実施 2026.04 ・ 更新 2026.09.27
ANA乗務員の勤務表づくりをAIで自動作成、4年の共同開発で得た技術を他業界へ
プロジェクト期間:3年以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- シフト作成に何日もかかっている
- 勤務表を作れる人が一人しかいない
- 表計算ソフトの手作業から抜け出したい
どのようなAIの取り組み?
AIと数理最適化技術で運航乗務員の勤務計画を自動作成し、その技術基盤を他業界向けサービスへ広げたAI取り組み
業種
航空運送業(運輸・物流)
取り組み領域
勤務計画・人員配置(シフト作成)
使ったAI
AI・数理最適化によるスケジュール自動作成システム
主な成果
運航乗務員のスケジュール自動作成システムが本格運用に移り、業務効率化とスケジュール品質の向上を両立
株式会社インテリジェントフォースのグループ会社であるR&Dは、全日本空輸株式会社(ANA)と2021年から約4年をかけて、運航乗務員のスケジュールを自動で作るシステム「AIS(AI Scheduler)」を共同開発し、2026年4月に本格運用へ移しています。この仕組みでは、AIが担う自動処理と、作成担当者が担う判断を切り分けた構成をとっています。インテリジェントフォースは、そこで培ったAI・数理最適化の技術と開発ノウハウを、特定企業の業務情報から切り離した技術基盤として組み直し、2026年9月1日に「AISプラットフォーム」の提供を開始しました。交通、物流、医療、製造、小売など複雑な勤務条件を抱える業界を対象に、業務の整理からシステム構築、導入後の定着までを一貫して支援する形をとり、現在は複数企業からの相談と、サンプルデータを用いた初期検証が進む段階にあります。
出典:ANAとの共同開発から得た知見を応用。勤務計画の作成をAIで支援する「AISプラットフォーム」を提供開始 | 株式会社インテリジェントフォースのプレスリリース 発行元:株式会社インテリジェントフォース
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
勤務計画の作成では、法令、保有資格、勤務時間、必要人員、休暇希望といった条件を同時に満たす必要があります。こうした業務は一般的なパッケージシステムだけでは各社固有の要件に対応しきれず、担当者が表計算ソフトで手作業を続ける現場も残っています。調整のやり方が特定の担当者の経験と判断に左右されるため、作成に多くの時間がかかるだけでなく、業務の属人化や引き継ぎの難しさにもつながっていました。
編集部の見立てでは、困りごとの核心は条件の多さそのものではなく、どの条件を優先しどれを譲るかという判断基準が、担当者の頭の中にしか存在していなかった点にあります。基準が言葉になっていなければ、システムに渡すことも、後任へ引き継ぐこともできません。手作業が続いたのは道具が足りなかったからというより、渡せる形の基準がなかったからではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
AIに任せる処理と人が判断する業務をあらかじめ切り分けた設計が、この取り組みの中心にあります。勤務計画づくりには、条件を満たす組み合わせを探す計算の部分と、現場の事情を踏まえて折り合いをつける判断の部分が混在しています。前者をAIに渡し、後者を担当者の手元に残す構成は、全面自動化を掲げるより地味に映りますが、出来上がった案を現場が受け入れられるかどうかを左右する分岐点だったと考えられます。すべてを機械任せにすると、説明のつかない結果が一つ出ただけで信頼が崩れます。
約4年にわたる概念実証(本格導入前に実現できるかを確かめる検証)を挟んでから本格運用へ移した進め方も、結果を左右した要素でしょう。多数の制約が絡む勤務計画では、条件を計算できる形に落とし込む作業そのものが難所で、担当者が無意識に守っていた決まりごとは、実際に作られた案を目にして初めて表に出てくることも少なくありません。試行と修正を重ねる期間を確保したことが、そうした暗黙の条件を拾い上げる時間になったとみられます。
顧客固有の情報と、他社にも使える技術基盤を明確に分けた設計は、単なる情報管理の話にとどまりません。乗務員の人数や役職、制約条件とその設定目的、業務上の判断基準といったANA由来の知見を持ち込まない前提を置けば、他社向けには制約の書き表し方や解き方という抽象度の高い部分だけが資産として残ります。汎用化の線引きを先に決めた設計だからこそ、業界をまたいだ展開の道筋が描けたのだと読み解けます。初期提案の段階でサンプルデータから簡易的なアルゴリズムを組み、適用できるかを先に確かめる手順も、本格開発に入ってから「そもそも解けない」と判明する事態を避ける工夫です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
ANAと共同開発した運航乗務員のスケジュール自動作成システムは2026年4月に本格運用へ移り、AIによる自動処理と作成担当者の判断の役割を整理したことで、業務効率化とスケジュール品質の向上を両立しています。一方、他社向けの「AISプラットフォーム」は提供が始まったばかりで、複数企業から相談が寄せられ、一部ではサンプルデータによる初期検証が進む段階です。削減時間などの数値はまだ示されておらず、適用可能性とどの程度の改善が見込めるかを確かめている途中といえます。
うちでも使える?
相性がよいのは、守るべき条件を言葉や数値で書き出せる勤務計画です。必要人員、保有資格、労働時間の上限、勤務と勤務の間隔のように、満たすか満たさないかがはっきりする条件が多い職場なら、計算に向く部分を切り出す余地があります。逆に、誰と誰を組ませるかの相性や、その日ごとの交渉で決まる要素が大きい職場では、まず基準を言葉にする作業が先に必要で、そこを飛ばすと出てきた案が現場で使われません。各社ごとに対象業務や制約条件を整理し直して個別に設計する進め方である以上、短期間・低予算で仕上がる類の取り組みではない点も見込んでおきたいところです。
手始めには、直近に作った勤務表を一枚広げ、完成までに何度手直しが入ったのか、その手直しはどの条件を優先した結果だったのかを担当者に聞いてみてはどうでしょう。自動化できるかどうかの見当は、そこで返ってくる説明が言葉になるかどうかで、おおよそつきます。
この事例は2026年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:バックオフィス・管理部門(人事・経理・法務)
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社インテリジェントフォース
AIを意思決定と実行の基盤に据え、顧客企業の経営システムの再構築を支援する企業。ストラテジー&IT事業、AIソリューション事業、クリエイティブ事業を展開し、業務変革を構想から実装、定着まで一貫して支援している。
全日本空輸株式会社(ANA)
出典・参考情報
ANAとの共同開発から得た知見を応用。勤務計画の作成をAIで支援する「AISプラットフォーム」を提供開始 | 株式会社インテリジェントフォースのプレスリリース
発行元:株式会社インテリジェントフォース
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