実施 2025.10 ・ 更新 2026.09.27
AIエージェントで受注率15ポイント向上、蓄積した顧客データを営業に活かす
プロジェクト期間:半年〜 1年
企業規模:50人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの退職でノウハウが消える
- 営業担当者ごとの成績差が大きい
- 日報や報告書の作成に時間を取られる
どのようなAIの取り組み?
営業の記録と商談支援にAIエージェントを組み込み、受注率15ポイント向上と報告書作成時間80%削減につなげたAI取り組み
業種
物流機器メーカー(製造業)
取り組み領域
営業/商談・日報管理
使ったAI
Agentforce(AIエージェントプラットフォーム)
主な成果
受注率が15ポイント向上
物流機器の製造・販売・施工を手がけるジャロックは、社員数約50名という規模ながら、2018年からセールスフォース・ジャパンのCRMを使い、営業情報を個人ではなく会社側に貯める運用を続けてきました。その延長線上で2025年10月にAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」の導入を決め、2026年1月から関連機能を順次立ち上げています。稼働しているのは、通話や商談の会話をAIが集約・要約して商談記録や日報に取り込む仕組み、商談活動をスコア化して不足点を検知し他の担当者の成功事例をもとに次の行動を促す仕組み、社内ナレッジに答える社内向けエージェント、公式サイト上で顧客の問い合わせに応じる社外向けエージェントの4領域です。
出典:ジャロック、物流機器の営業活動を「Agentforce」により変革 受注率15ポイント向上、報告書の作成時間80%削減、商談化率5%向上などのビジネス成果を実現 | 株式会社セールスフォース・ジャパンのプレスリリース 発行元:株式会社セールスフォース・ジャパン
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
創業者から2代目へと経営が引き継がれたジャロックが長く抱えていたのは、情報の属人化という課題でした。ベテランの営業担当者が辞めるたびに、その人が築いた顧客との関係や商談の勘所が会社から抜け落ちる。担当者ごとに受注率の差も大きく、うまくいったやり方を他の人がなぞることも難しい状態が続いていました。2018年のCRM導入で情報そのものは会社に残るようになりましたが、社内のやり取りを何度も往復させる非効率さと成果の格差は残りました。
編集部の見立てでは、この事例の困りごとの本質は「情報が足りないこと」ではなく、貯まった情報が読まれる形になっていなかったことにあります。記録は器に入っても、他人の商談履歴をわざわざ読み込んで自分の案件に当てはめる時間も動機も、日々数字を追う営業現場には生まれにくい。データベースの中で眠っている状態は、記録が残っていないのと実務上ほとんど変わりません。属人化は解消されたのではなく、次の段階に形を変えて残っていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
AIの判断材料を、世の中一般の知識ではなく自社のCRMに積み上がった顧客データや業務プロセス、ビジネスロジックに置いた設計が、この取り組みの芯にあります。汎用のAIツールは一般的な情報しか扱えませんが、7年かけて溜めた自社の商談履歴を読ませれば、出てくる助言は「この客層にはこの順序で当たる」という自社固有の粒度になります。データが少ない段階で高度な仕組みを入れても効き目は薄く、逆にデータだけ貯めても読まれなければ死蔵する。両方が揃ったタイミングで次の一手を打った判断は、順序として理にかなっています。
着手点を「記録」に置いたことも効いています。通話や商談の会話をAIがその場で集約・要約し、商談記録や日報に取り込み、Googleカレンダーとも突き合わせる。この領域は営業担当者にとって最も面倒で後回しにされやすく、しかも後工程で使うデータの品質をそのまま左右します。負荷が重い作業を軽くすると同時に、AIが学習・参照する材料の質も上げるという二重の効果を、入口の一手で取りにいく設計になっています。
もう一つの柱が、評価と手本をセットで返す組み立てです。商談活動をスコア化して足りない点を自動で検知するだけなら、担当者には点数という通知簿が届くだけで終わります。そこに他の担当者の成功事例を添えて次の行動まで示すことで、「何が足りないか」と「ではどうするか」が一続きになる。社長が毎朝全社員の日報にコメントを返す運用も、記録が誰かに読まれるという実感を現場に残し、入力が続く循環を支える側に働いていると考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2026年7月時点で、受注率は15ポイント向上し、報告書の作成時間は80%削減、商談化率は5%向上という成果が出ています。社長は、受注率の向上を2年間の積み重ねの結果として、全社員が毎日情報を蓄積し続けてきたこととAIエージェントの組み合わせによるものと位置づけています。情報の属人化が解消されて社内コミュニケーションの速度が上がり、営業担当者が顧客との対話や関係構築に時間を振り向けやすくなった点も挙げられています。同社は今後、営業部門にとどまらず全社員の活動を集約する「AI管理職」の構築を目標に、さらなる投資を検討しています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、SFAやCRMに数年分の商談記録が実際に溜まっていて、それが現場で書き続けられている会社です。この事例で成果につながったのは新しいAIそのものというより、AIに読ませるだけの自社データが先にあったことなので、記録が半年分しかない、あるいは項目だけ埋めて中身が一行という状態では、同じ効き方は期待しにくくなります。逆に言えば、社員50名規模でも十分に射程に入る取り組みでもあります。
一方で、慎重に見たほうがよい条件もあります。商談の進め方が案件ごとに大きく違い、受注の決め手を後から言語化しにくい業態では、スコア化や成功事例の横展開が現場の実感と噛み合わないことがあります。また、記録が評価のための提出物になっている組織では、AIが要約しても読み手がいないため定着しません。
まず試すなら、直近3か月の商談記録を数件開いて、書いた本人以外が読んで商談の流れをたどれるかを確かめてみてください。たどれないなら、AIを入れる前に記録の粒度を揃えるほうが先です。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社セールスフォース・ジャパン
人とAIエージェント、アプリケーション、データを単一のプラットフォームへ統合し、あらゆる規模の企業が「エージェンティック エンタープライズ」へ変革することを支援する情報通信企業。中堅・中小企業向けのCRMスイートやAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」を提供している。
株式会社ジャロック
出典・参考情報
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