実施 2026.01 ・ 更新 2026.09.28
月1万2千枚のFAX発注書をAIで自動データ化、食品物流の受注業務を標準化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- FAXで届く注文を手入力している
- 取引先ごとに注文書の書式がバラバラ
- 出社しないと受注処理が進まない
どのようなAIの取り組み?
FAXで届く発注書をAI-OCRと読み取りAIエージェントでデータ化し、受注入力の自動化に取り組んだ事例
業種
食品物流(運輸・物流)
取り組み領域
受注センター/FAX発注書の入力業務
使ったAI
発注書AI-OCR(invox)/読み取りAIエージェント
主な成果
1,400件以上のFAX書式を登録・運用(目標約600件を大きく上回る)
ミツカングループの物流・受注部門を担うMizkan Logitecは、大阪と名古屋の二拠点で受注センターを動かし、全国の取引先からの注文を受けています。受発注のデジタル化は進んでおり、注文全体の85%はEDI(企業どうしが注文データを直接やり取りする仕組み)に移行していましたが、残る15%はFAXで届く発注書で、その量は月におよそ1万2,000枚にのぼっていました。取引先側のシステム環境や運用の都合があるため、一斉にWeb化をお願いする道は取れません。そこで選ばれたのが、受け取り方はFAXのまま残し、自社側の入口でデータに変えるやり方です。2026年1月、インフォマートとinvoxが協業で提供する「発注書AI-OCR(invox)」の導入を決定。取引先ごとに異なる書式の読み取りルールをAIに指示し、データ化した注文を既に使っていた「BtoBプラットフォーム 受発注ライト」を経由して基幹システムへ流す形をとりました。
出典:ミツカングループの物流を支えるMizkan Logitec、持続可能な物流体制構築に向け「発注書AI-OCR(invox)」導入 発行元:株式会社インフォマート
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
月に約1万2,000枚のFAX発注書は、限られた時間の中で手入力し、さらにダブルチェックをかけて処理されていました。担当者が出社しなければ注文が前に進まないため、災害など有事の際には供給そのものが止まりかねない。この人手頼みの一角が、受発注DXとBCP(事業継続計画)の両面でボトルネックと位置づけられていました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は枚数の多さではありません。EDI化を85%まで進めたからこそ、残った15%が「自社の努力だけでは動かせない領域」として際立った、という構造ではないでしょうか。社内でできる効率化はおおむねやり尽くし、次の一手は取引先の環境を変えてもらうことしかない。数の問題に見えて、実際は自社の裁量が及ばない境界線の問題だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
起点にあるのは、取引先に運用変更を求めないという割り切りです。FAXという受け取り方はそのまま残し、社内に届いた時点でデータに変換する位置に手を入れたことで、相手のシステム更改や社内調整を待たずに着手できる形になりました。相手の都合に左右される部分と、自社だけで決められる部分を切り分けた判断が、この取り組みを動かしています。
取引先ごとにばらばらな書式を、避けるべき例外ではなく登録できる対象として扱った設計も見逃せません。読み取りルールをAIに指示できる仕組みにより、レイアウトごとの設定が現場の手で回る作業になり、書式差を吸収する役目が人からシステム側へ移りました。この形なら、新しい取引先の様式が増えても運用が破綻しにくくなります。
さらに、文字を読むところで止めず、商品名の候補から自社の商品コードへの突き合わせまで自動処理に含めた点が、人の判断を減らす決め手になったと見ています。読み取った注文は既に稼働していた受発注プラットフォームを介して基幹システムへ取り込まれるため、データ化と業務システムへの反映が一続きでつながりました。既存の仕組みの延長線上に置いたことで、新しい運用を一から作り直さずに済んでいます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2026年4月に提供が始まった「読み取りAIエージェント」の活用により、取引先ごとのFAXレイアウト登録が速いペースで進み、当初目標の約600件を大きく上回る1,400件以上が登録・運用されています。現場の受注担当者からは、商品名の候補を読み取って自社の商品コードに自動で紐づけるため入力時間が大きく縮まり、業務のスピードが上がったという声が出ています。手入力と目視確認に伴う属人的な負荷が軽くなり、業務の標準化にもつながりました。同社はこの導入を通過点と位置づけ、取引先を含めた完全なEDI化・ペーパーレス化を最終目標に据えています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、取引先の都合で紙やFAXの注文が一定量残り、しかも書式が相手ごとに違うという受注業務でしょう。突き合わせ先となる商品マスタが整っていて、読み取った項目を既存の受発注システムや基幹システムに渡せる状態なら、この事例に近い形をなぞれる余地があります。
一方で、同じようにはいきにくい場面もあります。発注書のように記載項目がおおむね決まっている帳票だからこそ読み取りルールを定義できるのであって、毎回内容が変わる自由記述の書類や、読み取った後に納期交渉・例外対応といった人の判断が挟まる業務では、効果の出方は限られます。書式の登録と見直しを続ける担当者が社内にいるかどうかも、実際には成否を分ける条件です。
最初の一歩としては、直近に届いた発注書を一社分だけ使い、商品名から自社の商品コードへの変換がどこまで機械的に合うかを試してみる。ここでの一致具合が、自社で同じやり方が通じるかどうかの手がかりになります。
この事例は2026年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社インフォマート
BtoB(企業間電子商取引)プラットフォームの運営を手がける企業(東証プライム市場:2492)。株式会社invoxとの協業により「発注書AI-OCR(invox)」を提供している。
株式会社Mizkan Logitec
出典・参考情報
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