実施 2025.08 ・ 更新 2026.10.05
写真で型番を自動入力、農業機械メーカーが貸出機管理を紙・Excelから刷新
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 貸し出した機械の行方がすぐ分からない
- 外回り中の記録がつい漏れる
- 紙やExcelの台帳を拠点ごとに管理
どのようなAIの取り組み?
写真を撮るだけで機械の型式・型番を読み取るAI画像解析により、販売店への貸出機管理を紙・Excelから刷新したAI取り組み
業種
農業機械メーカー(製造業)
取り組み領域
営業/販売店向け貸出機の管理
使ったAI
UPWARD AI Scan(AI画像解析サービス)
主な成果
貸出台帳の入力負荷を大幅に削減し、全営業で貸出状況をリアルタイム共有
自走式草刈機などの小型農業機械を製造・販売する株式会社オーレックでは、販売店から実演の依頼があるたびに営業担当者が機械を持ち込み、貸し出しています。その貸出記録は拠点ごとに紙やExcelで手作業管理されており、記録漏れや貸出状況の把握しづらさが課題でした。同社は、すでに営業プロセスの可視化に使っていたUPWARD株式会社の営業支援サービスに加え、機械を撮影すると型式・型番を自動取得するAI画像解析サービス「UPWARD AI Scan」を採用。一部営業所でのPoC(小規模な試験導入)で有効性と利用者の評価を確かめたうえで本格導入を決め、Salesforce上に構築した貸出管理台帳への入力をこのサービス経由に切り替えました。
出典:農業機械メーカーのオーレック、AI画像解析サービス「UPWARD AI Scan」を導入|UPWARDニュースリリース 発行元:UPWARD株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
繁忙期には実演や展示会のために貸し出しと引き上げが何度も繰り返され、メモの取り忘れや台帳への転記漏れが起きていました。Excelでの管理は手間の削減につながらず、機械ごとにGPS機器を付ける案も台数の多さから費用面で折り合わなかったという経緯があります。
表面上は記録ミスの問題に見えますが、編集部の見立てでは、根っこにあるのは「記録する瞬間」と「台帳に書く瞬間」が離れていたことです。販売店の店先で機械を渡すという動作と、あとで台帳を埋めるという事務作業が別々に存在する限り、忙しい時期ほど後者が抜け落ちます。管理方法の問題というより、記録行為が現場の動きの外側に置かれていた構造の問題だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
記録を「撮影」という一動作に畳み込んだ設計が、最も大きな要因と考えられます。型式や型番は写真から画像解析で自動取得され、貸出先の販売店は滞在検知によって自動で紐づくため、担当者が手で入力する項目がほとんど残りません。機械を渡すその場でスマートフォンを向けるだけで記録が完結するので、後から台帳に書き写すという、漏れの温床だった工程そのものが消えています。
台帳の置き場所を、すでに使っているSalesforceに寄せた判断も効いていると見られます。入力結果はリアルタイムに連携され、全営業担当が同じ画面で最新の貸出状況を確認できます。拠点ごとに散らばっていた紙やExcelを一つにまとめる作業を、新しい管理システムの導入ではなく既存の営業基盤の延長で済ませたことで、見る場所が増えず、活用の範囲も広げやすくなっています。
見落とされがちなのが、マスター整備を運用に組み込んだ仕組みです。貸出管理台帳と貸出機マスターを連動させ、未登録の機械が貸出登録されるとマスター側に自動で新規登録されます。マスターを事前に完璧に整えてから始めるのではなく、日々の貸し出しを通じてマスターが育っていく設計になっており、立ち上げの負担を抑えつつデータの網羅性を高められる点で合理的です。一部営業所でのPoCで現場の手応えを確かめてから広げた段取りも、こうした設計を実運用に合わせ込むうえで役立ったのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
台帳入力に必要な項目の多くが自動で埋まるようになり、入力負荷は大幅に減っています。入力がSalesforceへ即時に反映されることで、全営業担当が最新の貸出状況を共有できる状態も生まれました。PoCを行った営業所からは「楽になった」という声が上がり、これが本格導入の決め手になっています。一方で担当者は今後の定着を課題に挙げつつ、貸出データを地図に反映し、どの地域でどの製品の依頼が多いかを分析して先回りした営業につなげたい考えです。記録の省力化にとどまらず、貸出履歴が需要を読むためのデータに変わりつつある点に、この取り組みの伸びしろがあると言えそうです。
うちでも使える?
実物の機械や製品に型式・型番が表示されていて、それを持ち出したり貸し出したりする業務には応用しやすい構成です。営業担当が顧客先を回ること自体が日常で、すでに顧客管理の仕組み(SFAやCRM)を使っている会社であれば、記録の入口を撮影に変えるだけで台帳の鮮度が上がる可能性があります。デモ機、レンタル品、展示用サンプルの管理などが近い候補でしょう。
反対に、型番の表示がない、あるいは汚れや摩耗で読み取りにくい物品が中心の場合は、画像からの自動取得に頼りにくくなります。また、位置情報による貸出先の自動紐づけは訪問先が決まった販売店であることが前提のため、屋外の現場や個人宅への持ち出しが多い業務では、同じ精度で機能するかを確かめる必要があります。オーレックの担当者自身も自社に合わせる構築に戸惑ったと振り返っており、既存の台帳項目との対応づけには一定の手間を見込んでおくべきです。
まずは、自社で最も貸出件数の多い機材を1台選び、その銘板に型式と型番がはっきり読める形で書かれているか、実際にスマートフォンで撮って確かめてみてはどうでしょうか。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
UPWARD株式会社
外回り・訪問営業に特化したAIを基盤とする営業支援サービス(フィールドセールスAIエージェント)「UPWARD」の開発・提供を行う企業。特許を持つジオフェンシング技術による顧客接点の自動記録などを提供し、400社以上で導入されている。
株式会社オーレック
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
