実施 2024.08 ・ 更新 2026.09.25
西東京バスの落とし物管理をクラウド化、警察への届出書類作成が半日から1時間へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 問い合わせのたびに台帳をめくっている
- 月末の書類作成で半日つぶれる
- 拠点ごとに預かり物がバラバラ
どのようなAIの取り組み?
拠点ごとに紙で管理していた落とし物をクラウドに集約し、警察への届出書類の作成を半日から約1時間に短縮した取り組み
業種
路線バス(運輸・物流)
取り組み領域
落とし物管理/問い合わせ対応
使ったAI
落とし物クラウド「find」(クラウド管理+LINEチャット窓口)
主な成果
警察への届け出書類の作成が半日から約1時間に短縮
西東京バスは東京都西部の多摩地域で路線バスを運行し、広い運行エリアに置いた複数の営業所で、それぞれの車庫に届いた落とし物を保管してきました。月1,000件以上にのぼる落とし物を紙の台帳と手書きで管理していたため、問い合わせを受けるたびに担当者が各営業所へ電話で所在を確認し、月末には警察への届け出書類を営業所ごとの情報から転記して作っていました。2024年8月、京王電鉄が主催するオープンイノベーションプログラムで出会った株式会社findの「落とし物クラウドfind」を導入し、スマートフォンでの写真登録によるクラウド管理へ切り替えます。あわせてLINE上のチャット窓口「find chat」を開き、乗客からの問い合わせを24時間受け付ける形に変えました。
出典:西東京バスの落とし物DX事例 | 株式会社find 発行元:株式会社find
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
バスの落とし物は、乗客の側が路線や下車した停留所、乗車した時間帯を覚えていないと、問い合わせ先すら定まりません。西東京バスでも、照会を受けた担当者が各営業所へ電話をかけ、紙の台帳をめくって照合するという手順が繰り返され、その電話は乗客が帰宅する夕方以降に集中していました。月末になれば警察への届け出書類の作成が重なり、半日分の時間が消えていきます。
編集部の見立てでは、現場の負担の本質は件数の多さではなく、「いま、どの落とし物がどこにあるか」という一次情報が、拠点ごとの紙と担当者の記憶の中にしか存在していなかった点にあります。情報が一箇所に揃っていないため、問い合わせ対応も届け出書類の作成も、その都度ゼロから情報を集め直す作業になっていた。件数が減らない限り手間も減らないという構造は、ここから生まれていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
最も効いたのは、落とし物の登録をスマートフォンでの写真撮影に一本化し、営業所ごとに分かれていた台帳をひとつのクラウド上へ集約した設計だと考えられます。現物を手にした拾得の時点で写真と特徴がそのままデータになるため、後から誰かが清書したり転記したりする工程が発生しません。前任者の字が読めない、どこに保管したか分からないといった、紙と手書きに固有の摩擦もここで消えます。拠点が分散していること自体は変えず、情報だけを一箇所へ寄せた点が現実的でした。
警察への届け出書類を、蓄積されたデータからCSVで出力する形に置き換えた判断も見逃せません。月末の書類作成を独立した作業として効率化するのではなく、日々の登録さえ済んでいれば書類はその副産物として出来上がる、という順序に組み替えています。決められた様式へ転記する業務は、様式が固定されているからこそデータ化の効果が現れやすい領域です。
問い合わせの入口をLINEのチャット窓口へ移し、受付と回答を切り離した設計は、現場の時間の使い方そのものを変えました。チャットであれば乗客は帰宅後の夜中でも照会を送れ、担当者は翌朝の営業時間からまとめて確認して答えられます。電話が抱えていた「その場で応対しなければならない」という同時性の制約を、業務量を削るのではなく時間軸をずらすことで外した形です。窓口の回答をfind側のオペレーターが受け持っている点も、運行管理と並行して鳴り続ける電話を取る構図を崩しています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
月末に半日を要していた警察への届け出書類の作成は、約1時間にまで短縮されました。電話での問い合わせも大幅に減り、紙の台帳と手書きの書類はペーパーレス化されています。月間の落とし物件数そのものは1,000件以上のまま変わっておらず、同じ量を扱う手間のほうが下がったという形です。さらに、スマートフォンで完結する操作は若手社員が担いやすく、ベテランに集中していた対応をチームで引き受ける形に変わった点を、find側の担当者も変化として挙げています(数値はfind調べ、2025年時点)。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、現物を拠点ごとに預かり、照会を受けてから所在を探し、しかも決まった様式で外部へ提出する書類が発生する業務です。鉄道やタクシー、商業施設や宿泊施設の忘れ物対応はもちろん、修理品や貸出備品の預かりのように「物の所在」と「持ち主からの問い合わせ」が対になっている業務であれば、同じ構造が当てはまります。写真と短い特徴の記述で同一性を確かめられることが、前提条件になります。
逆に、持ち主の説明だけでは同じ物かどうか判断しにくいケース(中身の確認が要る貴重品や、外見がほとんど同じ大量の小物)や、その場での即答を強く求められる照会が中心の窓口では、受付を非同期のチャットへ寄せる効果は薄くなります。試すなら、直近1か月に受けた電話のうち「どこに保管されているかの確認」だけで終わった件数を数えてみてはどうでしょうか。その比率が高いほど、情報の置き場所を変えるだけで効く余地は大きいはずです。
この事例は2024年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社find
落とし物をクラウド上で一元管理する「落とし物クラウドfind」と、LINE上で落とし物の問い合わせを受け付けるチャット窓口「find chat」を提供する企業。オペレーターによる問い合わせ対応も担う。
西東京バス株式会社
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