実施 2025.07 ・ 更新 2026.09.25
LIXIL名張工場、ピッキング支援ロボットで作業者の歩数65%削減
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 現場の人手が足りず作業が回らない
- 一日中歩き回る作業で体力を消耗
- 作業を覚えるまでに時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
ピッキングを支援する自律走行ロボットを工場の構内物流に取り入れ、作業者の歩数を65%削減したAI取り組み
業種
建材・住宅設備製造(製造業)
取り組み領域
工場内のピッキング・構内物流
使ったAI
ピッキング支援付き自律走行ロボット(AMR)
主な成果
作業者の歩数を65%削減
三重県名張市で玄関ドアやインテリア建材を製造するLIXIL名張工場が、構内のピッキング作業にシリウスジャパンの自律走行ロボット「FlexSwift MAX」を取り入れた事例です。このロボットは人の作業を手助けするピッキングアシスト機能を備えており、設備として買い取るのではなく、RaaS(ロボットを購入せず、サービスとして継続利用する契約形態)という形で使われています。目的に据えられたのは、作業のやり方が人によってばらつかない状態をつくることと、作業者の身体的な負担を軽くすることの二点でした。運用開始以降は必要な作業人数、作業者の移動量、作業を覚えるまでの時間のそれぞれに変化が確認され、2025年7月には契約が更新されて運用の継続が決まっています。
出典:シリウスジャパン、LIXIL名張工場とのRaaS契約を更新 | シリウスジャパン株式会社のプレスリリース 発行元:シリウスジャパン株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
導入の目的として掲げられたのは、ピッキング作業の標準化と作業者の負担軽減という二点でした。裏返せば、それまでの構内のピッキングは、どの棚をどの順に回るかが個々の作業者の慣れに委ねられ、一日中歩き続けることを前提にした作業だったことになります。
編集部の見立てでは、この現場の困りごとの本質は「人が足りない」という数の問題というより、一人前になるまでの道のりの長さにあったのではないでしょうか。習得に五日を要していたという事実は、置き場と取り出し順を体で覚えなければ作業が成立しない構造を示しています。覚えるまでに時間がかかる作業は、人を増やしてもすぐには効果が出ず、繁忙の波に人員で対応しづらい。歩き続けるという身体的な負担と、覚えることの多さという頭の負担が同時にのしかかっていた点こそが、改善の出発点だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
うまくいった要因の一つ目は、作業を丸ごと機械に置き換えるのではなく、移動という部分だけをロボットに移した役割分担にあります。「ピッキングアシスト」という機能名のとおり、どの品物を取るかという判断と手作業は人に残し、棚から棚への移動はロボットが引き受ける形です。全自動化を目指せば、扱う品物の形状や置き方をすべて機械に合わせて作り替える必要が生じますが、移動だけを切り出す設計であれば、既存の棚やレイアウトを大きく変えずに現場へ入り込めます。人と機械の境界線をどこに引くかという判断が、実運用に耐える形を決めたと見ています。
二つ目は、作業者が頭に入れておくべきことを減らす方向へ寄せた設計です。ロボットが行き先まで移動してくれるなら、作業者は広い構内の地図と巡回順を記憶する必要から解放され、目の前の棚と品物に集中すればよくなります。標準化を「手順書を整えて守らせる」というやり方ではなく、迷いようのない動線をロボット側に持たせることで実現した点が、この事例の特徴的なところです。
三つ目は、RaaSという契約の形そのものが持つ効き目です。ロボットを設備として一括購入すれば、効果が読み切れないまま大きな投資判断を迫られますが、サービスとして使う形であれば、現場で回しながら成果を確かめ、更新の時期ごとに継続の可否を判断できます。今回はその更新という節目で運用継続が選ばれており、導入前に現場の動きを試せるシミュレーションソフトや、提案から現地の立ち上げ、納入後のフォローまでを一続きで担う体制が、この判断を支える土台になっていたと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
運用開始以降に確認された成果として、ピッキングに必要な作業者数は25%の効率化、作業者の歩数は65%の削減となりました。作業を習得するまでの時間は一人あたり五日間から30分へと短縮され、現場では安定した稼働と効率が維持されています。2025年7月には契約が更新され、運用の継続が決まりました。三つの数値のなかでも習得時間の変化は意味が大きく、人の入れ替わりや繁忙期の応援が避けられない現場にとって、教える側の負担が軽くなることは省人化の数字以上に効いてくるはずです。
うちでも使える?
応用しやすいのは、決まった置き場を巡って物を集める作業が毎日繰り返され、その作業者の移動距離が長い現場です。工場の部品供給や倉庫の出荷準備、院内や店舗のバックヤードでの物品搬送などは、移動と手作業を分離できる余地があります。床面が平らで走行できる通路幅が確保されていること、置き場の位置がある程度固定されていることも、成立の条件になります。
逆に、受注のたびに棚の配置が変わる現場、人が抱え上げなければ動かせない重量物や不定形の資材が主役の工程、人とフォークリフトが同じ狭い通路を行き交う場所では、同じ形では入りにくいでしょう。移動が短く、むしろ選別や検品に時間を取られている作業であれば、効果は限定的になります。
まず試すなら、自社の現場で作業者が一日に何歩歩き、そのうちどれだけが「取りに行く」ための移動なのかを一日だけ測ってみること。その数字が大きいほど、機械に渡せる余地があります。
この事例は2025年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
シリウスジャパン株式会社
Syrius Technologyの日本法人。AMR(自律走行型ロボット)のソフトウェア/ハードウェア、AIおよびクラウドサービスのサポート業務を行い、スマートロジスティクス/スマートマニュファクチャリングを提供する。日本国内におけるAMRソリューションの提案・現地立ち上げ・納入後のフォロー・アフターサービスまでを一貫して担う。資本金7,700万円、未上場。
株式会社LIXIL 名張工場
出典・参考情報
シリウスジャパン、LIXIL名張工場とのRaaS契約を更新 | シリウスジャパン株式会社のプレスリリース
発行元:シリウスジャパン株式会社
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