実施 2026.06 ・ 更新 2026.09.24
倉庫ロボットで人員75%削減も、物流AI18事例が示す到達点
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 募集しても人が集まらない
- 倉庫のピッキングに人手を取られている
- 配車や積み付けの計画がベテラン頼み
どのようなAIの取り組み?
倉庫の搬送ロボットからAI配船、需要予測まで、物流18事例のAI活用を整理した取り組み
業種
物流・倉庫(運輸・物流)
取り組み領域
倉庫内作業/配車・配船・需要予測
使ったAI
搬送ロボット(AMR)・配船計画AI・需要予測AI・画像認識AI
主な成果
ピッキング人員75%削減や総労働時間約44%削減などの省人化
AI総合研究所が、2025年7月から2026年6月までの1年間に公表された物流分野のAI導入・実証を18件にまとめた記事です。取り上げられているのは、Amazonによる100万台目の物流ロボットの日本配備と経路最適化の生成AI「DeepFleet」、トヨタ自動車の複数工場へのギークプラス製の搬送ロボット400台以上の導入、東電物流のMujinOSによる電力資材ピッキングの自動化、北海道ロジサービスとコープさっぽろの需要予測と共同配送、日本郵船や太平洋セメントの配船計画AI、三井倉庫らが神戸港で行ったコンテナ配置計画・搬出日予測の現地実証などです。倉庫内の搬送・仕分けから配船、需要予測・在庫最適化まで領域は幅広く、大手から中堅企業まで規模も分かれています。背景として、ドライバーの時間外労働規制と、2026年4月に全面施行された改正物流効率化法による荷主側の義務化が整理されています。
出典:物流業界のAIの導入・活用事例|最新18事例と現状の課題、導入メリットを解説 | AI総合研究所 発行元:AI総合研究所
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
直接の引き金は規制です。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に年960時間の上限が適用され、一人が運べる量に物理的な制限が生じました。さらに2026年4月に全面施行された改正物流効率化法では、一定規模以上の荷主や運送事業者・倉庫業者が特定事業者に指定され、積載効率の向上や荷待ち・荷役時間の短縮についての中長期計画の策定と定期報告、経営層レベルの物流統括管理者(CLO)の選任が求められるようになりました。ドライバーの高齢化とEC拡大による小口多頻度化も、以前から効いている構造要因です。
ただ、編集部の見立てでは、現場が本当に詰まっているのは人数の不足そのものではありません。積載率も荷待ち時間も、計画を立て直すには数字が要るのに、その数字が誰の手元にも残っていない——ここが痛点だったのではないでしょうか。記事が落とし穴の筆頭に「データが整っていないままAIに走る」「可視化なしの導入」を挙げているのは、その裏返しだと読めます。義務化された計画と報告は、勘と経験の運用のままでは書けません。
どうやって、うまくいったのか
目を引くのは、現場を作り替えずに後から載せる設計が繰り返し選ばれている点です。ファインプラスのアパレル物流では、既存現場を改修せずにGROUNDの「PEER 100」を後付けする形がとられ、再春館製薬所の発送センターでは搬送ロボットとデジタルピッキングカートを組み合わせています。新築のフルオートメーション倉庫を建てられる企業は限られますが、この置き方なら稼働を止めずに入れられます。中堅規模の現場にAIロボットが届き始めた理由は、技術の進歩だけでなく、この入れ方の工夫にあると考えられます。
二つ目の柱は、熟練者の判断そのものをAI側に写し取ろうとする設計です。北越物流の荷積み計画AIは熟練者の思考プロセスを再現する形で作られ、日本郵船の配船計画AIは寄港地・船種・船腹容量・スケジュールという制約の組み合わせを扱います。神戸港の実証でも、日立のAIが港湾情報システムに残る船卸・搬出・予約・在庫・通関のデータから過去傾向を学習し、搬出日の予測を起点に計画を組み立てます。ベテランの勘を否定して標準化するのではなく、勘が処理していた膨大な組み合わせを計算の問題に置き換えた——この割り切りが、属人化の解消を現実的なものにしたのではないでしょうか。
三つ目は、工程を単独で最適化せずにつなげたことです。東電物流に入ったMujinOSはアーム型ピッキングロボットと17台のAGVを統合制御し、神戸港の実証は搬出日予測から配置計画、荷役作業手順の自動生成までを一続きで設計しています。北海道ロジサービスとコープさっぽろの取り組みに至っては、AIの話にとどまらず、1日2便の運用を1便制へ改めるという荷主と物流事業者の商流側の見直しを伴っています。記事自身が「単独工程の最適化で全体が改善しない」を落とし穴に挙げていることと、成果の出た事例の作り方はきれいに符合します。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
東電物流ではケース品の自動化率90%、ピッキング人員は4人から1人へ(75%削減)、出荷時の検品工程がゼロになりました。ファインプラスはピッキング処理速度が62.5行/時から145行/時へ上がり、総労働時間は約44%削減。NTTロジスコは生産性30%向上と仕分けミス0%、日本通運NX小牧流通センターは出荷工程の生産性が約2.5倍、コープさっぽろの共同配送ではCO2排出量310トンとドライバー拘束時間26,448時間が削減されました。一方で、再春館製薬所の電力約40%削減や太平洋セメントの燃料約10%・計画策定時間50%超の削減は見込みの段階であり、神戸港のコンテナ配置AIや伊藤忠食品の受注数予測AI(一部倉庫でWAPE 28.9%)は実証として完了した段階です。
うちでも使える?
相性がよいのは、搬送や仕分けのように動きが繰り返しで、扱う荷姿がある程度そろっている現場です。ロボットを後付けできる通路幅と床面があり、出荷実績や在庫の記録がシステムに残っていれば、記事の中堅事例に近い形から入れます。MARUWA SHOMEIのように、IoTセンサーで在庫の重さを測るところから始めて部材在庫の最適化につなげる入り方は、大規模投資が難しい企業にも届く射程でしょう。
逆に、荷姿が毎回変わる非定型の混載や、庫内レイアウトが狭くロボットの動線を確保できない現場では、同じ効果は見込みにくくなります。港湾のコンテナ配置AIや卸の受注数予測は、そもそも港湾情報システムや受注データが長期に蓄積されていることが前提で、しかも記事の時点では実証段階です。精度の水準もまだ検証中と捉えたほうが安全です。
はじめの一歩としては、出荷量が最も膨らむ1日を選んで、庫内の歩行距離と荷待ちの発生時刻を実測してみること。自動化の対象を決めるより先に、AIに食わせる数字が手元にあるかどうかが分かります。
この事例は2026年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
トヨタ自動車、東電物流、再春館製薬所、ファインプラス、ユナイテッドアローズ、花王、日本通運、手原産業倉庫、NTTロジスコ、ニチレイロジグループ、コープさっぽろ、日本郵船、太平洋セメント、北越物流、三井倉庫、伊藤忠食品、MARUWA SHOMEI
支援ベンダーについて
本事例の開発・支援を担当した企業名は公開されていません。
※WarpBiz編集部による公開情報リサーチに基づくこの取り組みに関心があれば 支援企業の公式情報をご覧ください
出典・参考情報
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