実施 2024.11 ・ 更新 2026.09.22
人員配置が週7時間から1時間に、倉庫会社のAI配置とスキル可視化
企業規模:300人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 毎週のシフト作成に半日以上かかる
- 当日欠勤のたび配置をやり直している
- 配置の判断がベテラン一人頼み
どのようなAIの取り組み?
AIによる人員配置システムを使い、1週間分のシフト作成を約7時間から1時間に短縮したAI取り組み
業種
倉庫業・流通加工(運輸・物流)
取り組み領域
人員配置・シフト作成
使ったAI
AI人員配置サービス「スキルパズル」
主な成果
1週間分の配置作成が約7時間から1時間へ
倉庫業と流通加工を手がける郵全株式会社は、事業所内の各工程に出勤者を割り当てる人員配置を、紙とExcelで運用していました。1日分の作成に1時間、1週間分では丸一日に相当する約7時間を要し、当日の欠勤連絡があれば始業前に組み直す必要もありました。同社はフツパーの人員配置サービス「スキルパズル」にモニター企業として開発当初から参加し、従業員のスキルや工程の情報を登録したうえで自動配置を利用する運用に切り替えています。作成した配置計画は作業場のモニターへ投影して共有する形をとりました。結果として配置作成の所要時間が短縮されたほか、スキルマップの整備、配置履歴のデータ化、突発休を含む出勤状況の可視化といった変化が生まれています。
出典:物流業の枠を超える、郵全株式会社の新たな挑戦。配置業務が毎週7時間→1時間へ80%削減! | 株式会社フツパー Hutzper 発行元:株式会社フツパー
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出勤者が10名ほどだった頃は、作業場で口頭で指示すれば配置は回っていました。20名規模になるとExcel上の配置図へ名簿から出勤者を手で貼り付ける形になり、人数が増えるにつれて作成そのものが重くなります。1日分で1時間、1週間分では丸一日。そのうえ始業直前に欠勤連絡が入れば業務開始までに組み直しが必要で、朝はいつも時間に追われる状態でした。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は作業時間の長さではなく、配置の良し悪しを決める根拠が担当者一人の感覚の中にしかなく、しかもExcelの上書きによってその判断が毎日消えていた点にあります。各工程の習熟度も、生産性が上がる人の組み合わせも記録されないため、他の人が代わることも、結果を振り返って次に活かすこともできません。当日欠勤すら記録が残らず、もともと休みだった人と区別がつかない。時間の問題に見えていたものは、実際には記録が残らない構造の問題だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
自動配置を動かす前提として、従業員一人ひとりのスキルと各工程の情報をシステムへ登録する設計になっていた点が、まず効いたと考えられます。データ化されたものが何もなかった同社にとって事前登録は負担の大きい作業で、どの水準にスキルを設定すれば意図した配置が出るのか、試行錯誤を重ねる場面もありました。ただ、この手順を踏むことは、担当者の感覚として蓄えられていた習熟度の判断を、他人にも読める数値へ置き換える作業にほかなりません。ツールを使うための準備が、そのまま暗黙知の外部化になる構造です。
現場が仕様に関与できる経路を、開発の初期段階から確保していたことも見逃せません。初期版は配色がシンプルで情報を読み取りにくかったため、工程ごとに色を付けてほしいといった要望を伝え、必要機能と判断されたものが順次反映されていきました。自動配置がエラーになる理由が分からない場面では、ベンダーの営業担当に電話で確認しながら進めています。使いにくさを感じた側がその感覚を仕様へ返せる往復が最初からあったことが、日々使い続けられる状態を作ったという見方ができます。
欠員対応を「作り直しをなくす」方向ではなく「どこが空いたかを一目で分かるようにする」方向で設計した割り切りも、実運用を支える要素です。当日欠勤者を登録すると配置画面に欠員箇所が現れるため、紙を見比べながら調整していた頃と比べ、判断に入るまでの手前の作業が省かれます。欠勤そのものは避けられないという前提に立ち、避けられない作業の中身だけを軽くする。この見極めが、朝の時間に追われる現場で機能したのだと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
1週間分の人員配置にかかっていた約7時間は1時間になり、空いた時間を他の業務へ回せるようになりました。スキル登録を進める過程でスキルマップが形になり、配置履歴はシステム内に蓄積されるため、生産効率の確認やトレーサビリティも容易になっています。管理側では出勤率を手元で可視化できるようになり、「突発休」の記録を会社と従業員の双方が確認できることで当日欠勤が減ってきたという副次的な変化も生まれました。生産性も徐々に向上しており、AIが提案する配置と人が考えた配置を比較して検証していくことは、今後の取り組みとして残されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、複数の工程があり、日ごとに顔ぶれが変わる現場です。物流加工に限らず、製造ラインや店舗のように「誰をどこに置くか」で生産性が変わり、かつ欠勤による組み替えが日常的に起きる職場であれば、同じ発想が働く余地があります。逆に、担当者が固定されていて配置の自由度がほとんどない職場や、一人ひとりの力量を数段階で表すこと自体に納得が得られない職場では、効果は出にくいはずです。この事例でも、スキルを評価すること自体の難しさは課題として残されています。
もう一つ見落とせないのは、登録すべき前提情報が社内にまったく無い状態から始める場合、最初の入力が相応の負担になる点です。裏を返せば、その入力こそが成果の源でもあります。小さく始めるなら、次に配置を組むときに「なぜその人をその工程に置いたのか」を一行だけ書き添えてみる。数日分たまった時点で、その理由が数値の尺度に落とせるかどうかが見えてきます。
この事例は2024年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:バックオフィス・管理部門(人事・経理・法務)
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
郵全株式会社
出典・参考情報
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