実施 2025.02 ・ 更新 2026.09.27
佐渡汽船が船員150名超のシフト作成にAI、10日以上を最短10分に
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 毎月のシフト作成に何日もかかる
- 希望と人繰りの調整が担当者頼み
- 手書きとExcelの組み直しが大変
どのようなAIの取り組み?
組合せ最適化のAIを使い、150名を超える船員の配乗計画づくりを手作業から自動出力へ切り替えた事例
業種
海運業(運輸・物流)
取り組み領域
船員のシフト作成・要員配置
使ったAI
UMWELT(組合せ最適化のノーコードAI)
主な成果
10日以上かかっていたシフト作成が最短10分での出力に
佐渡島と本土を結ぶ定期航路を運航する佐渡汽船は、カーフェリー3隻、ジェットフォイル3隻、貨物船1隻に乗り組む150名超の船員について、配乗計画を手作業で組み立ててきました。グループ全体で生産性向上に向けたデジタル化を進めるなかで、船員の希望を汲みながら効率よくシフトを作る手立てを探し、名古屋大学発のAIベンチャーである株式会社トライエッティングが提供するノーコードのAIプラットフォーム「UMWELT」に行き着きます。2024年5月からは両社で実証実験を行い、組合せ最適化のアルゴリズムに船員シフト特有の計算条件を実装しながら、実務に耐えるシフトを組めるかどうかを確かめました。自動化の実現可能性が確認できたことを受けて、2025年2月に本格導入が決定しています。
出典:【プレスリリース】海運業を営む佐渡汽船が、ノーコードDXクラウド「UMWELT」を導入|150名を超える船員シフト作成を効率化 | TRYETING Inc.(トライエッティング) 発行元:株式会社トライエッティング
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
150名を超える船員を、どの船に、いつ乗せるのか。佐渡汽船ではこの配乗計画を手作業で組んでおり、多大な手間と時間がかかっていました。速力も運航形態も異なるカーフェリー、ジェットフォイル、貨物船が並び立ち、そこに船員一人ひとりの希望や労働条件が重なります。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は「人数が多い」ことそのものではなく、条件同士が互いに干渉し、一カ所を動かすと別の箇所が崩れてしまう構造にあったのではないでしょうか。一般的なシフト作成ツールでは実現が難しいと判断されていた点からも、難所が作業量ではなく条件の絡み合いの側にあったことがうかがえます。島民の生活を支える航路である以上、計画に穴を空けられないという前提も重く、それが手作業からの離脱をためらわせていた面はあったはずです。
どうやって、うまくいったのか
最初から全面展開に踏み込まず、2024年5月からの共同実証実験で「船員シフト特有の計算条件」を実装しながら検証するという進め方をとった点が、この取り組みの入り口を作っています。汎用のシフトツールでは扱いきれない条件をどこまで数式に落とし込めるのかは、やってみなければ分からない領域です。使えるかどうかの判断を、カタログ上の機能比較ではなく自社の実データと実条件による検証に委ねた運び方が、本格導入という次の意思決定を支える材料になったと考えられます。
ノーコードという性質を、単なる操作の手軽さではなく役割分担の設計に使い切っている点も見逃せません。簡易な条件変更は自分たちの手で行い、労働条件の変更のように計算の前提が動く場面ではデータ分析の専門家であるカスタマーサクセスの支援を受ける。導入後もバージョンアップできる余地を確保したこの線引きは、シフトの条件が生き物のように変わり続ける現場と、AIによる自動化の相性を保つための現実的な折り合いだったのではないでしょうか。
出力をExcel形式に寄せ、既存の運用フローをできるだけ変えずに現場へ渡せるようにした設計も効いています。船員に提示する書式への変換が容易であれば、配付後の後処理は従来の手順の延長線上に置けます。新しい道具を入れるときに現場側の作法まで作り替えようとしない構えが、担当者が使いこなすまでの助走を短くしたと読み解けます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
これまで担当スタッフが10日以上を要していたシフト作成は、必要な初期データを入力すれば最短10分で定型フォーマットのシフトが出力される形になりました。一般的なツールでは難しい、2〜3ヶ月分を一度で作成するような複雑な条件のシフトにも対応できています。一方、費用対効果やシフト調整業務の生産性向上は、いずれも見込みとして語られている段階です。担当部長からは、対象期間にとどまらず年間を通した休日付与や要員配置のシミュレーションにも使えそうだという評価が示され、トラックを運行するグループ企業への展開も検討されています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、割り当ての良し悪しを条件として書き下せる業務です。誰がどの持ち場に就けるか、連続勤務や休日の制約は何か、といったルールが言葉で説明できる状態にあれば、組合せ最適化の考え方は業種を問わず乗せやすくなります。船舶を車両や店舗、機械に置き換えても構造は近いはずです。
逆に難しいのは、条件の多くが担当者の頭の中にしかなく、しかもその判断が人間関係や当日の空気を含む場合です。本事例でも、実証実験で条件を実装し直す工程を経てから本格導入に至っており、条件を外に出す作業そのものが仕事の中身になっていました。ここを飛ばして既製ツールだけ入れても、同じ手応えは得にくいでしょう。
はじめの一歩としては、直近に作ったシフトを一枚広げ、「なぜこの人をここに置いたのか」を余白に書き込んでみてはどうでしょうか。書き込めた理由が条件の候補であり、書けなかった箇所が、当面は人が判断を握り続ける部分です。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社トライエッティング(TRYETING Inc.)
認識・未来予測・最適化を主とした「知能作業」の自動化に取り組む名古屋大学発のAIベンチャー。ノーコードAIプラットフォーム「UMWELT」や、複雑なシフトをAIが作成する「HRBEST」を開発・販売し、在庫管理・勤務シフト管理を中心としたサプライチェーン領域の最適化を手がける。事業内容はサプライチェーン領域における業務特化型拡張知能(AI)の製品販売事業。
佐渡汽船株式会社
出典・参考情報
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