実施 2026.04 ・ 更新 2026.09.23
AI-OCRで宅配伝票を自動処理し繁忙期1,200時間削減、運送会社の省人化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 繁忙期だけ人手が足りなくなる
- 紙の伝票の入力に追われている
- 手書きの書き写しミスが多い
どのようなAIの取り組み?
業務用スキャナーとAI-OCRで宅配伝票の読み取りから作業指示書の作成までを自動化し、繁忙期の省人化につなげたAI取り組み
業種
貨物運送・発送代行(運輸・物流)
取り組み領域
宅配伝票の処理/作業指示書の作成
使ったAI
AI-OCRソフト「DynaEye 11」(文字認識AI)+業務用高速スキャナー
主な成果
繁忙期の実質3か月間で約1,200時間を削減
尼高運輸は大手食品メーカーのギフト発送代行を担っており、多数の百貨店から送られてくる宅配伝票を一枚ずつ確認し、必要な情報を手書きで作業指示書に書き写す工程を抱えていました。お中元・お歳暮の時期にはこの作業のために25〜30人を集める必要があり、人手不足のなかで運用を続けること自体が課題になっていました。ここに使われたのが、PFUのA4高速スキャナー「fi-8190」と、社内の環境に置いて動かすオンプレミス型のAI-OCRソフトウェア「DynaEye 11」です。届いた伝票をスキャナーで電子化し、AI-OCRが記載内容を文字データとして読み取り、作業指示書の作成までを自動で行う流れに置き換えられました。この取り組みは、日本ロジスティクスシステム協会などが主催する全日本物流改善事例大会2026で優秀事例に選出されています。
出典:お知らせ | 「全日本物流改善事例大会2026」にて、当社製品を活用した尼高運輸株式会社の取り組みが「優秀事例」に選出されました | PFU 発行元:株式会社PFU
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
百貨店から届いた宅配伝票を人が目で追い、必要な情報を拾って手書きの作業指示書に落とす。これが導入前の姿であり、お中元とお歳暮の時期には、この工程だけのために25〜30人という人数を確保しなければなりませんでした。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は「作業量が多い」ことよりも、業務が回るかどうかが毎年の人集めに握られてしまっていた点にあります。伝票の送り手は多数の百貨店に分散しており、繁忙期にどれだけの量が届くかを自社の都合で決めることはできません。それでも発送の期日は動かせないため、必要な人数を必要な時期に揃えられるかどうかが、そのまま事業の継続性に直結してしまう構造です。労働力不足が業界全体の前提となりつつある状況では、この形は年を追うごとに重くなっていきます。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、自動化の範囲を「伝票を読み取る」ところで止めず、その先の作業指示書を作るところまで一続きで置き換えた設計だと考えられます。文字を読み取るだけの自動化にとどめると、読み取り結果を人が確認して別の書類に書き起こす工程が残り、現場の手間はさほど減りません。入口の伝票から出口の指示書までをひとまとまりの流れとして組み替えたことで、人の手が触れる回数そのものが減りました。
紙の入口を高速スキャナーで押さえ、その上でAI-OCRを動かすという構成の取り方も、この業務の性質に合っています。伝票がまとめて届く繁忙期の現場では、読み取りの賢さ以上に、大量の紙をどれだけ速く電子化できるかが全体の処理速度を決めるためです。A4高速スキャナーと既製のAI-OCRソフトを組み合わせる形は、一から作り込むことを前提にしないぶん、時期が決まっている繁忙期に間に合わせやすいやり方でもあります。
AI-OCRをクラウドではなく社内環境で動かすオンプレミス型で構成した点も見逃せません。宅配伝票のように取引先や配送に関わる情報を扱う書類では、データを社外に出さずに処理し切れることが、導入を決める際の後押しになった可能性があります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
伝票処理にあたるスタッフの人数はほぼ半分になり、お歳暮とお中元のシーズンを合わせた実質3か月間で約1,200時間の業務時間が削減されました。手書きによるヒューマンエラーも大幅に減り、残業時間の解消と作業の正確性向上につながっています。この取り組みは全日本物流改善事例大会2026の優秀事例に選出され、2026年5月に開催される同大会で発表される予定です。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、決まった様式の紙が外部から大量に届き、そこから別の帳票や指示書へ情報を書き写す工程がある現場です。届く量に季節の波があり、その波に合わせて人を集めているなら、効果が数字として表れやすいでしょう。
一方で、伝票の中身を見て人が都度判断を挟む業務、たとえば例外的な依頼の確認や送り主への問い合わせが頻繁に発生する場合は、読み取りを自動にしても判断の工程が丸ごと残るため、削減できる幅は限られます。届く紙の様式が案件ごとにばらばらで、どこに何が書かれているかが定まらない場合も同じです。
試すなら、直近の繁忙期に届いた伝票を数十枚だけ実際に読み取らせてみるところから。どこまで自動で拾えて、どこから人の目が要るのかは、実物を通してみるのが一番早く見えてきます。
この事例は2026年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社PFU
業務用イメージスキャナー「RICOH fi Series」やAI-OCRソフトウェア「DynaEye」を提供する企業。社長執行役員は平原英治氏。
尼高運輸株式会社
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
