実施 2024.01 ・ 更新 2026.08.17
配送ルート作成の属人化を高速計算技術で解消、ニトリ全国80拠点の配車最適化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 配送ルート作りに毎日時間を取られている
- 配車が特定の担当者しかできない
- ドライバーの残業や燃料費を減らしたい
どのようなAIの取り組み?
配送ルート作成の長時間化と配車業務の属人化に対し、組み合わせ最適化に特化した計算技術を配車システムへ組み込んだAI取り組み
業種
配送センター運営(運輸・物流)
取り組み領域
配車業務/配送ルート作成
使ったAI
デジタルアニーラ(量子インスパイアード技術による組み合わせ最適化)
主な成果
ドライバーの労働時間短縮とCO2排出量の削減を実現
ニトリグループは、お客様のもとへ直接荷物を届けるラストワンマイルの配送品質向上に取り組んでおり、グループの株式会社ホームロジスティクスが全国80カ所の配送センターを運営しています。この配送センターの配車システムに、富士通株式会社が提供する配送最適化技術が組み込まれました。軸となるのは、量子コンピュータの発想を取り入れた計算技術(量子インスパイアード技術)である「デジタルアニーラ」で、膨大な組み合わせの中から条件に合う解を高速に探すことを得意とします。トラックの積載量、ドライバーの作業時間、走行距離といった現場の複雑な条件を計算の前提として与え、それらを満たす配送ルートを短時間で導き出す仕組みが構築されています。
出典:ニトリグループ、富士通の配送最適化技術を活用した配送ルート作成の運用を開始 | 富士通株式会社のプレスリリース 発行元:富士通株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
EC利用の広がりで宅配の取扱個数が増え続けるなか、物流の現場は労働力不足と環境負荷への対応を同時に迫られています。ニトリグループでも、配送ルートを作る作業そのものに時間がかかること、そして配車業務が特定の担当者に依存していることが、配送品質を高めようとするうえでの壁になっていました。
この二つは別々の困りごとに見えますが、根は同じところにあったのではないでしょうか。積載量も作業時間も走行距離も同時に成り立たせなければならないルート組みは、条件が絡み合うほど手順書に落としにくく、結局は経験を積んだ人の頭の中でしか答えが出なくなります。時間がかかることも、担当者を代えられないことも、判断の負荷が一人に集中していたことの裏返し。そして取扱個数が増えるほど、この一点が効いてくる構造だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
トラックの積載量、ドライバーの作業時間、走行距離という現場の制約を、そのまま計算の入力として定義した点がまず効いています。担当者が経験で折り合いをつけていた条件を、機械が扱える形に書き出す作業は地味ですが、ここが曖昧なままだと出てくるルートは現場で使えません。この事例では現場の複雑な条件を考慮したうえで最適解を導く形がとられており、人の判断の中に埋もれていた前提を外へ取り出す工程が、設計の起点になっていたと見ています。
新しいツールを別に立てるのではなく、すでに動いている配車システムの中へ最適化技術を組み込んだ構成も、実運用を成り立たせた要素でしょう。配車は毎日決まった時刻までに終えなければならない業務であり、別の画面で計算して結果を手で移し替えるやり方では、短縮したはずの時間が戻ってきません。業務の流れの中に計算機能を置いたことで、全国80カ所という規模でも同じ手順で回せる形になっています。
用途に対する技術の選び方も、この取り組みの要点です。配車は、どの荷物をどの車に載せ、どの順に回るかという組み合わせの問題であり、文章を作る種類のAIではなく、選択肢の海から条件を満たす解を高速に探す計算に向いた技術が要ります。組み合わせ最適化に強い基盤を軸に据えた判断は、解きたい問題の形から逆算して手段を決めた選択だったと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
最適な配送ルートを高速に作成できるようになったことで、商品配送にあたるドライバーの労働時間短縮が実現しています。あわせて、効率的なルートで走ることによりCO2排出量が削減され、地球温暖化や大気汚染といった環境負荷の軽減に貢献している点が高く評価されています。働く人の負担と環境面の改善が、ルートの組み方を変えるという一つの取り組みから同時に生まれている点は、この手法の性格をよく表しています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、移動の順番や担当の割り当てを毎日組み直している業務です。訪問営業の回り方、保守点検スタッフの巡回計画、設置や修理の訪問枠の振り分けなど、動く人と行き先の組み合わせが日ごとに変わる仕事であれば、考え方はそのまま重なります。守らなければならない条件を数値で書き出せるかどうかが、適用できるかどうかの分かれ目になります。
逆に難しいのは、ルートを決める判断のなかに数値化しづらい事情が多く含まれている場合です。この顧客は担当者を替えたくない、この時間帯は先方の都合で避けている、といった個別の約束が担当者の記憶の中にしかないと、計算の前提そのものが作れません。車両が数台、拠点が一つという規模であれば、組み合わせの数自体が小さく、高度な計算基盤を持ち込むほどの差は出にくいはずです。
手始めに、配車や訪問計画を担当している人の隣に一日座り、その日の順番を決めるときに何を見て、何を諦めて決めているのかを書き取ってみてはどうでしょうか。そこに並んだ条件の数と重なり方が、自社にこの手法が効くかどうかの目安になります。
この事例は2024年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
富士通株式会社
情報通信業。東証プライム上場。代表取締役社長は時田隆仁。組合せ最適化問題に特化した量子インスパイアード技術「デジタルアニーラ」などのデジタル技術を提供し、顧客のDXを支援している。
株式会社ニトリホールディングス、株式会社ホームロジスティクス
出典・参考情報
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