更新 2026.10.02
衛星データ解析で農地調査の取りまとめ約70%減、千葉市農業委員会の手法
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 毎年の現地調査の準備が重い
- 紙の調査結果の手入力に追われる
- 現場の進み具合が終わるまで見えない
どのようなAIの取り組み?
衛星データの解析で耕作放棄地を検出するアプリを農地調査に使い、調査結果の取りまとめ時間を約70%減らした取り組み
業種
農業委員会(公共・行政)
取り組み領域
農地利用状況調査/農地パトロール
使ったAI
アクタバ(衛星データ解析による耕作放棄地検出)
主な成果
調査結果の取りまとめ時間を約70%削減
千葉市農業委員会は、農地法で定められた毎年の農地利用状況調査に、サグリ株式会社が提供する農地パトロールアプリ「アクタバ」を取り入れました。アクタバは衛星データの解析によって耕作放棄地を検出する仕組みを持ち、委員は現地での判定をアプリ上でそのまま記録できます。令和6年度は希望者のみの利用でしたが、令和7年度は事務局の依頼でほとんどの委員が使う形に広がりました。あわせて、アプリが示す耕作放棄地率と前年度の判定を組み合わせ、一部の農地を現地調査の対象から外す運用も始めています。その結果、調査対象の農地数は約40%減り、事務局の取りまとめ時間は92時間から29時間へと縮まりました。
出典:千葉市農業委員会における農地利用状況調査の取り組み—アクタバ導入による業務の変化と現場の実感 – サグリ株式会社 発行元:サグリ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
千葉市では23地区で調査を行っており、年度が始まるとすぐにA3版の地図と台帳を地区ごとに印刷し、46冊のファイルに綴じて配る作業が発生していました。調査後は手書きの判定結果を農地台帳管理システムへ手入力し、不明点があれば委員に問い合わせる必要もあり、作業の終わりが読みにくい状態でした。
表面上は紙の量と入力の手間が問題に見えますが、編集部の見立てでは、根っこにあったのは「調査期間中、情報が事務局に届かない」という構造です。紙が戻るまで何も見えず、手を付けられないため、作業が期末に一気に押し寄せ、後に続く利用意向調査の日程まで圧迫していたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
現地の判定をその場でデータとして記録させたことが、最も大きな転換点だったと考えられます。紙の回収を待たずに事務局が進捗を随時確認できるようになり、取りまとめを期末にまとめて行う必要がなくなりました。入力し直す工程そのものが消えるため、手書きの読み取りや確認の往復も減らせる設計です。
衛星解析の結果を、現地確認の代わりではなく「現地に行く農地を絞る基準」として使った点も見逃せません。耕作放棄地率が30%未満かつ前年度が耕地、または80%以上かつ前年度が再生困難という、AIの数値と過去の人の判定が同じ方向を示す農地だけを対象から外しています。判断が割れそうな農地には引き続き委員が足を運ぶため、AIの誤判定リスクを抑えながら負担を減らす、慎重な線引きといえるでしょう。
移行の進め方にも工夫があります。初年度は希望者だけに任せ、翌年度に「なるべく」と依頼する二段階で広げたことで、使い慣れたやり方を変える抵抗感を和らげたのではないでしょうか。実際に使った委員から「意外と簡単」という反応が出ていることも、この段階的な広げ方が機能した表れと読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
令和7年度は23地区のうち21地区の委員がアクタバで調査し、紙で対応したのは2人でした。1地区あたりの取りまとめは紙で約4時間、アクタバで約1時間となり、事務局の作業は従来の92時間から29時間へ、約70%減っています。耕作放棄地率を使った対象の絞り込みで、現地調査の対象農地数も約40%削減されました。作業を段階的に進められるようになり、期末への負荷集中も和らいでいます。担当者は時短勤務のまま業務をこなせていると実感を語っています。問い合わせ時の初動確認や農政部の他課による補助金関連の現地把握、違反転用が疑われる現場写真の共有にも使われており、来年度に向けては農地台帳管理システムとのデータ連携の運用をサグリと検討しています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、毎年同じ対象を繰り返し見回り、過去の判定結果が蓄積されている業務です。この事例では、前年度の判定とAIの数値を組み合わせて「行かなくてよい場所」を決めていました。設備点検や巡回確認など、前回の記録が残っている現場なら、同じ考え方で対象を絞り込める余地があるでしょう。
一方、上空から状態を読み取れない対象、たとえば建物内部の設備や、書類を見なければ判断できない案件には、衛星解析による絞り込みはそのまま当てはまりません。また、記録した結果を別の台帳システムへ移す作業は今も残っており、既存システムとつながらない場合は転記の手間が形を変えて残る点も考えておく必要があります。
まずは、昨年の巡回記録を見返し、「前回も今回もおそらく変わらない」と言える対象がどれだけあるかを数えてみてはいかがでしょうか。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
千葉市農業委員会
出典・参考情報
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