実施 2025.06 ・ 更新 2026.10.01
衛星データとAIで作付け確認を絞り込む、明石市の農地把握の取り組み
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 広い担当エリアを少人数で見回っている
- 届け出と現場の実態がずれていないか不安
- 毎年の現地確認の準備に1か月かかる
どのようなAIの取り組み?
衛星データのAI解析で水田の作付け状況を推定し、現地確認の優先順位づけと農地の実態把握に活用した取り組み
業種
地方自治体・農業再生協議会(公共・公益事業)
取り組み領域
農政業務/作付け調査・農地の現況把握
使ったAI
作付け調査アプリ「デタバ」(衛星データのAI解析)
主な成果
申請と異なる耕作の発見や、市全体の水稲作付面積の把握が可能に
兵庫県明石市では、市の職員が兼ねて運営する明石市農業再生協議会が、国の経営所得安定対策に関わる作付け調査を担っています。市内には約1500戸の水田台帳上の農家がいますが、職員が減るなかで農地を一筆ずつ確認するのは難しく、台帳と実態が合っているかも見えにくくなっていました。そこで同協議会は、サグリ株式会社が提供する作付け調査アプリ「デタバ」を導入しました。衛星データをAIで解析して農地ごとの作付けを推定し、申請内容と食い違う農地を地図上で色分けする仕組みです。現地確認は今も紙の地図が中心で、アプリの活用は段階的に試している段階です。一方で、申請と実態が異なる耕作の発見や、市全体の水稲作付面積の把握といった変化が生まれています。
出典:「水田を上から見られる」明石市が導入した農政業務DX、衛星データとAIで作付け調査を効率化 – サグリ株式会社 発行元:サグリ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
明石市では、国の交付金に関わる約120件の農地を、6月下旬から約1か月かけて職員総出で確認して回っています。その前段として、1か月近くを紙の地図づくりに充てていました。さらに営農計画書は毎年同じ内容で出されたり、相続を機に出されなくなったりするため、台帳が現実を映しているのかどうか確かめる手段がありませんでした。
編集部の見立てでは、困りごとの核心は「確認の手間が大きい」ことよりも、「どこを確認すべきかを事前に知る方法がない」ことにあったと考えられます。手がかりが申請書類しかない以上、すべてを均等に見に行くしかありません。人手が減るほど、確認の網そのものが粗くなっていく構造だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
申請内容とAIの推定を突き合わせ、食い違いの大きい農地だけを色で示す設計が、この取り組みの要だと考えられます。AIに作付けの正解を決めさせるのではなく、「人が見に行くべき場所」を示す役割に限定しているため、最終判断は従来どおり職員の現地確認に残ります。水稲や麦類では福井県の実証事業で90%を超える精度が確認されており、判断を委ねすぎない範囲で使える信頼の目安になったとみられます。
現場の運用を一気に置き換えなかったことも、定着の条件をつくっています。農家と一緒に回る現地確認では紙の地図の共有が欠かせないため、明石市は従来の作業を担当者に任せつつ、推進役が空き時間にアプリでの確認を並行して試す形を選びました。繁忙期の業務を止めずに比較材料を積み上げる進め方は、新しい道具への抵抗を小さくするうえで理にかなっています。
予算面では、ツールの位置づけを作付け調査用から市の農業振興全体の基盤へと広げて説明し、市から協議会への委託料の一部を財源にしています。協議会と市の業務が実質的に一体化している体制を踏まえ、用途の範囲を定義し直したことが合意形成を後押ししたと読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
成果として明確に示されているのは、農地の実態が「見える」ようになった点です。申請上は作付けがないはずの農地で作物が育っていることがAIの推定から分かり、調べると隣の大規模農家が耕作を代行していたといった、いわゆる闇小作の発見につながっています。また、申請が出ていない農地も含めて市全体の水稲作付面積を捉えられるようになりました。一方、調査業務そのものの効率化は、紙の地図を使う従来のやり方と並行して試している途中であり、削減効果の数値は示されていません。担当者は、水田情報システムの不足を埋めて全体像を示してくれる点に価値を見いだしており、データを地域の状況を考えるきっかけとして捉えています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、書類上の申告と現場の実態を照らし合わせる必要があり、しかも対象が地図上に広く散らばっている業務です。上空から状態を推定できる対象で、推定と申告のずれを「確認の優先順位」に変換できるなら、確認の網を粗くせずに人手の減少へ対応する手がかりになるでしょう。
反対に、上から見ただけでは区別がつきにくい状態を確認する業務では、この仕組みがそのまま当てはまるとは限りません。今回の精度の目安も水稲や麦類といった主要作物についてのものであり、多品目が混在する地域や、細かな栽培方法まで確かめたい場面では、推定をどこまで頼れるかを別途見極める必要がありそうです。また、紙の地図を農家と共有するような対面の手順が残る限り、効率化の効果はすぐには表れにくい点も念頭に置いておきたいところです。
まず試せるのは、昨年の現地確認で実際に申請と食い違っていた農地が、全体のどのあたりに偏っていたのかを地図に落としてみること。偏りがはっきり見えるなら、優先順位づけの仕組みが生きる余地は大きいはずです。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
サグリ株式会社
衛星データをAIで解析して農地の作付け状況を推定する作付け調査アプリ「デタバ」を提供している企業。
明石市農業再生協議会(兵庫県明石市)
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
