実施 2026.03 ・ 更新 2026.10.06
ニッスイ、水中映像から魚の体長・体重をAIで算出 国内養殖4社全てで活用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 生け簀の魚の測定に手間がかかる
- 網ですくう作業で魚を傷めたくない
- 画像のコマ送り計測をやめたい
どのようなAIの取り組み?
水中映像から魚の大きさと体重をAIで算出し、網ですくう測定を不要にしたAI取り組み
業種
水産養殖(農業・林業・漁業)
取り組み領域
養殖魚の成長管理/魚体測定
使ったAI
AI・IoTによる魚体測定システム(水中映像解析)
主な成果
国内グループの養殖会社4社すべてで魚体測定システムを活用
水産大手のニッスイは、国内外で養殖事業を手がけ、魚の成長状態を継続的に把握する必要を抱えています。従来は網で魚をすくい上げて測るか、生け簀内で撮った画像をコマ送りしながら測るといった手作業に頼っていました。そこでニッスイグループは電気機器メーカーと協力し、各社が持つAI・IoT技術を生かして魚体測定を自動化するソリューションを共同開発しました。生け簀の中を水中撮影した映像をアップロードすると、AIが魚を検知して大きさや体重を算出し、レポートとして返す仕組みです。2026年3月時点で、国内グループの養殖会社4社すべてがこの魚体測定システムを使っています。
出典:持続可能な養殖 | 環境 | サステナビリティ|ニッスイ 発行元:株式会社ニッスイ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
養殖では、給餌量や水揚げ量を見積もるために魚の体長・体重を定期的に測る必要があります。ところがその方法は、網ですくって直接測るか、撮影画像を一コマずつ送って測るかのどちらかで、いずれも人手と時間を食う作業でした。
編集部が注目するのは、網ですくう測定そのものが魚にとって負担になっていた点です。測れば測るほど魚にストレスや病気のリスクを与えかねず、成長を管理するための作業が、管理対象である魚の健康を損なう方向に働くという矛盾を抱えていたと考えられます。困りごとの核心は測定の手間よりも、この「測ることと育てることのトレードオフ」にあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
入力を「水中で撮った映像をアップロードするだけ」に絞り込んだ設計が、最大の要因と考えられます。現場の作業者に求めるのは撮影とアップロードのみで、魚の検知から体長・体重の算出、レポート化までをシステム側が引き受けます。コマ送りで一尾ずつ測るという、もっとも人手を要する工程をまるごとAIに移したことで、測定が特別な作業ではなく日常業務の延長になったと見ています。
魚に触れないという条件を、効率化と同じ重さで設計目標に据えた点も見逃せません。この取り組みは、ニッスイがアニマルウェルフェア方針のもとで日々の健康状態のモニタリングを掲げる流れの中に位置づけられています。省力化だけを目的にしていれば、網ですくう作業を速くする方向の改善もあり得たはずです。非接触の測定を選んだことで、測定回数を増やしても魚への負担が増えない構造が生まれ、ウェルフェアと生産管理の両立が可能になったと考えられます。
もう一つは、養殖の現場を持つ側と技術を持つ側が役割を分けた共同開発の体制です。AI・IoTの技術は電気機器メーカーが提供し、ニッスイグループは養殖現場での課題や使い方を持ち込む形で開発が進められています。現場で実際に使うことを前提に作り込んだことが、グループ内の養殖会社への展開を後押ししたのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
2026年3月時点で、ニッスイ国内グループの養殖会社4社すべてが魚体測定システムを活用しています。人が魚に触れずに測定できるため、魚のストレスや病気のリスクを避けられるようになりました。加えて、これまで測定に費やしていた手間や時間が軽減され、測定精度も向上するなど、生産性の向上につながっています。ニッスイは今後、AI・IoTの活用範囲を拡げていく方針を示しています。対象会社の全社で使われている点は、一部の現場での試行にとどまらず、標準的な測定手段として根づき始めていることを示していると読めます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、生き物や製品を定期的に計測していて、その計測自体が対象に負担をかけたり、作業者の手を長く拘束したりしている現場です。カメラで撮影できる環境があり、計測したい量(大きさや重さなど)が見た目から推定できる対象であれば、映像を撮ってAIに解析させるという構図は業種を越えて検討する価値があります。
一方で、この事例は電気機器メーカーとの共同開発で、AIが魚を検知して体長・体重を算出する専用の仕組みを作り込んでいます。汎用ツールを契約すればすぐ同じことができる、という性質のものではありません。濁りや照明の条件で映像の質が大きく変わる環境や、見た目と重さの関係が安定しない対象では、推定の精度を確保するための検証に相応の手間がかかると考えられます。
まずは、いま手作業で行っている計測を一度スマートフォンで撮影し、その映像から必要な数値が読み取れそうかを確かめてみてはどうでしょうか。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ニッスイ
支援ベンダーについて
本事例の開発・支援を担当した企業名は公開されていません。
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