実施 2026.08 ・ 更新 2026.09.23
FAXの発注書をAIが読み取り、物流現場の転記入力を自動化する仕組み
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- FAXで届く注文書の入力に追われている
- 取引先ごとに書式が違い覚えきれない
- ベテランしか処理できない書類がある
どのようなAIの取り組み?
AI-OCRで様式の異なる帳票を読み取り、物流現場の転記入力作業の自動化に踏み出したAI取り組み
業種
総合物流(運輸・物流)
取り組み領域
受発注帳票の転記入力・配車業務
使ったAI
AI-OCR「AIデータコンバーター」(文字読み取りAI)
主な成果
帳票の転記入力工数の大幅な削減を見込む
ハコベルは、物流の現場で取引先とFAXなどを介してやり取りされる発注書や出荷指示書といった帳票をAIが読み取り、CSV形式のデータへ整えるWebシステム「AIデータコンバーター」を2026年6月から提供しています。2026年8月には、この仕組みを使ったMDロジス名古屋事業所の導入事例が公開されました。MDロジスはエレクトロニクス領域に強みを持ち、半導体から防衛・人工衛星関連まで扱う総合ロジスティクス企業です。荷主企業も案件も幅広い名古屋事業所では、受け取る帳票の様式や記載内容のパターンが多岐にわたり、それをシステムへ転記入力する負荷と、顧客ごとに帳票の読み方を把握する負担が課題となっていました。カレンダー形式のような特殊な様式を含む帳票をAIが読み取れるようにすることで、転記入力の自動化が可能になっています。
出典:ハコベル、AIデータコンバーターの導入事例を公開 | ハコベル株式会社のプレスリリース 発行元:ハコベル株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
名古屋事業所が向き合っていたのは、取引先から届く帳票のフォーマットも記載内容のパターンも多岐にわたる、という状況でした。打ち込む手間そのものに加えて、顧客別の帳票理解の負担が課題として挙げられている点に、この事例の性格がよく表れています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は処理件数の多さではなく、「この取引先のこの様式は、どの欄が何を意味するのか」という読み替えの知識が、担当者の頭の中にしか残っていなかったことにあります。荷主の幅が広がるほど様式は増え、それを正しく解釈できる人は相対的に減っていく。ベテラン配車スタッフに作業が集まっていたという記述も、単に入力量が多かったというより、任せられる人が限られていた結果ではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
読み取った内容をCSV形式のデータとして整える、という出口の設計が、この手法の使いやすさを支えていると考えられます。入力される帳票の様式がどれだけ多様でも、出てくる形が一つに定まっていれば、受け手側の業務や打ち込み先の仕組みを作り替える必要は小さくなる。AI-OCRの導入が途中で止まりやすいのは、読み取り精度そのものよりも、読み取った後のデータを誰がどこへ渡すのかが決まらない場面です。そこを先に固定した設計は、現場に持ち込みやすい形になっています。
カレンダー形式のような特殊な様式まで読み取りの対象に含めた点も見逃せません。この種の自動化では、扱いやすい様式だけを処理して残りを人へ戻すと、例外を捌ける担当者が結局必要になり、現場の負担感はさほど変わらないという事態が起きがちです。読みにくいものから取り込む判断は、属人化した読み替え作業そのものを崩すという狙いから逆算した設計に見えます。
運送手配のマッチングと物流DXの両方を手がけてきた事業者が開発している点も、この仕組みの下支えになっています。帳票の読み取りは、文字を正しく拾うだけでは実務に載らず、どの数字が数量で、どの日付が現場の締めに効くのかという業務上の意味づけが伴って初めて使えるデータになる。物流業務の現場解像度を前提に読み取り項目を設計できるかどうかが、汎用的な文字読み取りとの分かれ目だと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
公開されている情報で確定しているのは、特殊な様式を含む多様な帳票をAIが読み取り、システムへの転記入力を自動化できる状態になったところまでです。入力作業の大幅な削減や、ベテラン配車スタッフへの作業集中の解消は、これから見込まれる効果として示されている段階で、削減率などの実績値はまだ示されていません。もっとも、読みにくい帳票を機械が扱える状態にしたこと自体が、その後の削減幅を左右する前提条件にあたります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、取引先ごとに様式の異なる帳票がFAXやPDFで日常的に届き、その内容を社内のシステムへ人が打ち直している業務です。打ち込み先がCSVの取り込みに対応していれば、置き換えるのは読み取りから受け渡しまでの前段に限られ、既存の業務の流れを大きく崩さずに試せます。
一方で、帳票に書かれていない事情を、電話でのやり取りや過去の取引の経緯から補って入力しているような業務では、読み取りが正確でも人の確認工程は残ります。届く帳票の種類が少なく、担当者一人で無理なく回っている規模でも、確認の手間と釣り合わない可能性があります。まずは取引先を一社だけ選び、その様式の帳票を実際にAIへ読ませて、どの項目でつまずくのかを自分の目で見てみる。判断材料はそこから集まります。
この事例は2026年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
ハコベル株式会社
「物流の『次』を発明する」をミッションに物流プラットフォーム事業を展開し、多重下請け構造の解消を目指す運送手配マッチングサービスと、物流関連業務の可視化・効率化を行う物流DXサービスを提供。ラクスル株式会社の新規事業として2015年に事業を開始し、2022年8月にセイノーホールディングスの出資を受け、両社のジョイントベンチャーとして設立された。
MDロジス株式会社
出典・参考情報
ハコベル、AIデータコンバーターの導入事例を公開 | ハコベル株式会社のプレスリリース
発行元:ハコベル株式会社
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