実施 2024.10 ・ 更新 2026.09.23
段階的な生成AI研修で年間約720時間の削減効果、菓子物流会社の伴走支援
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIは難しそうと社内で敬遠される
- ベテランの手順が明文化されていない
- 研修をやっても現場に定着しない
どのようなAIの取り組み?
生成AI研修と伴走支援を段階的に重ね、年間約720時間の削減効果が見込める水準まで社内活用を広げたAI取り組み
業種
菓子専門物流(運輸・物流)
取り組み領域
全社の業務効率化/社員教育・内製化
使ったAI
ChatGPT・NotebookLM・画像生成AI(生成AI)
主な成果
年間約720時間の業務削減効果を見込む
菓子業界向けの物流を手がける株式会社合通カシロジが、生成AI活用の伴走型支援を行う株式会社Hitamukiの支援を受け、2024年10月から社内への生成AI定着を進めています。第1フェーズでは若手社員を中心とした研修で基礎的なリテラシーを固め、2025年5月からの第2フェーズでは選抜した3名への実践的な伴走と内製化支援へ移りました。月1回の訪問研修に加え、Slackやメールでの随時対応を組み合わせ、実務にそのまま使えるプロンプトの開発や、GAS・VBAといった自動化手段の活用にまで踏み込んでいます。ChatGPTのほかNotebookLMや画像生成AIを業務の性質に応じて使い分ける形で運用が広がり、伴走開始から4か月の時点で年間約720時間の削減効果が見込まれる水準に達しました。
出典:【株式会社Hitamuki】株式会社合通カシロジ様への生成AI活用推進の伴走型支援で年間削減効果推定720時間を達成 | 株式会社Hitamukiのプレスリリース 発行元:株式会社Hitamuki
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
物流業界の人手不足を背景に、限られた人員で品質を保つための効率化と、属人化しやすい業務を手順として明文化する仕組みづくりが同時に求められていました。そこへ重なっていたのが、「難しそう」「自分には関係ない」という生成AIへの心理的な壁です。
編集部の見立てでは、本質的な困りごとはツールの不足ではなく、仕事の進め方が個人の頭の中にとどまり、言葉になっていなかった点にあります。生成AIは、何をどういう手順で行うのかを指示(プロンプト)として書き出さないかぎり動きません。つまり属人化した業務ほど、AIに任せる前段で自分の仕事を説明する作業が必要になります。心理的なハードルの正体も、新しい技術への不安というより、自分の業務を言語化した経験の乏しさにあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
無償研修から全社研修、そして選抜メンバーへの伴走へと進む三段のステップ設計が、この取り組みの骨格です。最初の接点を無償の学びの場に置いたことで、社員側は「まず聞いてみる」だけで参加でき、関心が芽生えた層が次の段へ自然に進む流れができています。全員に同じ深さを一律に求めず、段階ごとに対象と目的を切り替えた点が、心理的な壁を正面から崩さずに越えさせる働きをしたと考えられます。
経営層と現場の双方に同時につながる伴走体制も、定着を支えた要因でしょう。専務取締役や管理部長との定期的なディスカッションで長期的な方向性を共有しながら、現場には月1回の訪問研修とSlack・メールでの随時対応という、その場で答えが返ってくる窓口を用意する。上からの号令だけでも、現場の自発性だけでも失速しやすい社内浸透に対し、二方向から同時に手を入れた構造になっています。
対象をChatGPT一本に絞らず、NotebookLMや画像生成AIを業務の性質で使い分けさせたやり方も見逃せません。さらに、プロンプトの開発に加えてGAS・VBAといったAIの外側の自動化手段まで支援範囲に含めたことで、「AIに向く仕事」と「自動化で片付く仕事」を切り分けて処理できるようになりました。社内講師の育成を将来像として設計に組み込んだ点にも、支援が続くあいだだけ動く状態で終わらせない意図が読み取れます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
伴走開始から4か月の時点で、年間約720時間の業務削減効果が見込まれる水準に到達しています。内訳として大きいのは、入力・転記作業の自動化による約185時間、データ引き当て作業の効率化による約170時間で、メール文や報告書の作成もあわせて効率化されました。定性面では「AIは怖い」から「AIは便利」への意識の変化が全社に及び、経営層自身も戦略立案や見積もりの検証、情報収集で活用するようになっています。選抜メンバーを中心に業務改善の提案やナレッジ共有が活発になり、グループ内の他社からの相談・関心も増えました。数値は年換算の推定値である点は押さえておく必要がありますが、削減の内訳が入力・転記という日々の反復作業に集中している事実は、効果の出どころが明快であることを示しています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、定型的な入力・転記や、毎回似た文面を書き起こす作業が積み上がっている職場です。この事例で生まれた削減は、特別なシステムの開発ではなく、既製の生成AIサービスと、GAS・VBAという手元にある自動化手段の組み合わせから出ています。裏を返せば、業務の手順を言葉で説明できることが前提です。そのつど現場の状況を見て判断を変えるような仕事や、社外に出せない情報を扱う場面では、同じやり方をそのまま持ち込むのは難しいでしょう。
体制面の条件もあります。段階的な設計が機能した背景には、経営層が自ら使う側に回ったことと、現場の疑問をその場で受け止める窓口があったことの両方があり、担当者一人に任せる形では途中で止まりやすい。まず試すなら、今週自分が書いた定型メールや報告書を一通だけ生成AIに下書きさせ、どこを直したかをメモしてみてはいかがでしょうか。その修正箇所こそが、社内でまだ言語化されていない判断基準です。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社Hitamuki
「人を想い、人を支える」をミッションに、生成AI活用の伴走型支援を提供。生成AI活用コンサルティング、伴走型支援サービス、AIリテラシー向上研修を手がけ、AIツールの導入や研修提供にとどまらない支援を行う。代表取締役は澤田隼氏、資本金20万円、業種は情報通信。
株式会社合通カシロジ
出典・参考情報
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