実施 2026.05 ・ 更新 2026.09.24
鴻池運輸が全社AI基盤を1,200ライセンスで統一、社内検索とAI人材育成へ
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 部門ごとにAIツールがバラバラ
- 資料探しに時間を取られている
- 社内の情報が複数システムに散らばる
どのようなAIの取り組み?
企業向け生成AIプラットフォーム「Glean」を全社共通の基盤として採用し、約1,200ライセンスで社内SaaS横断の検索とAIエージェント開発に広げたAI取り組み
業種
総合物流(運輸・物流)
取り組み領域
全社の社内情報検索・ナレッジ活用/AI人材育成
使ったAI
企業向け生成AIプラットフォーム「Glean」(社内横断検索・AIエージェント)
主な成果
約1,200ライセンスで本格稼働し、研修参加者は累計約600名に拡大
鴻池運輸は2023年から生成AIの活用を進め、2024年12月にICT推進本部内へ「生成AI活用プロジェクト」を置いて、全社で共通して使えるAI基盤づくりに着手しました。まず自社クラウド上に内製の生成AI基盤を構築しましたが、応答速度や回答品質、長期にわたる運用・改善のコストを踏まえて外部プラットフォームの採用を検討し、Glean Technologies社の企業向け生成AIプラットフォーム「Glean」を全社標準として採用しています。2025年11月にICT推進本部とPoC(小規模な試験導入)を担う部門の約100名で先行利用を開始し、現在は約1,200ライセンスで本格稼働。Box、Microsoft Outlook、ServiceNowといった主要SaaSを横断する検索やレポート作成、チャットでの回答に加え、自然言語による業務用AIエージェントの開発にも使われています。並行して、AI研修とAIアンバサダー制度により現場発でユースケースを広げる体制も整えられました。
出典:日系物流企業で初、AIプラットフォーム「Glean」を導入 | 鴻池運輸株式会社のプレスリリース 発行元:鴻池運輸株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
生成AIを使い始めた段階で表面化していたのは、部門や個人がそれぞれ別のツールを選び、会社として把握しきれない「シャドーAI」が生まれていたことです。さらに社内のナレッジが複数のSaaSに分かれて置かれていたため、資料を探す、会議の準備をするといった場面で時間がかかり、意思決定の速さにも影響が及んでいました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質はツールの種類が増えたことではありません。情報へのアクセス経路が部門ごとに分断されたまま、そこにAIという新しい入り口だけが足されてしまった点にあります。検索できる範囲が部門の壁で切られていれば、どれほど高性能なAIを個別に入れても、答えを組み立てる材料は集まりません。統制を優先して利用を制限すれば現場は不便になり、利便性を優先すれば管理が効かなくなる。この二択のまま進む限り、出口は見えにくかったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
自社クラウド上に内製の生成AI基盤をいったん構築し、そのうえで外部プラットフォームの採用へ舵を切った判断が、この取り組みの起点になっています。比較の軸に置かれたのは「作れるかどうか」ではなく、応答速度、回答品質、そして長期の運用・改善にかかるコストという、使い続ける側の条件でした。自前で動くものを一度形にしたからこそ、継続的に機能強化が行われる外部基盤へ移るという結論に、現場を納得させる根拠が伴ったと考えられます。
選定理由として挙げられているのは、連携できるアプリケーションの多さ、主要SaaSを横断した検索と自動化、直感的なUI、そしてセキュリティとガバナンスです。一見ばらばらの要件ですが、既存システムのアクセス権限をそのまま踏まえて横断検索できる設計に置き換えると、狙いは一点に収束します。現場からは散らばった情報が一つの入り口から引ける、管理側からは誰が何を見られるかという前提が崩れない。禁止でシャドーAIを抑え込むのではなく、正規の入り口を各自のツールより便利にして吸収する組み立てが、全社移行を現実的なものにしたのではないでしょうか。
基盤の整備と並行して、AI研修とAIアンバサダー制度をプロジェクトの初期フェーズで確立し、現場主導でユースケースを発掘・展開する体制を先に敷いた点も見逃せません。約100名規模の先行利用で使い方を固めてから全社へ広げる段取りは、ツールを配ってから使い道を各自に委ねる進め方とは順序が逆になっています。自然言語でAIエージェントを組める環境は作り手を情報システム部門に限定しないため、誰が日々の業務から使いどころを拾うのかという役割の設計とセットになって初めて機能します。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
現在は約1,200ライセンスで本格稼働し、Box、Microsoft Outlook、ServiceNowなど主要SaaSを横断した検索やレポート作成、チャットでの回答、自然言語によるAIエージェント開発に使われています。研修参加者は累計で約600名に広がり、定型資料作成の自動化やコーポレート部門向けFAQチャットボットなど、複数のユースケース開発も進行中です。2026年度内の目標としては、AIアンバサダーと実務者を合わせた700名超のAI人材育成、業務プロセスに組み込まれたAIエージェント75本の稼働、月間利用者約600名規模への拡大が掲げられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、社内の資料やメール履歴が複数のSaaSに分かれて置かれ、かつシステム側でアクセス権限が整理されている会社です。この事例の横断検索は既存の権限をそのまま引き継ぐ前提で成り立っているため、権限設計が曖昧なまま全社検索を入れると、本来は見えてはいけない資料まで届いてしまう懸念のほうが先に立ちます。逆に、重要な情報が紙や個人のPC、あるいはベテランの記憶の中に置かれている状態では、つなぐ先そのものが存在せず、効果は限られます。連携できるSaaSが一つか二つしかない場合も、横断で得られる利点は小さくなります。
費用の面でも、全社共通基盤としての契約は一定の利用者数があって初めて見合う性格のものです。まずは次の会議の準備で、必要な資料にたどり着くまでにいくつのシステムを開いたかを数えてみる。その数と探すのに費やした時間が、横断検索に投資する価値があるかどうかの手がかりになります。
この事例は2026年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
Glean Technologies, Inc.
企業向けの「Work AI」プラットフォーム「Glean」を提供する企業。社内に分散したデータをつなぎ内容や関係性を理解する「Enterprise Graph」を基盤に、必要な情報を検索・確認できる「Glean Assistant」と、自然言語でAIエージェントを作成・活用・管理できる「Glean Agents」を提供する。既存システムのアクセス権限を踏まえた利用、回答根拠の確認、100以上の外部サービス連携、用途に応じたLLMの選択、カスタマイズ用APIに対応。CEOはArvind Jain。
鴻池運輸株式会社
出典・参考情報
日系物流企業で初、AIプラットフォーム「Glean」を導入 | 鴻池運輸株式会社のプレスリリース
発行元:鴻池運輸株式会社
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