実施 2025.08 ・ 更新 2026.09.23
物流現場の言葉の壁にAI通訳機、会話の所要時間が約5割まで短縮
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 外国人スタッフと言葉が通じない
- 通訳できる人の手が足りない
- 指示の行き違いでミスが起きる
どのようなAIの取り組み?
AI通訳機とAI同時通訳を会話の場面ごとに使い分け、物流現場の言葉の壁に向き合ったAI取り組み
業種
物流センター運営(運輸・物流)
取り組み領域
物流現場/外国人スタッフとのコミュニケーション
使ったAI
AI通訳機「ポケトークS2」、AI同時通訳「Sentio」(音声翻訳AI)
主な成果
同じ内容の会話の所要時間が約5割まで短縮
アスクルの物流を担うASKUL LOGISTは、2025年8月から全国の物流拠点にAI通訳機「ポケトークS2」を配備し、外国人スタッフとの意思疎通に使っています。最大拠点の関東DC(上尾)では、講習向けにAI同時通訳「Sentio」も併用。端末は日本人指導者と外国人実習生の双方が持ち歩き、庫内での作業指示や総務窓口での相談対応、さらに実習生が暮らす社宅での近隣住民とのやり取りにまで使われています。カメラ翻訳の機能は倉庫内の掲示物やマニュアル、段ボールの表示を読み取る用途に、履歴の保存は会話の振り返りに活用され、本社では管理機能で各拠点へ配布した端末の利用状況を確認しています。
出典:ASKUL LOGIST株式会社 の場合|活用!なっとく事例集|POCKETALK(ポケトーク) 発行元:POCKETALK(ポケトーク)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
複数の物流センターで多くの外国人スタッフが働く現場では、以前から言葉の壁が大きな課題として残っていました。通訳担当者はいるものの人数には限りがあり、わからないことがあっても質問をためらう場面が多い状況が続いていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は翻訳手段が足りないことではなく、聞きたいと思った瞬間に聞けないことにありました。通訳担当者を介する方式では、質問のタイミングが通訳者の都合に左右されます。疑問が小さいうちほど「わざわざ人を呼ぶほどでもない」と飲み込まれやすく、その小さな取りこぼしが作業理解の不足として積み上がっていったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
会話の形に合わせて道具を二種類に分けた設計が、実運用を支えていると考えられます。朝礼での伝達事項やオリエンテーションでの業務指導は、話し手が続けて長く話す一方向の情報伝達であり、一文ずつ翻訳を挟む持ち歩き型の端末とは噛み合いません。ここにAI同時通訳のSentioを充て、現場での細かな指示確認のような短い問いと答えの往復には端末を充てる。この切り分けが、どちらの場面でも話の流れを途切れさせない使い方につながっています。
日本人指導者だけでなく外国人実習生本人にも端末を持たせた配り方も、見逃せない判断です。翻訳機を管理者側だけが持つ運用にすると、道具は指示を伝えるための装置にとどまり、質問する側は結局、相手の手が空くのを待つことになります。両側に配ったことで、会話を始めるきっかけが現場のスタッフの側にも移りました。業務時間内に限定せず、社宅での近隣住民とのやり取りまで使用範囲を広げたことも、端末を身近な持ち物として定着させる方向に働いています。
導入して配って終わり、にしない仕組みが組み込まれている点も特徴的です。音声翻訳もカメラ翻訳も履歴として残るため、その場限りだったやり取りが後から確認できる記録に変わり、日本語学習の材料としても使える状態になりました。本社側は管理・分析の機能で配布端末と利用状況を把握し、運用が定着した後は拠点ごとの責任者に自拠点分の管理を任せる段取りも描かれています。リーダー層向けの説明会で他拠点へ広げる進め方と合わせ、現場任せにしない定着の道筋が引かれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
同じ内容の会話でも、ポケトークを使うことで所要時間は約5割まで短縮されました。質問をためらっていた外国人スタッフが自ら聞きに来るようになり、業務内容や進め方への理解が深まって、担当できる業務の幅の広がりにつながりつつあります。実習生には理解しにくい日本の商品表示やマニュアルの内容も正確に伝えられるようになり、間違いが減って生産性が上がっています。翻訳の精度については、感覚値として9割以上は常時伝わっているという評価が示されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、現場で交わされる会話の多くが、その場で完結する短いやり取りである職場です。倉庫や工場、店舗のように、目の前の物や作業について確認する場面が中心なら、端末を挟んだ一往復で用が足ります。逆に、契約や安全衛生に関わる説明、込み入った労務相談のように、訳のずれが重い結果を招く会話は機器だけに委ねられません。この事例でも通訳担当者が不要になったわけではなく、日常の細かなやり取りを機器が引き受けた結果として、人の通訳を本当に必要な場面へ回せる形になっています。
もう一点、判断材料になるのが渡す相手の範囲です。管理者側にだけ配る前提なら効果は指示伝達の速さにとどまり、質問が出てこないという困りごとはそのまま残ります。まず試すなら、自社の現場で外国語を話すスタッフとのやり取りが実際どんな形をしているかを、一日分だけ書き留めて眺めてみる。短い往復が多いのか、朝礼のような一方向の伝達が多いのかで、選ぶべき道具は変わります。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
ポケトーク
AI通訳機「ポケトーク」およびAI同時通訳「Sentio」を提供。導入相談やお試し・レンタルにも対応している。
ASKUL LOGIST株式会社
出典・参考情報
ASKUL LOGIST株式会社 の場合|活用!なっとく事例集|POCKETALK(ポケトーク)
発行元:POCKETALK(ポケトーク)
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