実施 2026.04 ・ 更新 2026.09.22
安田倉庫が生成AIで手書き訂正や欄外メモ入りの依頼書をデータ化する仕組み
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 取引先ごとに書式が違う書類の入力に追われている
- 手書きの訂正や欄外メモでOCRが使えない
- 紙やFAXの情報が後工程まで手入力のまま
どのようなAIの取り組み?
生成AIが書面の内容を読み取るAI-OCRで、手書きの訂正や欄外メモが混じる入出荷依頼書をデータ化し、入力作業の削減に取り組んだ事例
業種
倉庫・ロジスティクス(運輸・物流)
取り組み領域
入出荷依頼書の受付・入力業務
使ったAI
生成AIで読み取るAI-OCR「MOVO Adapter」
主な成果
入力業務の大幅な効率化を見込み、1拠点で稼働開始
安田倉庫は、取引先ごとに書式が異なる入出荷依頼書の処理に、Hacobuが提供するAI-OCR「MOVO Adapter」を採り入れました。定型の書類についてはすでにデータ化を進めてきた一方、二重線による手書きの訂正や欄外への追記、そもそも形式の定まらない書類は読み取りの自動化が難しく、担当者が中身を確かめながらシステムへ入力していました。MOVO Adapterは、読み取り位置をあらかじめ設定しなくても、生成AIが書面の内容を読んで「これは住所」「これは品名」と判断し、必要な情報を抽出するサービスで、結果はCSV形式で出力されます。稼働開始は2026年4月20日、対象拠点は平和島営業所です。まずはこの拠点で運用しながら効果を確認し、全社への展開が検討されています。
出典:安田倉庫、生成AIで書類のデータ化—読んで理解するHacobuのAI-OCR「MOVO Adapter」を導入。手書きや欄外メモも読み取り、入力業務を削減 | 株式会社Hacobu 発行元:株式会社Hacobu
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
物流の現場では書類のやりとりに多様な形式が混在する状態が長く続いてきました。安田倉庫でも入出荷依頼書の書式は取引先ごとに異なり、定型のものはデータ化が進む一方で、二重線での訂正や欄外の追記を含む書類は自動化の枠から外れ、担当者が一件ずつ内容を確認して入力する運用が残っていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は書類の枚数の多さではなく、「どこに何が書かれているかを事前に決められない」という点にあったのではないでしょうか。従来のAI-OCRは配送日や品名の読み取り位置を設定して初めて正確に機能するため、書式が増えるほど設定という作業も積み上がります。例外的な書類が残り続ける限り、自動化を進めるほどに例外を引き受ける担当者が必要になる。この構造が、業務の入り口にアナログな工程を居座らせていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
読み取り位置をあらかじめ決めない、という割り切りが、この取り組みの中心にあります。MOVO Adapterでは、生成AIが書面そのものを読み、内容の意味から「これは住所」「これは品名」と項目を判断して抽出します。テンプレートを用意する方式では、書式が一つ増えるたびに設定という新しい作業が生まれますが、意味を手がかりにする方式なら、その設定作業自体が発生しません。手書きの訂正やかすれ、欄外の追記といった、決まった場所に収まらない情報を相手にするうえで、この切り替えは理にかなっています。
出口をCSVという素朴な形式に落としている点も、実務では見落とせない設計です。読み取った結果を独自形式で抱え込まず、既存システムやMOVOシリーズにそのまま取り込める形で渡すため、倉庫管理システム(WMS)や送り状作成システムとつなぐ構想も、この出口の素直さの上に置かれています。読み取り側だけを高度にしても、後工程が手入力のままでは負担が移動するだけ。一次情報を流せるデータにしておくことが、入り口の改善を後続業務の改善へ接続する条件になります。
展開の仕方も、対象を入出荷依頼書という一種類の帳票に定め、平和島営業所という単一拠点から始める形が採られています。効果を確かめてから広げる順序であれば、書類の癖や運用の抜けを現場の規模で洗い出せます。安田倉庫グループには2021年から配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」を8拠点で使ってきた下地があり、Hacobuが既製サービスを提供し、安田倉庫が現場運用で確かめるという役割分担も、この段階的な進め方と噛み合っています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
平和島営業所での稼働は2026年4月20日に始まったばかりで、入力業務の削減効果はこれから運用の中で確かめる段階にあります。現時点で示されているのは、人手で対応してきた業務の大幅な効率化が期待される、という見通しです。あわせて、物流推進を担う役員からは、すでに導入済みの拠点でWMSの入出荷処理に活用することで業務効率化が着実に進んでいるという評価が示され、今後は送り状作成をはじめ、より幅広い業務への展開が見込まれています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、取引先ごとに書式がばらつき、テンプレートを作っても作り切れない帳票が残っている業務です。注文書や依頼書のように、項目の呼び名がある程度共通していて、意味から判断できる書類であれば、位置指定に頼らない読み取りとは相性がよいと考えられます。逆に、社内の略号や暗黙の書き方が多用され、書かれた文字だけでは担当者にしか意味が取れない書類では、読み取れたとしても後段の確認作業が残ります。読み取りの精度と同じくらい、誤りに気づける確認手順を誰が持つかが論点になります。
出口の設計も見ておきたいところ。CSVで受け取ったデータを流し込む先が決まっていなければ、入力する場所が変わるだけで終わってしまいます。まずは直近1か月に届いた依頼書を数十枚だけ手元に集め、例外が書式の違いによるものなのか、手書きの補足によるものなのかを見分けてみてはどうでしょう。
この事例は2026年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社Hacobu
クラウド物流管理ソリューション「MOVO」シリーズと、物流DXコンサルティング「Hacobu Strategy」、システムインテグレーション・AI導入支援「Hacobu Solution Studio」を展開。トラック予約受付サービス「MOVO Berth」、動態管理サービス「MOVO Fleet」、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」、AI発注・輸送最適化サービス「MOVO PSI」などのクラウドサービスや、スマホアプリ「MOVO Driver」を提供し、物流DXパートナーとして企業間物流の最適化を支援している。代表取締役社長CEOは佐々木太郎。
安田倉庫株式会社
出典・参考情報
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