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  5. JR西日本と大阪ガスが共同開発した湖西線の強風予測、3年の試験を経て本導入へ|西日本旅客鉄道株式会社の導入事例

✓ やさしく事例解説
運輸・物流
鉄道による旅客輸送

実施 2025.02 ・ 更新 2026.09.26

JR西日本と大阪ガスが共同開発した湖西線の強風予測、3年の試験を経て本導入へ

コンサル(導入支援・AI戦略支援)
開発(実装支援・AI搭載支援)

プロジェクト期間:3年以上

※イメージ画像です

JR西日本と大阪ガスが共同開発した湖西線の強風予測、3年の試験を経て本導入へ のプロジェクト概要図解

取り組み概要

やさしく事例解説

プロジェクト解析

実施・導入企業

こんな方へおすすめのAI解説です

  • 天候次第で仕事を止める判断に迷う
  • 念のための中止・運休が多い
  • 担当者の経験頼みの判断を変えたい
OVERVIEW

どのようなAIの取り組み?

気象予測技術とデータ分析を組み合わせ、路線沿線の強風を高い精度で見通す仕組みを本導入した、鉄道の運行判断のAI取り組み

業種

鉄道旅客輸送(運輸・物流)

取り組み領域

列車運行管理/強風時の運転判断

使ったAI

気象予測技術とデータサイエンスによる強風予測システム

主な成果

試験導入を経て2025年2月に本導入、不必要な迂回運転の削減を見込む

JR西日本と大阪ガスが共同開発した湖西線の強風予測、3年の試験を経て本導入へ のプロジェクト概要図解

西日本旅客鉄道(JR西日本)と大阪ガスは、2019年に強風予測の共同研究を始め、2022年からは湖西線で強風予測システムの試験導入を続けてきました。強風が吹きやすいエリアを走る湖西線では、長時間の強風が見込まれる場合、駅間停車や急な運転見合わせを避けるために事前の運転見合わせや特急の迂回運転という対応が取られています。その判断の精度を上げるため、JR西日本のデータサイエンスと大阪ガスの気象予測技術を掛け合わせ、沿線の強風を高精度に予測するシステムが共同開発されました。試験結果が良好だったことから、2025年2月より本導入が始まります。

出典:大阪ガス:湖西線沿線の強風を高精度に予測するシステムの本導入について~JR西日本のデータサイエンスと大阪ガスの気象予測技術による共同開発~ 発行元:大阪ガス株式会社

EASY GUIDE

やさしく事例解説

何に困って、AIを入れたのか

湖西線は強風が吹きやすいエリアを運行しているため、長時間の強風が見込まれるときには、駅間での停車や突然の運転見合わせを防ぐ目的で、あらかじめ運転を取りやめる運用が取られてきました。特急サンダーバードは琵琶湖線経由に切り替え、普通列車は運転を見合わせる、という判断です。

ここで本当に難しかったのは、強風という自然現象そのものよりも、予測の確からしさが十分でないときには安全側へ大きく倒すしか選択肢がない、という構造の方ではないでしょうか。実際に運行へ支障が出るほどの風が、どの区間で、いつまで吹くのかを細かく見通せなければ、判断はどうしても粗い単位になります。編集部の見立てでは、この取り組みが向き合っていたのは風対策というより、判断の根拠となる情報の解像度の問題だったと考えられます。不必要な迂回運転の削減が本導入の狙いに挙げられていることも、その裏返しと読めます。

どうやって、うまくいったのか

異なる領域の強みを持ち寄り、役割を分けたまま組み合わせた設計が、この共同開発の骨格になっています。大阪ガスが持つ気象予測技術と、JR西日本が持つデータサイエンス。どちらか一方だけでは、汎用的な気象予測に留まるか、運行データの分析に留まるかのどちらかに寄っていたはずです。予測対象を「湖西線沿線の強風」という具体的な地理と現象に絞り込んだうえで、両者の技術をそこに集中させた点が、この手法の要だと考えられます。

