実施 2026.06 ・ 更新 2026.09.28
電力資機材の物流倉庫でAIロボットが箱を仕分け、ピッキング人員を4人から1人へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 重い箱の仕分けを人手に頼っている
- 出荷ミスを防ぐ検品に時間がかかる
- ベテラン頼みの出荷作業を変えたい
どのようなAIの取り組み?
アームロボットと17台のAGVをAIが一体で制御し、多品種資機材のケースピッキングを自動化した取り組み
業種
電力資機材物流(運輸・物流)
取り組み領域
倉庫内のケースピッキング・出荷検品
使ったAI
MujinRCP(3Dビジョン+ロボット制御AI)
主な成果
ケース品取扱量の90%を自動化し、ピッキング人員は4人から1人に
電力インフラの維持・保守に使われる資機材は、品種も形状も重量もばらばらで、出荷オーダーごとのケースピッキングは長く人手の重筋作業に依存してきました。東電物流の中央支社(東京都大田区)では、NX商事の下で、Mujin Japanのロボットケースピッキング自動化ソリューション「MujinRCP」が稼働しています。統合型オートメーションプラットフォーム「MujinOS」がアームロボットと17台のAGV(無人搬送車)を制御し、ケースの認識から積み付けまでを一連の流れとして自動で処理する構成です。運用主体は東電物流で、既存の倉庫や基幹システム(WMS)はそのまま活かし、大規模な固定設備を新設しない形で組み込まれました。
出典:東電物流、MujinRCPを導入フィジカルAIで電力インフラ物流を支える多品種資機材のケースピッキングを自動化 | 株式会社Mujin 発行元:株式会社Mujin
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出荷現場が抱えていたのは、まず形状も重量も異なるケース品を人が持ち運ぶ重筋作業の負担でした。加えて、扱う資材の種類が多いうえ、同じ品目でもメーカーが違えば梱包サイズも荷姿も変わるため、誤出荷を防ぐには専門知識を持つ担当者を配置するしかなく、その担当が不在になると品質が落ちるリスクを抱えていました。高い出荷精度が求められる分、検品も入念にならざるを得ず、作業負荷はさらに膨らみます。
編集部の見立てでは、この現場の本質的な困りごとは作業量の多さそのものではなく、「品目コードを見ただけでは正解の作業が決まらない」という点にあったのではないでしょうか。同じ品名でも現物の姿が違うのであれば、判断の根拠は目の前のモノの側にあります。その判断が人の目と経験に溜め込まれていたために、人を増やしても検品を厚くしても、属人化と負荷の問題は形を変えて残り続けた。そう捉えると、自動化の焦点が「運ぶ力」ではなく「見て判断する部分」に向かったことも筋が通ります。
どうやって、うまくいったのか
多品種への対応を、事前登録された情報ではなく現物の認識に委ねた設計が、この自動化の起点になっています。サイズ・形状・重量が異なるケースを3Dビジョンで認識し、独自のフィジカルAI技術(MujinMI)でロボットが自律的に積み付けを実行する。マスタ情報を完璧に整備してから動かすのではなく、届いた現物を見て判断させる方式をとったことで、荷姿のばらつきが自動化を阻む要因ではなくなりました。従来は人手に頼りやすかった多品種小口の領域に手が届いたのは、この切り分けによるところが大きいと考えられます。
固定設備に現場を合わせない構成の取り方も、実装面での要点です。多品種ケースの自動化は自動倉庫や専用機といった大掛かりな設備を前提にしがちですが、ここではアームロボット、AGV、パレットストッカーという汎用機をMujinOSが束ね、パレット保管・混載積み付け計算・順立て供給・ピッキングまでを一体で制御しています。既存の倉庫と基幹システム(WMS)を残したまま組み込めるため、限られたスペースでも収まる。設備側の都合で現場を作り替えずに済む構成は、物量や品目が日々動く物流現場との相性が良いはずです。
工程の確からしさを、人の確認からシステム上の管理へ移した点も見逃せません。デジタルツイン(設備の状態を画面上に再現して可視化する仕組み)で稼働状況を映し出し、作業進捗・在庫情報・出荷実績を一元的に扱うことで、目視に依存していた確認工程がデータとして扱えるようになります。さらに作業実績や設備稼働データが蓄積され、ボトルネックの把握や運用改善の材料になる。動かして終わりにせず、改善の燃料が自動的に溜まる作りにしたところに、この取り組みの設計思想が表れています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
中央支社ではケース品取扱量の90%が自動化され、ピッキング作業の人員は4人から1人になりました。対象工程の出荷検品作業はゼロ化されています。人と車両の動線を分ける人車分離と自動化によって労災リスクや身体的負担が下がり、作業・在庫・出荷実績を一元管理することで現場の状況が可視化されました。限られた人員でも高精度な出荷を続けられる体制が整ったことは、社会インフラを支える物流の事業継続性という観点でも意味のある変化です。
うちでも使える?
応用の条件がはっきりしている事例です。扱う品物の形や大きさが揃っておらず、それが原因で自動化を諦めてきた現場、そして「品名だけでは判断できず、現物を見られる人にしか任せられない」作業が残っている現場であれば、考え方を持ち込む余地があります。既存の倉庫や基幹システムを活かせる構成を選べるかどうかも、検討の分かれ目になるでしょう。
一方で、そのまま真似しにくい条件もあります。アームロボットやAGVを動かす以上、荷物がケース単位でまとまっていること、機器と人の動線を分けられる床面積があることが前提になります。ばら積みの荷物や、開梱・詰め替えのような手先の細かい作業が中心の工程では、同じ形は取りにくいはずです。出荷量が少なく、繁忙期だけ人手が足りないという性質の現場も、投資の見合いが立ちにくくなります。
最初の一歩としては、自社の出荷作業のうち「同じ品名なのに現物が違うせいで確認が必要になっている工程」がどれくらいあるかを、直近の出荷実績から数えてみてはどうでしょうか。その割合が高いほど、人の目に頼っている判断を機械に移す価値は大きくなります。
この事例は2026年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社Mujin Japan
統合型オートメーションプラットフォーム「MujinOS」を中核に、自動化の構想・設計・立ち上げ・運用までを一貫して支援する総合オートメーションテクノロジー企業。産業現場の課題解決とサプライチェーン全体の最適化に取り組む。
東電物流株式会社
出典・参考情報
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