実施 2025.10 ・ 更新 2026.09.24
日本通運の物流センターが3か月で出荷生産性約2.5倍、ピッキング支援ロボット活用
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 出荷作業がベテラン頼みになっている
- 人が集まらず出荷量を伸ばせない
- 新人が戦力になるまで時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
協働型のピッキング支援ロボットを使い、出荷工程の生産性を稼働3か月で約2.5倍に高めた取り組み
業種
総合物流(運輸・物流)
取り組み領域
物流センターの出荷・ピッキング工程
使ったAI
協働型ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」(自律移動ロボット)
主な成果
出荷工程の生産性が42.9件/時間から110.8件/時間へ約2.5倍に向上
日本通運のNX小牧流通センターでは、出荷工程のピッキングに協働型の作業支援ロボット「ラピュタPA-AMR」が使われています。従来は作業者が台車を押して商品を集めていましたが、人と並んで動く自律走行ロボットを使う方式へ切り替えられました。稼働に入る前には、開発元のラピュタロボティクスと日本通運が現場でのデモと検証を重ね、ロボットの特性が生きるようにピッキングの自動化プランを設計しています。狙いは省人化と作業の標準化で、稼働開始から3か月の時点で出荷工程の生産性は大きく伸び、経験の差によらず一定の品質で作業できる体制づくりが進みました。今後はWMS(倉庫管理システム)の改修を通じて、ロボットが担う対象業務を広げる計画も示されています。
出典:ラピュタロボティクスのピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」、NX小牧流通センターに導入後3か月で生産性約2.5倍を実現 | ラピュタロボティクス 発行元:ラピュタロボティクス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
NX小牧流通センターでは、出荷工程が熟練者の経験に頼る状態が続いており、省人化と標準化の両立が積み残しの課題になっていました。人手不足とベテラン依存は、物流の現場に広く共通する悩みでもあります。
編集部の見立てでは、この現場の困りごとの本質は、人数が足りないことそのものではなく、出荷の速さと正確さが「その日に誰が入るか」で変わってしまう点にあったのではないでしょうか。やり方が個人の頭の中にある限り、人を増やしてもすぐに処理能力が増えるわけではなく、教える側のベテランの時間まで削られていきます。出荷量を増やしたいのに増やせないという天井は、人数ではなく属人化の構造がつくっていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
ロボットを現場に持ち込む前に、デモと検証を重ねて自動化プランそのものを設計したことが、短期間で本格稼働へ届いた最大の要因と考えられます。台車で商品を集めるやり方をそのまま機械に置き換えるのではなく、ロボットの動きが生きるようにピッキング工程の組み立て方を見直しています。開発元と荷主側が一緒に現場を見ながら計画を練る進め方であれば、机上の要件整理では抜け落ちがちな動線や作業の癖を、稼働前の計画に織り込めます。
作業手順を人ではなくロボット側に持たせた標準化の設計も効いています。どの商品をどれだけ取るかという指示と移動をロボットが引き受けるため、作業者は表示に従って取る動作に集中でき、覚えるべきことが大きく減ります。その日しか出勤しないスポットワーカーでも最小限のトレーニングで現場に入れる形になっており、標準化が品質をそろえる仕組みであると同時に、働き手の間口を広げる仕組みとしても機能している点は見逃せません。
現場スタッフから直感的に使いやすいという評価が出ていることも、定着の速さを説明します。新しい道具は操作を覚えること自体が負担になると敬遠されますが、迷わず触れる作りは教育の手間を抑え、現場が自分たちで使いこなす感覚を早い段階で持てるようにします。強い現場体制と噛み合ったことが、立ち上げの速度を押し上げたと見られます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
稼働開始から3か月で、出荷工程の生産性は1時間あたり42.9件から110.8件へ、約2.5倍(258%)に向上しました。新人とベテランの作業スピード・精度の差は大幅に縮まり、省人化で生まれた余力は高付加価値の業務へ人を振り向けることに使われています。現場からは直感的に使いやすいという声が上がり、従来は人に依存していた部分が仕組み化されたことで負担の軽減にもつながったと受け止められています。今後はWMSの改修を進め、対象業務を1日500行から1,000行へ拡大する計画です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、出荷指示がまとまった量で出ていて、作業者の時間の多くが商品を探して歩くことに費やされている現場です。取るべき商品と数量を指示として明確に出せるのであれば、手順を人からロボット側へ寄せる余地は大きく、経験差が成果に出やすい工程ほど標準化の効果も見えやすくなります。
反対に、荷姿が毎回違って持ち方や梱包に人の判断が要る商品や、レイアウトや通路の使い方が頻繁に変わる倉庫では、同じようにはいきません。この事例でも対象業務を広げる前提としてWMSの改修が置かれており、出荷指示のデータが整っていない現場では、ロボットを入れるより先にシステム側の整備が必要になります。自社で見極めるなら、出荷作業を1日分だけ、歩いている時間と実際に商品を取っている時間に分けて眺めてみてください。前者が大きければ、肩代わりできる余地があるということ。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
ラピュタロボティクス株式会社
チューリッヒ工科大学(ETH Zürich)発のベンチャー企業。「ロボットを便利で身近に」をビジョンに掲げ、制御技術と人工知能技術を活用した次世代クラウドロボティクスプラットフォームの開発と、ロボットソリューションの開発・導入・運用支援を行う。世界30ヵ国以上から集まったエンジニア、営業チーム、カスタマーサクセスチームで顧客に提案する体制をとる。代表取締役CEOはモーハナラージャー・ガジャン。
日本通運株式会社
出典・参考情報
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