実施 2026.01 ・ 更新 2026.09.29
リスク運転を約50%減らした吉田海運グループ、AIドラレコによる安全対策の全貌
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ドライバーの運転の癖がつかめない
- 安全指導が精神論になりがち
- 現場全体に広げる踏み切りがつかない
どのようなAIの取り組み?
AI搭載型ドライブレコーダーで危険な運転場面を自動で検知し、ドライバーごとの指導につなげる仕組みを全営業車両へ広げたAI取り組み
業種
総合物流(運輸・物流)
取り組み領域
営業車両の運行管理/安全運転指導
使ったAI
AI搭載型ドライブレコーダー『DRIVE CHART』(映像・走行データ解析AI×IoT)
主な成果
先行導入拠点で1,000kmあたりのリスク運転件数を約1年で約50%削減
長崎県佐世保市に本社を置く吉田海運と、グループ会社の南栄運輸、マルコウ輸送は、3社が運用する営業車両のすべてにAI搭載型ドライブレコーダーを行き渡らせました。その中心に据えられたのが、GOドライブが提供する『DRIVE CHART』です。専用の車載器から得られる各種データをもとに、事故につながる可能性の高い場面を自動で検知し、ドライバーごとの運転傾向を分析します。狙いは車両に機器を載せること自体ではなく、分析結果を一人ひとりの運転特性に合わせた指導へつなぎ、「人財育成」に結びつける点に置かれました。全車両への展開に先立っては、一部拠点で先に使ってみる段階が置かれ、そこで得られた結果を踏まえてグループ全体へと広げられています。
出典:吉田海運グループ、全営業車両への「AI搭載型ドライブレコーダー」導入完了 『DRIVE CHART』を採用 | DRIVE CHART(ドライブチャート)- 次世代AIドラレコサービス 発行元:GOドライブ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
吉田海運グループは「安心、安全を守ること」をValueの一つに掲げ、交通事故の未然防止を社会的責務として最優先に取り組んできました。今回の導入も、運転データを分析してドライバー一人ひとりの運転特性に合わせた指導を行い、人を育てるという目的のもとに位置づけられています。
ここで目を引くのは、困りごとが「事故が多い」という形では語られていない点です。編集部の見立てでは、この取り組みが向き合っていたのは事故の件数そのものではなく、事故に至る手前にある運転の癖を、誰も具体的に指し示せないという状態だったのではないでしょうか。脇見や車間距離の詰まりは、本人にも管理する側にも自覚されないまま日々の運転に紛れていきます。指導しようにも材料がなく、結果として「気をつけよう」という声かけに寄ってしまう。数えられないものは直せない、という構造こそが本質的な課題だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
一部拠点での先行導入を挟み、そこでの結果を確かめてから全営業車両へ広げるという段階の踏み方が、この取り組みの土台になっています。安全対策の機器は、全車に一斉に載せてしまうと、効果が見えないまま運用だけが残りがちです。先に狭い範囲で回し、指標が動くかどうかを見てから広げる進め方は、投資判断の根拠を自社のデータで作るやり方でもあります。しかも今回は、グループ3社の営業車両という広い対象に対して、その順序が保たれました。
検知した情報を「その場で知らせるもの」と「後から振り返るもの」に切り分けた設計も見逃せません。衝撃や車間距離警報、衝突警報、脇見警報、眠気警報はリアルタイムに運転席へ返され、脇見運転・車間距離不足・一時不停止・速度超過・急ハンドル・急加速・急減速・急後退はレポート上の検知項目として積み上がっていきます。運転中の注意喚起と、事後の指導材料は求められる役割が違うため、この切り分けが両方を成立させたのだと読めます。
レポートを運行管理者だけでなくドライバー自身にも届ける設計は、指導の性格を変える工夫です。自分の運転がどの項目でどれだけ検知されたかを本人が確認できれば、指導は一方的な指摘ではなく、共通のデータを見ながらの対話に近づきます。加えて、単なるシステムの設置で終わらせず、提供側と現場が数年にわたって議論を重ねながら運用を磨いてきた進め方が、機器を「載せただけ」の状態から遠ざけたと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
一部拠点での先行導入では、約1年間で1,000kmあたりのリスク運転件数が約50%削減されています。この実績を踏まえ、吉田海運、南栄運輸、マルコウ輸送の3社が運用する全営業車両への導入が完了しました。走行距離あたりで数えている点は、車両や稼働量の違いに左右されずに改善を比較できる指標の取り方であり、拠点をまたいで横に広げる判断を支えたものと考えられます。吉田海運側は、テクノロジーと人の力を融合させた安全品質の実現と、将来にわたる体制の進化への活用を展望として示しています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、移動や作業が「走行距離」「稼働時間」のように数えられる単位を持ち、かつ同じ動作が毎日繰り返される現場です。送迎車を持つ介護事業者、営業車を多数抱える会社、構内車両を動かす工場などでは、検知項目と指標の考え方をほぼそのまま持ち込めます。反対に、車両台数が数台にとどまり、日々の運転を管理者が直接把握できている規模では、投資に見合う発見が出にくいかもしれません。機器の設置だけで改善が進むわけでもなく、レポートを誰がいつ見て、どう本人に返すかという運用が伴わなければ、データは溜まるだけで終わります。
最初の一歩として現実的なのは、全車両を対象にした大掛かりな検討ではなく、拠点や車種を一つに絞って数か月試し、自社にとって意味のある指標が動くかを見極めること。そのうえで、比較の土台になる分母(走行距離や稼働時間)を何に置くかを、導入前に決めておけるかどうか。ここが、後から効果を説明できるかどうかの分かれ目になります。
この事例は2026年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:動画AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
GOドライブ株式会社
「運転」をより安全に、より便利に進化させることを目指し、車両管理を行う企業の安全管理サポートなどモビリティ関連事業を展開する企業。事故削減支援を行う次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』の開発・運営、道路情報の自動差分抽出プロジェクトなど次世代のデータ活用基盤の開発、業務用車両の運転管理支援サービス『GO運転管理』の開発・運営を手がける。
吉田海運株式会社(グループ会社:株式会社南栄運輸、マルコウ輸送株式会社)
出典・参考情報
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