安全に直結する判断へ予測を組み込むために、時間をかけて段階を踏んだ進め方も見逃せません。2019年の共同研究着手から2022年の試験導入、そして2025年の本導入まで、実際の路線で運用しながら結果を確かめる期間が置かれています。予測モデルは作った時点では評価しきれず、季節や気象条件が一巡して初めて実用に耐えるかが見えてくるものです。試験結果が良好だったという確認を経てから本導入へ進む順序は、精度の検証と現場の納得を同時に積み上げるやり方として理にかなっています。

予測の出口を、既存の運行判断の枠組みにそのまま接続した点も特徴的です。新しい指標を現場に増やすのではなく、特急を迂回させるかどうか、普通列車をどの区間まで走らせるかという、もともと存在する判断の場面に予測結果を流し込む形になっています。判断の仕組み自体を作り替えずに情報の精度だけを上げるという設計は、現場の運用を止めずに導入できる進め方として参考になります。

具体的に、どんな成果が出たのか

改善・向上したこと

品質・安全性向上
データ分析・意思決定支援

推進したこと

プロトタイプ開発(PoC)

この事例で出た成果

2022年から湖西線で続けられてきた試験導入の結果が良好だったことを受け、2025年2月から本システムの本導入が始まります。現時点で示されているのは実績値ではなく、本導入によって見込まれる効果です。具体的には、特急サンダーバードの不必要な迂回運転の削減と、それに伴う北陸新幹線つるぎの安定性向上、そして湖西線内の普通列車の運転可能区間の延長が挙げられています。安全を犠牲にせずに運休や迂回を減らす方向に効くという点で、安全性と利便性が両立し得ることを示す事例です。

うちでも使える?

天候や外部環境によって「やるか、やめるか」を事前に決めている業務であれば、考え方は応用しやすい領域です。屋外作業の実施可否、配送便の運行可否、イベントの開催判断など、予測が粗いために安全側へ大きく倒している場面は、多くの業種に残っています。判断の粒度を細かくするだけで、止める範囲を必要な分に絞り込める余地があるかどうかが、応用の可否を分ける目安になります。

一方で、そのまま真似しにくい条件もあります。この取り組みは湖西線という特定の路線に予測を作り込んでおり、対象を絞ったからこそ精度を追えた面があります。対象範囲が広く条件がばらつく業務では、同じ精度を得るのは簡単ではありません。また、共同研究の開始から本導入まで数年単位の検証期間が置かれている点も重要で、短期で効果を求める用途には向きません。

まずは、直近1年で「念のため」中止・延期・迂回した記録を並べ、そのうち実際に条件が荒れたのはどれだったかを突き合わせてみてはいかがでしょうか。空振りの割合が見えれば、予測精度を上げる投資に見合うかどうかの目安が立ちます。

この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。

ANALYSIS

プロジェクト解析

プロジェクト内容

AI導入・支援形態

プロジェクト伴走支援(共創・内製化)
PoC(実証実験・概念実証)

導入部門・データ活用

導入部門:全社共通・汎用業務

列車運行管理
意思決定支援
防災・災害予測

活用したデータ:機械・設備・位置

生体・環境・ウェアラブル

採用したAI技術・ツール

採用したAI技術:AIモデル・構築手法

機械学習(数値データからの予測・推論)
COMPANIES

プロジェクト実施・導入企業

実施・支援企業 (VENDOR)

大阪ガス株式会社

気象予測技術を有する企業。JR西日本と2019年より強風予測に関する共同研究を行い、湖西線沿線の強風を高精度に予測するシステムを共同開発した。

この取り組みに関心があれば 大阪ガス株式会社の公式情報をご覧ください

導入先企業 (CLIENT)
西日本旅客鉄道株式会社
業種:鉄道による旅客輸送

出典・参考情報

※本事例は以下の公開情報を元にWarpBiz編集部がリサーチ・作成しました。

大阪ガス:湖西線沿線の強風を高精度に予測するシステムの本導入について~JR西日本のデータサイエンスと大阪ガスの気象予測技術による共同開発~

発行元:大阪ガス株式会社

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