更新 2026.10.01
衛星データ×AIで耕作放棄地を絞り込む、江田島市の農地パトロール
予算規模:1,000万円以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 広い地域の現地確認に人手が足りない
- 紙の記録をExcelへ打ち直している
- 高齢の担当者に外回りの負担が重い
どのようなAIの取り組み?
衛星データのAI解析で調査すべき農地を絞り込み、農地パトロールの時間と入力作業を減らしたAI取り組み
業種
地方自治体・農業委員会(公共・公益事業)
取り組み領域
農地利用状況調査(農地パトロール)
使ったAI
アクタバ(衛星データのAI解析サービス)
主な成果
調査対象の絞り込みで調査時間を大幅短縮し、データ入力が不要に
広島県江田島市の農業委員会は、農地法に基づき毎年行う農地利用状況調査(農地パトロール)に、サグリ株式会社が提供する「アクタバ」を導入しました。アクタバは衛星データをAIで解析し、耕作放棄地の可能性が高い農地を割り出すサービスです。江田島市はその結果をもとに調査対象を絞り込み、委員一人ひとりにタブレット端末を貸与して現地確認を行う形へ切り替えています。導入費用は3年間で総額818万円で、半額をデジタル田園都市国家構想交付金でまかない、残りを市が負担しました。結果として調査時間は大きく短くなり、Excel台帳へのデータ入力も不要になっています。
出典:衛星データ×AIで農地パトロールをDX化—「大判地図を持って炎天下での調査」から解放 – サグリ株式会社 発行元:サグリ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
江田島市の農地パトロールは、真夏にA0サイズの大判地図を抱えて島の傾斜地を歩き、手書きの記録を約5万筆のExcel台帳へ打ち直すという作業でした。担い手の農業委員・推進委員は高齢化が進み、事務局も夜遅くまで入力に追われていました。
表面上は「暑さと作業量」の問題に見えますが、編集部の見立てでは、根はもっと手前にあります。耕作されているかどうかをあらかじめ知る手段がなかったため、全農地を等しく「確認すべき対象」として扱うしかなかった。問題の核心は、歩く前に見当をつけられないことにあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
衛星データのAI解析を「現地調査の代わり」ではなく「どこを歩くかを決める下調べ」として使った点が、最大の要因と考えられます。耕作放棄地の最終判断は引き続き委員が現地で行い、AIは可能性の高い農地を示すところまでにとどめています。判断の責任は人に残したまま、無駄足だけを削る分担になっているため、制度に基づく調査という性格を崩さずに導入できたのでしょう。
記録の起点を紙からタブレットへ移したことも、効果を二重にしています。現地で入力した情報がそのままデータになるため、手書きからExcelへの転記という工程そのものが消えました。調査の効率化と事務局の入力負担の解消が、一つの切り替えで同時に進む構造です。
導入判断の進め方にも、再現しやすい工夫があります。説明会の段階では「高齢者に操作できるのか」「画面が小さくないか」という懸念が出ていましたが、尾道市の先行事例を実際に視察し、使われている現場を確かめてから決めています。費用面でも、交付金で半額をまかない、従来方式の3年間の費用と比べたうえで回収の見通しを立てており、小さな自治体が説明責任を果たしやすい形に整えています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
調査対象を絞り込んだことで、従来34人規模で行っていた調査は委員が1人1台のタブレットを持って回る形式に変わり、調査時間は大幅に短縮されました。データ入力も不要になり、事務局が夜遅くまで事務作業に追われることもなくなっています。懸念されていた高齢委員の操作についても、想定以上に早く慣れたという手応えが事務局から示されました。費用は従来方式の3年間約687万円に対し導入側が818万円と増えますが、地図の印刷費や残業代の削減により、約4年でタブレット購入費などを回収できる見込みです。今後は「江田島市版農地バンク制度」との連携を強め、農地を借りたい人への情報公開を通じて継承や後継者確保につなげる予定です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、広い範囲の中から「異常のありそうな場所」を探して現地で確かめる、という構造の業務です。対象が多く、そのうち実際に手当てが必要なものが一部に限られるほど、事前の絞り込みが効きます。また、記録を現地で紙に取り、事務所で打ち直している職場なら、端末での直接入力に切り替えるだけでも転記の手間は大きく減るはずです。
一方で、衛星画像のように上空から状態が見分けられる対象でなければ、この絞り込みは成り立ちません。屋内の設備や、外観から判断しにくい状態を確認する業務には、そのままは持ち込めないでしょう。加えて江田島市は端末13台や通信費を含めた3年分の費用を、交付金と従来費用との比較で説明できる形にしています。財源や比較材料をそろえられない場合、導入の合意を取るのに時間がかかるかもしれません。
まずは直近1回分の現地調査の記録を見返し、実際に対応が必要だった件数が全体の何割だったかを数えてみてはどうでしょうか。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
サグリ株式会社
衛星データをAIで解析し、耕作放棄地の可能性が高い農地を示す農地パトロール支援サービス「アクタバ」を提供する企業
広島県江田島市農業委員会
出典・参考情報
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