実施 2025.10 ・ 更新 2026.09.26
KDDIの社内版ChatGPT、約1万人が使う生成AI活用を広げた2方向の展開
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 生成AIを全社に配ったが使われない
- 現場に合う使い道が見つからない
- 既存システムとの連携が進まない
どのようなAIの取り組み?
社内版ChatGPTの展開を経営層主導と現場発の両輪で進め、グループ約1万人の利用につなげたAI取り組み
業種
通信(IT・通信)
取り組み領域
全社の社内業務/生成AI活用
使ったAI
社内版ChatGPT「KDDI AI-Chat」(生成AI)
主な成果
1日かかっていたプログラミング作業が2〜3時間に短縮
KDDIグループは、生成AIを社内業務で使うための環境として、社内版ChatGPTと位置づけた「KDDI AI-Chat」をグループ内に展開しています。背景には法人向けに生成AIソリューションを提供するという狙いがあり、外部に提供する前にまず自社で実証実験を重ね、知見とノウハウを蓄積する順序をとりました。展開の進め方は二本立てになっており、既存システムと生成AIをつなぐ取り組みは本部長クラスをプロジェクトオーナーに据えたトップダウンで推進し、日々の業務のどこで効率化に直結するかという使い道の発見は、現場の従業員が自ら見つけ出すボトムアップに委ねています。利用はグループ全体で約1万人に広がり、プログラミング作業の時間短縮や、集計が難しい自由記述形式のアンケートの整理・分析といった場面で効果が表れています。
出典:AI活用の事例10選|生成AIの事例から業務に活用するポイントまで|コラム|法人向け|KDDI株式会社 発行元:KDDI株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
この取り組みの出発点は、現場の個別の不便というより、法人向けに生成AIソリューションを提供するために自社で知見とノウハウを蓄えるという、事業側の必要にありました。社内での実証実験を先に置いた順序からも、その意図がはっきり読み取れます。
編集部の見立てでは、ここで実際に向き合っていた困りごとは、生成AIを全社に配ったあとに何が起きるか分からないという不確実性そのものだったのではないでしょうか。ツールを契約して従業員に配るところまでは決裁の問題ですが、どの業務のどこに効くのか、既存システムとどうつなげば実務に乗るのかは、使ってみるまで分かりません。約1万人が働く規模の組織で、その答えを机上だけで描き切るのは無理があります。進め方を二本立てにした背景には、この見通しの立てにくさがあったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
決裁の重い領域と、現場の裁量で動く領域を切り分け、それぞれに別の進め方を当てたことが、この展開の核心だと読めます。既存システムと生成AIの連携は、部署をまたぐ調整や投資判断を伴うため、現場の工夫だけでは前に進みません。ここに本部長クラスのプロジェクトオーナーを置いた設計は、意思決定の速度を組織の階層に合わせて確保する狙いだったのでしょう。
一方、日々の業務で効率化に直結する使い方を現場の従業員自身に見つけさせるやり方は、用途の発見を中央に集約しないという判断です。生成AIは、業務の細部を知っている人ほど有効な使いどころを言い当てられる性質があり、企画部門が用途一覧をまとめて配る方式とは噛み合いません。探索を現場に開いた構造は、経営側が想定していなかった使い方まで拾える余地を残します。
法人向けに提供する前に、自社を先行の実験場に充てた順序も見落とせません。社内で実証実験を重ねる過程では、効果の出る使い方だけでなく、運用上のつまずきや定着の難しさも当事者として経験することになります。こうした手触りは製品の仕様説明からは得られないもので、外部に提供するサービスの設計材料としての厚みが違ってきます。自社の業務を最初の顧客に見立てた進め方が、蓄積される知見の質を左右したと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
「KDDI AI-Chat」はグループ全体で約1万人が利用する状態まで広がり、具体的な効果も表れています。1日かかっていたプログラミング作業が2〜3時間で完了するようになり、集計が難しい自由記述形式のアンケート結果も効率的に整理・分析できるようになりました。いずれも作業そのものが消えたわけではなく、人が抱えていた下ごしらえの部分をAIが引き受けた結果と読めます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、進め方の設計のほうです。全社にAIを広げるとき、決裁や部署間調整が必要な連携部分は責任者をはっきり立てて進め、使い道の発見は現場に任せるという役割分担は、規模を問わず再現できます。文章の要約や自由記述の整理のような、部署をまたいで共通して発生する作業から始めれば、最初の手応えも得やすいはずです。
そのまま持ち込みにくい部分もあります。現場発の活用が次々に生まれる前提には、数千人規模の利用者から多様な使い方が集まるという母数の大きさがあり、数十人の組織で同じことは起きにくい。社内活用で得た知見をそのまま外販サービスに還元できるのも、AIを商材にできる企業に限られます。小さな組織なら、現場に自由に探索させるより、効きそうな業務を数個に絞って集中的に試すほうが早い場合もあります。
最初の一歩は、生成AI活用の責任者を一人、名指しで決めること。誰が既存システムとの連携可否を判断するのかが空白のままでは、現場がどれだけ工夫しても、その使い方が業務の本流に乗ることはありません。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
KDDI株式会社
法人向けに生成AIソリューションを提供する通信事業者。グループ全体で社内版ChatGPT「KDDI AI-Chat」を業務に活用している。
出典・参考情報
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