄するJAいるま野(いるま野農業協同組合)は、組合員に生活物資を届ける購買事業で、これまで38の支店がそれぞれ担っていた紙の申込書の手入力を、本店に新設した「集中受注センター」へまとめました。申込書はPFUのスキャナー「fi-8170」で画像化し、同社のAI-OCRソフトウェア「DynaEye 11」で文字を読み取ったうえで、変換を経て基幹システムへ取り込む流れです。製品の紹介と導入準備にはリコージャパンとPFUが関わり、約半年の検討と試用を経て2024年4月に運用を始めています。支店の購買担当38人分の業務は本店で増員した4人に集約され、支店が行っていた電話での受注もセンターへ移されました。
出典:手入力をAI-OCRに切り換えて「38人→4人」の省人化を実現、人件費を大幅に圧縮 | デジタラクル 発行元:PFU
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
JAいるま野の購買事業は、商品を一つ届けるまでに多くの人手を要し、人件費が経営を圧迫していました。各支店に1人ずつ置かれた購買担当が申込書を見ながら手入力する体制に加え、人口減による人材不足で、この形を続けること自体が難しくなりつつありました。
表面上は「入力作業が多い」という話に見えますが、編集部の見立てでは、問題の核は同じ事務が38か所に分散していたことにあります。拠点ごとに1人ずつ張り付く構造では、1件あたりの作業を多少速くしても人数は減らせません。紙の申込書という組合員側の習慣は変えられない中で、読み取りをAI-OCRに任せられるかどうかが、業務を一か所に寄せられるかどうかの分かれ目だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
最も大きかったのは、AI-OCRの導入と受注処理の一か所への集約を、一体の改革として設計した点です。支店ごとの手入力を残したままOCRを入れても、効果は各拠点に薄く散らばるだけでしょう。読み取りを本店のセンターに集め、浮いた余力で支店が担っていた電話での受注まで同じチームが引き受ける構成にしたことで、ツールの効果が人員配置の見直しに直結しました。架電と受注処理の集約は同時でなければ意味がないという判断が、この設計の背骨になっています。
もう一つは、AIの精度に頼り切らず、読み取られる側の申込書を作り替えた工夫です。西暦の頭に「20」を印字する、日付欄を枠で囲む、郵便番号や電話番号にハイフンを先に刷っておくといった細工で、手書きの揺れを入口で抑えています。四隅の基準マークは切り取り線のずれを吸収し、帳票IDを印字しておけば、レイアウトが同じ新商品の申込書には既存の書式定義がそのまま流用されます。メロン、スイカ、伸し餅と商品が季節ごとに入れ替わる購買事業では、この「一度作った定義を使い回せる」仕組みが運用の継続を支えていると見られます。
確認作業をチームで分担できる形にしたことも見逃せません。複数のPCで同じ読み取り結果を共有するマルチステーションを使い、4人が同じ画面で進捗を見ながら地域ごとに確認・修正を進めています。さらに職員コード欄を設けて電話受注の担当者を後から追えるようにするなど、AIが読んだ結果を人が点検する工程まで含めて、少人数で回る流れに組み立てられています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
支店に1人ずついた購買担当38人を配置せず、本店で増員した4人に受注処理を集約する体制が実現しています。支店分の電話受注もこの4人で担っており、元の担当者は信用や共済の業務に移りました。主要7拠点で発生していた入力データの整理作業もなくなっています。読み取り精度については、記入ミス以外は確認だけで済むものが多いと現場が評価しています。一方、基幹システムへの取り込みには独自の変換ソフトを挟んでおり、連携の円滑化は今後の課題とされています。生活物資以外の商品への活用拡大も視野に入っています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、取引先や顧客が紙で書いた注文書・申込書を、複数の拠点で個別に入力している組織です。書式を自分たちで作っている場合は、記入欄の枠線や印字済みのハイフン、基準マークといった工夫を申込書側に組み込めるため、OCRの精度を運用で引き上げる余地が大きくなります。商品や案件ごとにレイアウトが少しずつ変わる業務でも、定義を流用できる仕組みがあれば負担は抑えられるでしょう。
反対に、書式を取引先が決めていて自社で手を入れられない場合や、読み取った後に基幹システムへ流す経路を用意できない場合は、同じ効果は出にくいと考えられます。また、この事例の人員削減は拠点分散していた業務の集約とセットで成り立っており、もともと一か所で処理している職場では、OCRだけで同じ規模の省人化を期待するのは難しいかもしれません。まずは、いま使っている申込書を1枚手に取り、記入者が書き方に迷いそうな欄に印をつけてみてはどうでしょうか。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
いるま野農業協同組合(JAいるま野)
出典・参考情報
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