実施 2025.01 ・ 更新 2026.10.01
AIで散布時期を最適化、米の品質約60%向上に寄与したドローン防除DX
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 農薬散布の人手と段取りが追いつかない
- 散布日の立ち会いに一日取られる
- 虫の被害で米の等級が下がる
どのようなAIの取り組み?
AIによる適期判断と散布ルート作成でドローン防除の全工程をデジタル化し、米の品質を平均約60%向上させることに寄与したAI取り組み
業種
水稲防除・農薬散布(農業)
取り組み領域
ドローンによる共同防除の計画・運用
使ったAI
適期判断・散布マップ作成・ルート最適化の独自AI
主な成果
米の品質を平均約60%向上させることに寄与
株式会社オプティムは、ドローンによる農薬散布を注文から当日の作業管理までまとめてデジタル化する「ピンポイントタイム散布サービス(PTS)」を、防除組合やJAなどに提供しています。独自のAIが散布対象の地番の位置を特定して圃場のデジタルマップを作り、18万パターン以上の組み合わせを計算してパイロットのシフトと散布ルートを組み立てます。当日の進捗は遠隔からリアルタイムで確認できるため、共同防除の担当者が現場に立ち会う必要がありません。散布時期もAIで判断しており、2024年度の水稲防除では26府県133市町村、約100の防除組合・JA等から約26,000ha・約11万圃場の依頼を受けています。一律の日程で行う無人ヘリ散布の一般的なデータと比べ、米の品質向上に寄与した結果が報告されています。
出典:「OPTiM スマート農業サービス 2025」を開催2024年度、国内最大※1約26,000haへのドローンによる散布を全国で実施、 国内シェアNo.1※1ドローン散布DX関連サービス・テクノロジーを一挙発表 | OPTiM 発行元:株式会社オプティム
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
水稲の防除は、地域の防除組合やJAが多数の生産者の田んぼをまとめて引き受ける共同防除として行われることが多く、これまでは無人ヘリコプターなどで決められた日程に一斉に散布する形が一般的でした。担当者は当日の作業に立ち会い、どの圃場をいつ撒くかを取りまとめる必要があります。
ただ、編集部の見立てでは、困りごとの核心は散布そのものの手間よりも、「散布のタイミングと場所を、細かく決める手段がなかった」点にあったと考えられます。圃場が何万枚にも分かれていると、一枚ずつ最適な時期を見極めて人と機体を割り振るのは人の手では現実的でなく、結果として一律日程に頼るしかなかった。この管理の粗さが、カメムシ被害による等級落ちという品質の問題にもつながっていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
散布対象を地番単位で正確に特定するデジタルマップを出発点に置いた設計が、この取り組みの土台になっていると考えられます。注文書に書かれた地番が実際にどの田んぼを指すのかをAIで突き合わせておけば、補助者が現場で指差し確認をしなくても誤散布を避けやすくなります。立ち会い不要という運用は、この地図の精度があって初めて成り立つものでしょう。
次に効いているのは、パイロットのシフトと散布ルートを同時に最適化する仕組みです。数万枚の圃場と限られた人員・機体をどう組み合わせるかは、18万パターン以上の演算が必要になるほどの組み合わせ問題で、ここをAIに任せたことで「適期に撒く」という理想を実際の作業計画に落とし込めるようになったと読めます。適期を判断できても、その日に人と機体を回せなければ意味がないからです。
さらに、画像診断で適期を科学的にフィードバックし、当日の進捗を遠隔で可視化する流れまでを一続きにした点も見逃せません。判断・計画・実行・確認を一つのサービスの中で回す構造が、年度ごとの改善材料を蓄積する役割も果たしていると考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
オプティムが実施・検証したAIによるドローン適期散布を、一律日程で行う無人ヘリ散布の一般的なデータと比べたところ、カメムシの吸汁などによる着色粒での等級落ちが大幅に減り、平均約60%の品質向上に寄与しています(同社の提供エリアでの調査による)。品質向上による収量・売上の向上も期待されています。2024年度は約26,000ha・約11万圃場で利用され、利用者の94%以上が2025年度の継続利用、92%以上が利用拡大の意向を示しました。今後は柑橘類や大豆・枝豆、麦、ネギなど他の作物にも展開する計画です。
うちでも使える?
この事例から借りやすいのは、「作業対象を正確にデジタル化し、人と機材の割り当てを組み合わせ最適化にかける」という考え方です。対象の場所が多数に分散し、作業のタイミングが成果を左右し、しかも限られた人員で回している業務であれば、農業以外でも構造は似ています。巡回点検や訪問型の保守、複数拠点への配送などは、同じ発想が当てはまる可能性があります。
一方で、この仕組みは対象を地番のような公的な単位で特定でき、作業量が十分に大きいことを前提にしています。対象が数十件程度なら、最適化の効果より地図やデータ整備の手間のほうが勝ちかねません。また、適期をAIで判断するには、画像診断のように状態を測る手段が必要です。状態を把握するデータがない業務では、ルート作成だけにとどまるでしょう。
まずは自社の作業予定表を一週間分取り出し、「いつ・どこで・誰が」の三つの情報がどこまでデータとして揃っているかを確かめてみてはどうでしょうか。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社オプティム
AI・IoT・ビッグデータプラットフォームを手がける東証プライム上場企業。ライセンス販売・保守サポートサービス(オプティマル)事業を展開し、農業分野ではドローン散布DXサービスを提供。
全国の防除組合・JA等(約100団体)
出典・参考情報
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