実施 2025.01 ・ 更新 2026.09.26
住友倉庫が貨物ラベルの読み取りにスマホOCR、作業時間約6割減を見込む
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 伝票の内容を手で打ち直している
- 現場の目視確認に人手を取られる
- 荷物のラベル情報の登録が大変
どのようなAIの取り組み?
貨物に貼られたラベルをスマートフォンで撮影するだけでデータ化し、搬入確認作業の時間を約60%減らせると見込む、OCRを使ったAI取り組み
業種
倉庫業・国際物流(運輸・物流)
取り組み領域
輸出貨物の搬入確認・データ登録
使ったAI
OCRソリューション「Future EdgeAI」(画像AI・エッジAI)
主な成果
搬入確認作業の時間を約60%削減できると見込む
フューチャーアーキテクトと住友倉庫は、2025年1月から、住友倉庫が大阪市に持つ南港第二営業所国際フェリー上屋での輸出貨物取扱業務に、フューチャーアーキテクトが独自開発したOCR(画像から文字を読み取る技術)ソリューション「Future EdgeAI」を導入しました。対象は、貨物の搬入時に行う確認作業です。国際貨物の外装には、仕向地や重量などを示すケースマークと呼ばれる記号・番号・文字が貼付または印字されており、その読み取りとシステムへの登録が現場の負荷になっていました。導入後は、倉庫作業員がケースマークをスマートフォンで撮影すると、その場で情報がデータ化されます。データは画像・テキスト・2次元コードとしてラベルに出力され、事務作業員が2次元コードをスキャンすると自動でシステムに登録される流れです。導入前と比べて約60%の作業時間削減効果が期待されています。
出典:フューチャーアーキテクト、住友倉庫にOCRソリューション「Future EdgeAI」を導入 | フューチャー株式会社のプレスリリース 発行元:フューチャーアーキテクト株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
国際貨物のケースマークには、配送先や重量、取扱い上の注意など、多くの情報が一つの面に詰め込まれています。上屋での荷捌きでは、その内容を人が目で確かめ、手でシステムに打ち込む作業が積み上がり、住友倉庫の同拠点でも確認とデータ登録の負荷が課題になっていました。
ここでの困りごとの本質は、扱う貨物の数そのものよりも、貨物の情報が必ず人の目と手を通らなければシステムに入らない、という経路の構造にあったのではないでしょうか。ケースマークは荷主ごとに書式やフォントがまちまちで、輸送の途中で擦れたり濡れたり折れたりもします。形が揃わないからこそ機械に任せにくく、結果として「読む」と「打ち込む」という性質の異なる二つの作業が、同じ作業者の集中力の上に重なって残り続けた。編集部の見立てでは、そこが負荷の中心だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
現場の作業員に求める操作を、スマートフォンで撮影する一動作まで削ぎ落とした入力設計が、この仕組みの起点になっています。読み取るのも、文字に起こすのもAI側の役割とし、人が担うのは対象にカメラを向けることだけ。荷物を動かしながらの作業では、端末に文字を打ち込む工程が残るかどうかで負担の質が大きく変わります。操作を一つに絞る設計は、機能を増やすより難しい判断です。
読み取りと登録を、現場と事務に切り分けて受け渡す工程設計も効いていると見ています。現場では読み取った情報を画像・テキスト・2次元コードという三つの形でラベルに出力し、事務作業員はそのコードをスキャンするだけでシステム登録が完了します。人が内容を目で確かめられる形(画像とテキスト)と、機械がそのまま取り込める経路(2次元コード)を分けて用意した二重構造です。確認の余地を残しながら転記そのものをなくす、という折り合いの付け方がここに表れています。
読み取りを端末の中で完結させるエッジAI(AIを載せた端末が自分で処理し、その場で判断を出す技術)という構成も、上屋という場所の条件に合っています。通信環境や外部処理の待ち時間に左右されず、撮影したその場でデータになる。加えて、擦れやノイズ、水濡れ、折れ曲がりを補正する画像処理と、活字だけでなく手書きの日本語まで読み取る設計が組み合わされています。きれいな書類を前提にせず、現場で実際に出てくる状態の悪いラベルを出発点に置いた作りといえます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
導入により、倉庫作業員がケースマークをスマートフォンで撮影するだけで情報をデータ化できるようになり、導入前と比較して約60%の作業時間削減効果が期待されています。この数値は実績として確定したものではなく、見込まれる効果として示されている点には注意が必要です。住友倉庫とフューチャーアーキテクトは今後、他の業務への導入拡大を検討し、労働力不足への対策も進めるとしています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、読み取る対象に必要な情報がすでに書かれていて、人はそれを別の場所へ写しているだけ、という業務です。荷札、検品票、納品書、現場で受け取る紙の指示書など、内容の解釈ではなく転記が仕事の中心になっている工程であれば、撮影してデータ化し、機械が読める形に変換して渡すという流れはそのまま当てはめやすいはずです。撮影する人と登録する人が分かれている職場ほど、受け渡しの形を設計し直す余地も大きいと考えられます。
一方で、この事例が扱っているのは、書かれている内容をそのまま移す作業です。ラベルに載っていない情報を経験から補ったり、読み取った内容をもとに受入の可否を判断したりする工程は、対象の外にあります。また、登録先のシステムがコードの読み取りを受け付けられない場合、現場だけを自動化しても事務側に手入力が残ってしまう。最初の一歩としては、いま現場で撮っている写真や手書きのメモを一つ選び、そこに書かれた項目のうち何項目がそのままシステムの入力欄に対応するかを突き合わせてみる。対応が多いほど、この形は効きます。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
フューチャーアーキテクト株式会社
経営とITをデザインし、戦略立案から実装までを手掛けるコンサルティング企業。グランドデザインから要件定義、システム設計・開発、運用保守までを一気通貫で担えることを強みに、ITコンサルティングサービスを提供する。物流領域では、業務知見と最新技術に精通した専門チームが顧客の物流改革とDXを支援している。2016年4月1日にフューチャー株式会社よりITコンサルティング事業を継承して設立。
株式会社住友倉庫
出典・参考情報
フューチャーアーキテクト、住友倉庫にOCRソリューション「Future EdgeAI」を導入 | フューチャー株式会社のプレスリリース
発行元:フューチャーアーキテクト株式会社
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